ポイント

  1. 紛争発生の予兆を察知することは、紛争の発生・拡大の防止につながる
  2. 事前対応によって、紛争の発生・拡大を防止することは可能である
  3. 紛争発生の予兆を察知することで、証拠の収集・保全が可能となる

紛争発生の予兆の事前察知の重要性

紛争発生の予兆を事前に察知することの意義は、以下の3点にあります。

紛争の「発生」防止

紛争発生の予兆を察知することができれば、取引先との契約内容を修正すること等によって、紛争の発生そのものを防止できる可能性があります。

そこで、紛争発生の予兆を察知した場合には、問題となっている契約(以下「原契約」といいます。)の内容を再度確認し、場合によっては原契約の内容を修正する旨の「覚書」等を取り交わすことで紛争の発生を予防できる可能性があります。

「覚書」の締結等、原契約の修正にも相応の時間・コストを要しますが、紛争が発生した場合の対応が必要となった場合には、より多くの時間・コストを要することになります。

したがって、少しでも早期に紛争を解決するとともに、紛争解決に要するコストを抑えるためには、原契約修正によって紛争の発生自体を未然に防止する必要があります。

紛争の「拡大」防止

仮に紛争の発生自体は避けられないとしても、いち早く対策を講じることによって、紛争の拡大を防止することが期待できます。

たとえば、売買契約において、取引先の経営状況が悪化し資力に問題が生じているにもかかわらず、安易に取引関係を継続し、商品を供給し続けた場合、後日取引先の経営が破綻し、売掛金の回収が不能となる可能性があります。それにもかかわらず、漫然と売買契約を継続すればするほど、回収不能となる売掛金の金額が増えることになり、自社の経営に支障を来たす事態になってしまうこともありえます。

このような深刻な事態にまで発展することのないよう、紛争の予兆を察知した場合には、できる限り早期に対策を講じ、紛争の拡大を防止する必要があります。

前記の例でいえば、取引先の経営状況が悪化しているという予兆を察知した場合、商品の販売数を調整したり、各取引における売買代金の支払時期を早めてもらうようにしたりすることで、売掛金の回収が不能になるリスクをできる限り抑えるように対応していく方法が考えられます。

証拠の収集・保全

将来の紛争の発生は避けられない場合であっても、紛争発生の予兆を事前に察知することで、将来の紛争に備えた証拠の収集・保全をすることが可能となります。

たとえば、ソフトウェア開発委託契約締結後に、受託者が開発した成果物が完成する前に、当該成果物の著作権の帰属に関する条項の解釈を巡って受託者と対立が生じている場合には、著作権の帰属について決着がつくまで、受託者が契約内容に従った業務を遂行してくれない可能性があります。

このように、契約条項の解釈を巡って紛争に発展する予兆がある場合には、紛争に発展する前の時点から、意識的に有利な証拠を収集・保全するように対応していく必要があります。前記の例でいえば、仮にソフトウェア開発委託契約書上、成果物の著作権の帰属に関する条項そのものがなかったり、規定されていても委託者・受託者いずれに帰属するか明確でなかったりした場合には、口頭でいくら議論しても後日立証することができずに水掛け論で終わってしまうため、意識的にメールやFAX等、記録として残る媒体で行うようにしたりするほか、場合によっては受託者の担当者に架電する際に電話録音を実施するなどの対策を講じ、契約書以外の証拠を収集する等の対応が考えられます。

自社にとって有利な証拠を収集・保全することができれば、後日紛争に発展したとしても、これらの証拠をもとに交渉をすることで、早期に紛争解決をすることも期待できます。

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