平成27年労働者派遣法改正について

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INDEX


はじめに

  1. 改正のポイント①
  2. 改正のポイント②
  3. 改正のポイント③
  4. 改正のポイント④
  5. 改正のポイント⑤
  6. 改正のポイント⑥
  7. 総括

 はじめに

*本記事は平成28年時点で作成されています

労働形態が複雑化した現代社会において、必須の労働形態と言える「派遣労働」の実務に大きな影響をもたらすであろう「労働者派遣法改正」が施行されました。

今回の改正は、派遣労働者の待遇を改善するとともに、希望者へ正社員への道を開くものだとして肯定的に評価する意見がある一方、派遣労働者の受け入れ期間の上限を全業務についてなくし、企業が3年ごとに人を入れ替えて同じ業務をずっと派遣労働者に任せられるようにする「世紀の大悪法」だとする強い反対の声も上がっています。

このように立場によって評価が真逆に分かれていることの一因として、改正内容が多岐にわたり、今回の改正のポイントがわかりにくいことにもあるように思われます。

そこで今回は、「労働者派遣法改正」について、特に重要なポイント4点に絞って解説することとします。

  1. 派遣会社はすべて許可制にすることにより悪質な派遣会社を排除する
  2. 専門性が高いとされ、派遣期間の制限がなかったソフトウェア開発、事務用機器操作、通訳、秘書等の26業務の制度を廃止し、すべての業務について、派遣先の同一の事業所等(工場や事務所等)における派遣労働者の継続的な受け入れについて3年を上限とするとともに、一人の派遣労働者が同一企業の同一組織単位(いわゆる「課」など)で働くことができるのは3年までとする、という切り口の異なった2つのルールへ改正
  3. 派遣会社に対して、派遣終了後も雇用の継続に努めるなど、雇用安定のための措置を義務づけるとともに、派遣労働者に対するキャリアアップ支援を行うことも義務づけ
  4. 派遣労働者からの求めに応じて、賃金や福利厚生等に関して、派遣先の同種の業務に従事する労働者と差異が生じないよう、派遣労働者の均衡待遇の確保の際に考慮した内容の説明義務を追加

 

 1. 改正のポイント①

労働者派遣事業の許可制への一本化

改正前労働者派遣法(以下「旧法」といいます)では、労働者派遣事業を行うにあたり、常時雇用される労働者のみを派遣する場合に届出により事業を行うことができる「特定労働者派遣事業」と、それ以外の派遣形態を許可を得て行う「一般労働者派遣事業」が定められていました。

改正後の労働者派遣法(以下「改正法」といいます。)では、許可要件を満たせない場合に特定労働者派遣事業と偽り、一般労働者派遣事業を行う事業者等、一部の悪質な事業者が存在するといった課題に対応するため、特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別を廃止し、全ての事業を許可制とすることとしました(改正法5条1項)。

これにより、許可取消を含めた厳格な指導を通じて、労働者派遣事業の健全化を図るものとしています。

また、法改正及び許可基準の見直しに伴い、許可基準に新たに以下の基準等が追加されました。

  1. 派遣労働者のキャリア形成支援制度を有すること
  2.  教育訓練等の情報を管理した資料を労働契約終了後3年間は保存していること
  3.  無期雇用派遣労働者を労働者派遣契約の終了のみを理由として解雇できる旨の規定がないこと。また、労働者派遣契約の終了時に労働契約が存続している有期雇用派遣労働者についても、労働者派遣契約の終了のみを理由として解雇できる旨の規定がないこと

なお、許可制に移行するにあたっては、経過措置が設けられています。

施行日時点で届出により、特定労働者派遣事業を営む事業者については、平成30年9月29日まで、引き続き特定労働者派遣事業を行うことができること(改正附則6条1項)等とされています。

 

 2. 改正のポイント②

派遣期間規制の見直し

これまで、専門性が高いとされてきたソフトウェア開発や秘書等の26業務に関しては派遣期間の制限がない一方、26業務以外の業務については派遣期間は3年以内とされてきました。

 

