製造業におけるクレーム対応

製造業におけるクレームは、品質に関連するもの、環境面に関連するものなど様々なものがあります。いずれの場合であっても、苦情を受けたら、まずは苦情主の話をよく聞いて受けとめる必要があります。苦情の内容をよく確認し、ポイントを整理してから次の対応策をとるようにしましょう。

製品の品質に関連するクレーム

製造業においては、品質について苦情を受けることがあります。製造業では、工程が細かく分かれているため、問題となる品質とは直接関係しない部署に苦情を受けることがあります。そのような場合でも、会社全体での品質に対して苦情を受けているということを忘れずに誠意をもって真摯に対応する姿勢が重要になります。

製品についての苦情を受けたら、①同じ製品が市場にどれくらいで回っているかを確認、②出荷待ち製品の中に同様の製品が混じっていないかを確認、③製造の流れをストップするかどうかを検討します。少ない情報の中でも、苦情の内容を精査し、①から③についてできるだけ早く判断して行動に移す必要があります。

品質についての苦情の原因を追究

苦情の内容と、取り急ぎ対応すべきことが決定したら、次は原因を究明します。原因の追究にあたっては、何度も現場である工場に足を運び、現場を観察することが必要です。人に由来する不良なのか、方法論による不良なのか、それ以外の環境面が影響しての不良なのか、材料についての不良なのか、細かく分析するようにしましょう。

改善のためにすべきこと

全社的に苦情を共有し、今後社員がどう対応していかなくてはならないのかを教育していく必要があります。小手先の対応に頼るのではなく、全社一丸となって苦情を受けないようにするための組織づくりをしていくようにしましょう。

環境面に関連するクレーム

製造業では、騒音や悪臭についてのクレームも多くありますが、それぞれについて個別にみていきましょう。

騒音について

事業活動等での騒音は「騒音規制法」という法律で規制されています。工場等の施設で発生する騒音の敷地の境界線における大きさの許容限度が定められており、一定の基準を超えた場合は取り締まりの対象となります。特に住宅街、学校、病院の周辺では基準が厳しくなっていますので、防音対策には万全を尽くしましょう。

住民から行政に騒音の訴えがあると、その企業に対して改善勧告や改善命令が出されます。従わないと罰則を受ける可能性もありますので、誠実に対応する必要があります。

また、民事訴訟に発展した場合には、高額の慰謝料を求められるケースもありますので、普段から窓の開閉や作業時間の短縮等、可能な限り周辺に配慮して業務を行うのが良いでしょう。

悪臭について

悪臭については、「悪臭防止法」という法律で規制されています。この法律は、規制地域内の工場・事業場の事業活動に伴って発生する悪臭について必要な規制を行うこと等により生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的としています。

行政が定めた基準を超え、住民の生活環境が損なわれている場合には、その企業に対して改善勧告や改善命令が出されます。騒音同様に命令に従わないものには罰則が適用されます。

まとめ

製造業では、品質や環境面でクレームを受けることが多くありますので、普段からクレームを受けないような対策をするとともに、クレームがあった場合にどうするかを明確に定めておく必要があります。また、騒音や悪臭を規制する法律については、条令で細かい基準が定められていますので、法律だけではなく条令も細かくチェックする必要があります。

顧問弁護士に依頼すると、法律や条令の解釈に基づき、自社にあったクレーム対応マニュアルの作成についてもアドバイスを受けることができます。また実際にクレームを受けた場合も、早期に第三者である顧問弁護士に間に入ってもらうことで、安心して対応することが可能になります。工場に関連するクレームでお困りのことがあれば、ぜひ当事務所にご相談ください。