【ポイント】
- まずは、新型コロナウイルスの流行時期に必要な業務であるかどうかを判断する
- 出張がやむを得ない場合には、出張から帰った従業員を直ちに出社させることは避けるべき
【相談例】
新型コロナウイルス感染者が多く、危険と思われる地域にやむを得ず従業員を出張させなくてはなりません。どのように対応すべきでしょうか。
【回答】
まずは、新型コロナウイルスの流行時期に必要な業務であるかどうかの見極めが重要です。この時期である必要がない業務であれば、流行地域での出張は自粛すべきであり、またその他の地域への出張も自粛すべきです。
もっとも、出張に行くことが必要な業務であり、やむを得ない場合には、出張から帰った従業員を直ちに出社させることは避け、職場での感染リスクを防止すべきでしょう。
以下の事柄に気をつけましょう。
- 現在の体調に異変はないか
- あるとしたらどのような状況か
- 発熱があるようであれば、地域の保健所等に連絡する
- そこで保健所等の指示を受ける
【解説】
使用者の安全配慮義務
使用者(会社)には、労働者(従業員)の健康等について、安全配慮義務があります(労働契約法5条参照)。
新型コロナウイルスの流行時期に感染危険地域へ出張させることは、感染のリスクが極めて高いものと考えられます。また、出張地に行くまでに利用することが多い電車等の公共交通機関は、閉鎖空間であり、かつ、乗客同士の距離が近いため、感染のリスクがあります。
使用者としては、労働者の安全に配慮するため、新型コロナウイルスの流行時期に必要な業務であるかどうかの見極めが重要です。
やむを得ず出張させる場合
職場での感染リスク防止のため、出張から帰った従業員を直ちに出社させることは避け、当該従業員には以下の事柄に気をつけるよう、指示すべきでしょう。
- 現在の体調に異変はないか
- あるとしたらどのような状況か
- 発熱があるようであれば、地域の保健所等に連絡する
- そこで保健所等の指示を受ける
従業員への企業方針の周知
会社において出勤ルール(発熱・咳症状等は出勤不可)を設けるにあたっては、従業員に対し、なぜ出勤ルールを設けるのかという新型コロナウイルスに対する企業方針を周知し、理解させる必要があります。
- 労働者・関係者の生命・安全・健康の確保
- 社内資産と環境保護
- 事業継続性の確保
「健康管理に対する正確な知識を持ち、適切に対処し、行動できること」を意味するヘルスリテラシーを向上させるため、特に(1)については、経営者が自らの言葉で全労働者へ徹底を強調することが望ましいでしょう。