今回の労働者派遣法改正により、26業務か否かという区別をなくし、すべての業務について、①派遣先の同一の事業所等(工場や事務所等)における派遣労働者の継続的な受け入れについて3年を上限とするとともに、②一人の派遣労働者が同一企業の同一組織単位(いわゆる「課」など)で働くことができるのは3年まで、という切り口の異なる2つのルールへと改正されました。

(1)派遣先事業所単位の期間制限

改正法により、派遣先の同一の事業所[1]等における派遣労働者の継続的な受け入れは、3年を上限とすることが規定されました(改正法35条の2・40条の2)。すなわち、同じ工場や事務所等における派遣労働者の受け入れは、3年が上限とされます。ただし、派遣先の事業所が3年を超えて労働者派遣を受け入れようとする場合は、派遣先の事業所の過半数労働組合等(過半数労働組合又は過半数代表者)からの意見を聴取することにより、3年を限度として派遣可能期間を延長することができます。

当該規制の趣旨は、派遣労働者による常用労働者の代替の防止を図るためであるとされています[2]が、3年を超えて派遣先が労働者派遣を受け入れるにあたっては、過半数労働組合等の同意を得る必要はなく、意見聴取で足りることからすると、当該規制が「常用代替の防止」に資するかは疑問の余地がある、と批判されています[3]。

[1] 同一の「事業所」に該当するか否かは、工場、事務所、店舗等、場所的に他の事業書から独立していること、経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること、一定期間継続し、施設としての継続性を有すること等の観点から実態に即して判断されるもので、雇用保険の適用事業所に関する考え方と基本的には同一のものとされています。

[2] 「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の14。

[3] 小西康之「『期間』規制と労働者派遣のこれから」(ジュリスト2015年12月号)20頁参照。

【派遣先事業所単位の期間制限[4]】

 平成27年労働者派遣法改正について

[4] 出典:厚生労働省・都道府県労働局「平成27年労働者派遣法改正の概要」(外部サイト)

ア 意見聴取の手続


派遣先は、労働者派遣の役務の提供が開始された日から事業所単位の期間制限の抵触日の1ヶ月前の日までに、その事業所の過半数労働組合等から意見を聴取する必要があります。

その際、過半数労働組合等に対して、派遣可能期間を延長しようとする事業所及び延長しようとする期間を書面で通知しなければならず、意見聴取の参考となる資料[1]を提供しなければなりません。

意見聴取の後は、

  • 意見を聴取した過半数労働組合の名称又は過半数代表者の氏名
  •  過半数労働組合等に書面で通知した日及び通知した事項
  •  意見を聴いた日及び意見の内容
  •  意見を聴いて延長する期間を変更したときは、その変更した期間

を書面に記載し、延長しようとする派遣可能期間の終了後3年間保存し、また事業所の労働者に周知しなければなりません。

イ 対応方針等の説明


意見を聴取した結果、過半数労働組合等から異議があった場合は、派遣先は延長しようとする派遣可能期間の終了日までに、

  • 延長の理由及びその延長の期間
  • 異議(常用代替に関する意見に限る)への対応方針

について説明する義務があります。

また、派遣先は説明した日及びその内容を書面に記載し、延長しようとする派遣可能期間の終了後3年間保存し、また事業所の労働者に周知しなければなりません。

ウ 労働者派遣期間の継続性


派遣先の事業所ごとの業務について、労働者派遣の終了後に再び派遣する場合、派遣終了と次の派遣開始の間の期間が3ヶ月を超えないときは、労働者派遣は継続しているものとみなされます。

 

(2)個人単位の期間制限

改正法により、派遣先が同一の派遣労働者を、派遣先の事業所に置ける同一の組織単位[6]で受け入れる期間は、3年を上限とすることが規定されました(改正法35条の3・40条の3)。

すなわち、同じ人の同じ「課」への派遣は3年が上限とされる一方、同じ人であっても、派遣先の「課」を変えた場合は、3年を超えて同じ人を派遣として受け入れることができます。

