ポイント
- メンタルヘルスリスクの最大の原因が、「職場の人間関係の問題」である
- ハラスメント被害を訴える労働者は年々増加傾向にある
- ハラスメントトラブルは、被害の深刻化・加害者への影響・企業の責任問題と、深化・拡大するおそれがある
メンタルヘルスリスクの原因
前記のとおり、労働者のストレスや心の健康問題が深刻化しているとの報告・指摘が多方面からなされています。そして、労働者のメンタルヘルスリスクの原因のうち、最も多い原因が、「職場の人間関係の問題」(41.3%)ということは、注目に値するといえます。
ハラスメント被害の労働者の増加
「職場の人間関係の問題」には、上司や部下、同僚同士との間でのコミュニケーションがうまく取れなかったり、相性が悪かったりするという程度のものもあれば、深刻なハラスメントトラブルも含まれていることが考えられます。
ハラスメントトラブルも、職場の人間関係の問題が発展してしまった一例とみることができます。
そして、ハラスメントトラブルは、年々増加傾向にあります。厚生労働省によれば、民事上の個別労働紛争の相談件数のうち、「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は、以下のように増加しているというデータがあります。
平成14年度:約6600件
平成23年度:約4万5900件
平成30年度:8万2797件(前年度比14.9%)
ハラスメント被害の深刻化
そして、ハラスメントによる被害は、被害者がうつ病を発症したり、ときには自傷行為・自殺等、より深刻な事態に陥ったりすることも見られるようになっています。
また、ハラスメントトラブルが発生すると、被害者だけではなく、加害者の人生も一変することになります。
ハラスメント被害が事実であると認められれば、加害者は、懲戒処分の対象になるほか、人事評価にも影響することになります。その結果、加害者が左遷や降格をされたりすることも起こり得ます。
また、ハラスメントトラブルは、加害者と被害者という当事者同士だけの問題ではなく、企業にも責任が及ぶ可能性があります。
ハラスメントトラブルに伴うコンプライアンスリスクは、別途詳述しますが、当事者だけでなく企業の問題にも発展するおそれがあることを踏まえ、未然にハラスメントトラブルを防止する対策を講じることが大切です。
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