ポイント

  1. 情報の種類は、企業内機密情報と個人情報に大別することができる
  2. 情報を分類する意義は、規制法令の分類と、情報の管理方法の峻別にある
  3. 情報の財産的価値によっては、1件の情報漏洩で数百億円以上の被害が生じることもある

情報の種類

企業情報を分類すると、まずは①個人情報と②企業内機密情報(狭義の企業情報)に大別されます。

図表 情報の種類

企業内機密情報とは

企業内機密情報とは、営業情報や特許権等の知的財産権に関する情報等、財産的価値や秘匿性が高い、企業活動にとって重要な情報です。狭義の企業情報は、この企業内機密情報を指します

そして、企業は社内外に多数の利害関係者が存在し、それらの情報を管理していることから、さらに自社情報と他社情報の2つに分類することができます。

個人情報とは

個人情報とは、生存する個人に関する情報であり、特定の個人を識別することができる一定の要件を満たした情報をいいます(個人情報保護法)。

個人情報は、さらに社内情報(従業員や役員の個人情報)と社外情報(顧客の個人情報や、関連会社の従業員の個人情報)に分類されます。

情報を分類する意義

規制法令の分類

このように、企業情報をその種類や利害関係者との関係性によって分類する意義は、規制法令が異なることにあります。

詳細については後記のとおりですが、個人情報は個人情報保護法や番号利用法による規制対象となりえます。

一方、企業内機密情報は、不正競争防止法や、インサイダー取引に関する情報であれば金融商品取引法による規制対象となりえます。

情報の管理方法の峻別

それぞれの企業情報を規制する法律が異なると、その適切な管理方法や求められる保護の要件も異なります。このため、企業としては、情報の性質ごとにその管理方法を構築する必要があります。

情報の財産的価値

このように、情報の種類に応じた適切な管理体制を構築することの必要性は、情報の財産的価値に照らしてみるとイメージしやすいかもしれません。

以下で紹介する実際に起きた過去の情報漏洩事件おける企業の損害から、それぞれの情報の財産的価値を確認できます。

教育関連企業による情報漏洩事件

事件のあらまし

2014年、教育関連企業A社におけるグループ会社B社の業務委託先の元社員Cが、顧客情報約3500万件(登録者及び子の氏名、性別、生年月日及び続柄、住所、電話番号、出産予定日、メールアドレス)を名簿屋Dへの売却するなどして流出させるという事件が発生しました。

図表 教育関連企業における情報漏洩事件

当事者の責任

本件では、情報漏洩を行った元社員Cは不正競争防止法違反に問われ、刑事処分を受けています。

一方、グループ会社B社に顧客情報約3500万件を預けていたA社は、顧客の個人情報を漏洩したことの補償として、各顧客に対し、1件あたり500円の商品券を配布することを決定しました。

1件あたり500円という補償をどのように評価するかは、価値観によってさまざまあるかと思いますが、A社はこの補償のために約200億円もの費用を支出したとされています。またA社は、この事件によって会員の解約が相次ぐことになったとも言われています。

本件では企業側から任意に情報漏洩被害者に対する補償を行っています。情報漏洩が発生した際に企業自ら補償対応をするかはケースバイケースとなりますが、他社の事例などもみると、企業自ら保証対応する場合には、補償額は1件あたり500円から1000円程度になる傾向にあります。もっとも、1件あたりの補償額が低額であったとしても、漏洩件数が多数に上れば、本件のように企業の経済的損失は甚大なものとなります。

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