この場合、「2−(1)派遣先事業所単位の期間制限」と異なり、過半数労働組合等からの意見聴取の手続はありません。

当該規制の趣旨は、派遣就業を望まない派遣労働者が派遣就業に固定化されることの防止を図ることにあるとされています[7]。

ただし、組織単位を変えれば、派遣先は同一の派遣労働者を受け入れることができます。

かかる取扱いは、就業先を変わることによるキャリアアップの契機を確保する観点から設けられたものですが、当該派遣労働者が他の会社や他の組織単位において派遣就業を継続する結果、派遣就業に固定化されることも予想される、との批判もなされています[8]。

[6] いわゆる「課」や「グループ」等、業務としての類似性や関連性があり、組織の長が業務配分、労務管理上の指揮監督権限を有するものとして、実態に即して判断されます。
[7] 前掲注2参照。
[8] 前掲注3・21頁参照。

【個人単位の期間制限[9]】

平成27年労働者派遣法改正について

[9]出所:厚生労働省・都道府県労働局「平成27年労働者派遣法改正の概要」(外部サイト)

(3)期間制限の例外

以上のとおり、改正法により、すべての業務について、①派遣先の事業所単位及び②個人単位の期間制限という2つの切り口から期間制限が設けられましたが、以下に該当する場合は、例外として期間制限の対象となりません。

  • 派遣元事業主に無期雇用される派遣労働者を派遣する場合
  • 60歳以上の派遣労働者を派遣する場合
  •  終期が明確な有期プロジェクト業務に派遣労働者を派遣する場合
  • 日数限定業務(1ヶ月の勤務日数が通常の労働者の半分以下かつ10日以下であるもの)に派遣労働者を派遣する場合
  •  産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する労働者の業務に派遣労働者を派遣する場合 

(4)クーリング期間

事業所単位の期間制限、個人単位の期間制限の両方に、いわゆる「クーリング期間」の考え方が設けられています。

ア 事業所単位の期間制限


派遣先の事業所ごとの業務について、労働者派遣の終了後に再び派遣する場合、派遣終了と次の派遣開始の間の期間が3ヶ月を超えないときは、労働者派遣は継続しているものとみなされます。

なお、派遣先が、事業所で3年間派遣を受け入れた後、派遣可能期間の延長手続を回避することを目的として、形式的に「クーリング期間」を空けて派遣の受入れを再開するような、実質的に派遣の受入れを継続する行為は、法の趣旨に反するものとして指導等の対象となります。

イ 個人単位の期間制限


派遣先の事業所における同一の組織単位ごとの業務について、労働者派遣の終了後に同一の派遣労働者を再び派遣する場合、派遣終了と次の派遣開始の間の期間が3ヶ月を超えないときは、労働者派遣は継続しているものとみなされます。

なお、派遣元事業主が、同一の派遣労働者を同一の組織単位の業務に継続して3年間派遣した後、本人が希望しないにもかかわらず、形式的に「クーリング期間」を空けて再びその組織単位の業務に派遣することは、派遣労働者のキャリアアップの観点から望ましくない、とされています。

(5)期間制限に違反した場合 

後述のとおり、改正法により新たに設けられた事業所単位の期間制限、個人単位の期間制限、いずれに違反した場合であっても、労働契約申込みみなし制度の対象となり、派遣先が派遣労働者に対して、その派遣労働者の派遣元事業主における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなされます(労働者派遣法40条の6)。

 3.改正のポイント③

雇用安定とキャリアアップ

旧法では、派遣元事業主は派遣期間終了後の雇用継続を図る責務がなく、派遣期間の上限で雇止めとなる等、派遣労働者の雇用の不安定さが問題となっていました。

そこで、改正法では、雇用安定措置の義務化・キャリアアップの推進により、派遣労働者の雇用の安定を図ることとしています。

(1)派遣元事業主による雇用安定措置 

改正法により、派遣元事業主は、その雇用する有期雇用派遣労働者であって派遣先の事業所等における同一の組織単位の業務について継続して1年以上の期間派遣労働に従事する見込みがある等の一定の場合に、次の措置を講ずる責務が規定されました(改正法30条)。

