【ポイント】
- 新型コロナウイルス感染症に対する水際対策の抜本的強化がなされており、国内でも多くの感染者が確認されている状況では、強制帰国は必ずしも安全策でない
- 海外で勤務する労働者のメンタルケアが重要
【相談例】
海外に勤務している労働者には、会社としてどのように対応すべきでしょうか。
【回答】
日本国内でも多くの感染者が確認されている今日では、感染危険地域の海外駐在員や家族の強制帰国は、必ずしも安全策とは言い切れません。
また、帰国者への偏見や、家族のみの帰国の場合は「希望しない」「終わりの見えない」単身赴任者を生む可能性もあり、メンタルケアの必要があります。
当該労働者が駐在国にとどまる場合には、国の情勢に合わせ、① 食料、ライフライン、薬剤の確保、② 感染者へのフォロー体制の構築についても検討しましょう。
【解説】
1 新型コロナウイルス感染症に対する水際対策の抜本的強化
令和2年3月9日午前0時以降に中華人民共和国又は大韓民国、3月21日午前0時以降にヨーロッパ諸国又はエジプト、3月26日午前0時以降に米国、3月28日午前0時以降にインドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、イスラエル、カタール、コンゴ民主共和国、バーレーンを出発され日本に到着する航空機及び日本の港に入港する船舶に乗って来た方、又はそれ以外の全ての国・地域を出発した方で、4月3日0時以降に日本に到着する航空機及び日本の港に入港する船舶に乗って来た方には、検疫法での隔離・停留が必要な場合のほか、検疫所長が指定する場所(自宅等)において14日間の待機をすることとなります。(加えて、入国した日の過去14日以内に『入管法に基づく入国制限対象地域』に滞在歴のある方については、全員にPCR 検査が実施されます。)
また、自宅等へは公共交通機関を使わず、ご家族やお勤めの会社等による送迎での帰宅することとなります(令和2年4月29日時点。詳しくは、以下の厚生労働省サイトをご覧ください)。
日本国内でも多くの感染者が確認されている今日では、感染危険地域の海外駐在員や家族の強制帰国は、必ずしも安全策とは言い切れません。
2 メンタルケアの重要性
また、帰国者への偏見や、家族のみの帰国の場合は「希望しない」「終わりの見えない」単身赴任者を生む可能性もあり、メンタルケアの必要があります。
駐在国にとどまる場合には、国の情勢に合わせ、① 食料、ライフライン、薬剤の確保、② 感染者へのフォロー体制の構築についても検討しましょう。
現地社員との文化や国民性の違いによる摩擦や日本のようなサービスを期待できないこと、気候の変化などへのストレスも蓄積し、海外に勤務している労働者がうつ状態、適応障害などのメンタル不調を起こしやすいことも考えられます。
メンタルヘルスの相談はできるだけ母国語で話すことができることが重要で、離れて暮らす家族や知り合いには「心配をかけたくない」「相談しづらい」という場合は、第三者の窓口にオンライン等で相談することを会社から提案することも考えられるでしょう。