【ポイント】

  1. 従業員の住所や携帯電話番号、メールアドレス等の連絡先は、個人情報保護法上の「個人情報」に該当する可能性がある
  2. 「個人情報」に該当する場合には、利用目的を特定した上であらかじめ本人に通知または公表する必要がある
  3. 緊急連絡網を作成することは可能だが、個人情報保護法の規制には留意する必要がある

【相談例】

当社の従業員が新型コロナウイルスに感染した場合や、感染可能性の情報を社内で共有するために、緊急連絡網を作成することは可能でしょうか。

【回答】

新型コロナウイルス対策のために感染者情報等を共有する目的で緊急連絡網を作成する場合には、従業員の住所や携帯電話番号、メールアドレス等の連絡先の取扱には注意が必要です。

住所や携帯電話番号、メールアドレス等は、「個人情報」に該当する可能性があり、個人情報保護法の規制を受ける場合があります。

会社内で緊急連絡網を作成する際には、住所や携帯電話番号、メールアドレス等が個人情報にあたる可能性があることに留意し、利用目的を設定するほか、共有する範囲を明確に設定するようにしましょう。

【解説】

住所・携帯電話番号・メールアドレス等の扱い

新型コロナウイルス感染症対応のために、社内で緊急連絡網を作成しようとする場合、緊急連絡網に掲載する従業員の住所や携帯電話番号、メールアドレス等の連絡先が「個人情報」に該当するかどうかを検討する必要があります。これらの連絡先に関する情報が「個人情報」に該当する場合、個人情報保護法の規制を受ける場合があるためです。

住所・携帯電話番号

この点、住所や携帯電話番号だけでは「個人情報」に該当するとは断言することはできず、「個別の事例ごとに判断することになりますが、他の情報と容易に照合することにより特定の個人を識別することができる場合、当該情報とあわせて全体として個人情報に該当することが」あるとされています。(「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」及び「個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応について」に関するQ&A」Q1−3[1])。

メールアドレス

また、メールアドレスについては、「メールアドレスのユーザー名及びドメイン名から特定の個人を識別することができる場合(例:kojin_ichiro@example.com)、当該メールアドレスは、それ自体が単独で、個人情報に該当します。

これ以外の場合、個別の事例ごとに判断することになりますが、他の情報と容易に照合することにより特定の個人を識別することができる場合、当該情報とあわせて全体として個人情報に該当することがあります(「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」及び「個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応について」に関するQ&A」Q1−4[2])。

「個人情報」に該当する場合の連絡先の扱い

従業員の住所や携帯電話番号、メールアドレス等の連絡先に関する情報が「個人情報」に該当する場合、個人情報保護法の規制を受けることになります。

個人情報保護法の規制を受ける場合、個人情報を利用する目的を特定した上で、本人に通知または公表する必要があります(個人情報保護法15条、18条)。

また、会社は、個人情報が掲載されている緊急連絡網の漏洩や滅失、毀損等の防止に努めなければなりません(個人情報保護法20条)。

したがって、社内で緊急連絡網を作成する場合には、従業員の連絡先が個人情報に該当する可能性があることに留意し、緊急連絡網を作成する目的を特定した上で、どの範囲で共有するかを検討するようにしましょう。

 

[1] [2] 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」及び「個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応について」に関するQ&A(平成29年2月16日/平成30年7月20日更新))