  1. 派遣先への直接雇用の依頼
  2. 新たな派遣先の提供(ただし、派遣労働者の能力、経験等に照らして合理的なものに限る)
  3. 派遣元事業主による無期雇用
  4. その他雇用の安定を図るために必要な措置

これらの措置を講ずる対象者と責務の内容については、下表のとおりです。

ご覧のとおり、派遣される期間の長短によって派遣元事業主の負う雇用安定措置が法的義務なのか、努力義務にとどまるのかが異なります。

また、いずれも派遣労働者が継続して就業することを希望する場合に限られます。

【雇用安定措置の対象者と責務の内容】

雇用安定措置の対象者

派遣元事業主の責務の内容

同一の組織単位に継続して3年間派遣される見込みがある者

上記①〜④までのいずれかの措置を講ずる法的義務[1]

同一の組織単位に継続して1年以上3年未満派遣される見込みがある者

①〜④までのいずれかの措置を講ずる努力義務

上記以外の者で派遣元事業主に雇用された期間が通算1年以上の者(いわゆる「登録状態」の場合を含む)

①〜④までのいずれかの措置を講ずる努力義務

[1] ①の措置を講じた場合で、派遣先に直接雇用されなかったときには、②〜④までのいずれかを追加で講ずる義務があります。

ただし、これら雇用安定措置がどれほど派遣労働者の雇用の安定に資するかは今後の運用次第であり、また、たとえば前記②の措置にいう「合理的なもの」の内容が不明確であるなど、いかなる場合に派遣元が雇用安定措置を講じたと評価されるかは明確ではありません。

さらに、違反した場合の私法上の効果(たとえば派遣労働者と派遣先との間に労働契約が成立する、又は派遣元との間に無期労働契約が成立する等)についても明らかではありません。

(2)派遣元事業主及び派遣先事業主によるキャリアアップ措置 

改正法により、派遣元事業主に対して、派遣労働者のキャリアアップを図るため、段階的かつ体系的な職業訓練及びキャリア・コンサルティングを実施する義務が新たに課せられました(改正法30条の2)。

教育訓練の内容は派遣元事業主の裁量に委ねられますが、派遣労働者のキャリアアップに資する内容であることが必要であり、段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画を定め、有給かつ無償で行う必要があります。無期雇用派遣労働者に対しては、長期的なキャリア形成を念頭に置いた内容であることが必要です。

また、派遣先事業主についても、派遣元事業主の求めに応じて、派遣労働者が教育訓練を受けられるように可能な限り協力し、また必要な便宜を図るよう努めなければならない、とされています。

派遣元事業主から求めがあったときは、派遣元事業主によるキャリアアップ支援に資するよう、派遣先は派遣労働者の職務遂行状況等の情報を提供するよう努めなければならないとされています(改正法40条6項)。

 4.改正のポイント④

派遣労働者の均衡待遇の強化

平成24年改正で派遣労働者と派遣先の労働者の均衡待遇の推進に係る措置が盛り込まれたところ、改正法によりさらに強化されています。具体的には以下のとおりです。

(1)派遣元事業主が講ずべき措置

平成24年改正により、派遣元事業主は、派遣先で同種の業務に従事する労働者との均衡を考慮しながら、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生の実施を行うよう配慮しなければならないこととされました。

改正法により、これらの配慮義務に加え、均衡待遇の確保のために考慮した内容を本人の求めに応じて説明する義務が課されました(改正法31条の2)。

(2)派遣先事業主が講ずべき措置

改正法により、派遣先に対して、以下の義務が課せられました(改正法40条)。

ア 賃金水準の情報提供の配慮義務


派遣先は、派遣元事業主が派遣労働者の賃金を適切に決定出来るよう、派遣元事業主から求めがあったときは、以下の情報を提供する等の配慮をしなければなりません。

派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者の賃金水準

派遣労働者と同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準(賃金相場)

派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者の募集時の求人条件の情報

イ 教育訓練の実施に関する配慮義務


派遣先は、派遣先の労働者に対して業務と密接に関連した教育訓練を実施する場合、派遣元事業主から求めがあったときは、派遣元事業主で実施可能な場合を除き、派遣労働者に対してもこれを実施するよう配慮しなければなりません。

ウ 福利厚生施設の利用に関する配慮義務


派遣先は、派遣先の労働者が利用する福利厚生施設については、派遣労働者に対しても利用の機会を与えるようにしなければなりません。

エ 派遣料金の額の決定に関する努力義務


派遣先は、派遣料金の額の決定にあたっては、派遣労働者の就業実態や労働市場の状況等を勘案し、派遣労働者の賃金水準が、派遣先で同種の業務に従事する労働者の賃金水準と均衡の図られたものとなるよう努めなければなりません。

また、派遣先は、労働者派遣契約を更新する際の派遣料金の額の決定にあたっては、就業の実態や労働市場の状況等に加え、業務内容等や要求する技術水準の変化を勘案するよう努めなければなりません。

 

 5.改正のポイント⑤

労働契約申込みみなし制度

平成24年改正において、違法派遣の是正にあたって派遣労働者の保護を図ること、違法派遣を受け入れた派遣先にもペナルティを科すことで法規制の実効性を確保することを目的として、派遣先が違法派遣を受け入れた場合、派遣先が派遣労働者に対して、その派遣労働者の派遣元事業主における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなす労働契約申込みみなし制度が創設され、平成27年10月1日から施行されています(労働者派遣法40条の6第1項)。

対象となる違法派遣は、以下のとおりです。

  • 労働者派遣の禁止業務に派遣労働者を従事させた場合
  •  無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合
  •  期間制限に違反して労働者派遣を受け入れた場合
  •  いわゆる偽装請負[1]の場合

なお、「期間制限」違反とは、改正法により新たに設けられた事業所単位の期間制限と、個人単位の期間制限、いずれに違反した場合も該当します。

また、改正法の施行日(平成27年9月30日)時点で既に締結されている労働者派遣契約に基づく労働者派遣については、旧法の期間制限が適用され(改正法附則9条)、労働契約申込みみなし制度の対象とはなりません。

[1] 偽装請負とは、労働者派遣法等の規定の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、必要な事項を定めずに労働者派遣の役務の提供を受ける場合をいいます。

 

 6.改正のポイント⑥

募集情報の提供義務

派遣先は、同一の事業所で同一の派遣労働者を継続して1年以上受け入れており、その事業所で働く正社員を募集する場合には、その正社員の募集情報を周知しなければならないこととされました(改正法40条の5第1項)。

また、派遣先は、派遣先の同一の組織単位の業務に、継続して3年間受け入れる見込みがある派遣労働者について、派遣元事業主から、雇用安定措置としてその派遣労働者を直接雇用するように依頼があり、その事業所で働く労働者を募集する場合には、受け入れている派遣労働者に対して、正社員に限らず、その労働者の募集情報を周知しなければなりません(改正法40条の5第2項)。

 

 7.総括

改正法では、労働者派遣事業は許可制に一本化され、悪質な業者が排除されることにより派遣労働者の環境が改善することが期待されます。

しかしながら、とりわけ期間制限の改正に関して、企業の側から見れば3年ごとに人を入れ替えて、労働組合の意見を聴くという手続を踏みさえすれば工場等の「事業所」において同じ業務をずっと派遣労働者に任せることができる一方、派遣労働者の側から見れば、従来は一定の専門業種であれば同じ職場で働き続けることができたのに、改正により3年ごとにいわゆる「課」等(「組織単位」)を変えなければ同じ工場等(「事業所」)で働き続けることができなくなるため、立法者の意図に反して派遣労働者の雇用の安定に繋がらない可能性も考えられます。

今般の労働者派遣法改正が立法者の意図どおりの効力を持つかどうかは、派遣元事業主や派遣先事業主等の関係当事者が法の趣旨に沿って派遣労働者の雇用安定に努力するかどうか、また、厚生労働省等の所轄官庁による指導・監督体制による実行力ある担保が伴うかどうかがポイントとなると思われ、今後の実務の動向を見守っていく必要があります。

本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な法的アドバイスではないことをご了承ください。

 
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