はじめに

不動産投資の中でも「サブリース(家賃保証)契約付き物件」や「一棟マンション投資」は、大きな収益を狙える一方で、トラブルやリスクも少なくありません。サブリースでは家賃の減額請求や契約解除、入居者との対応をめぐる問題が起きやすく、一棟マンションでは空室リスクや多額の修繕費が収益を圧迫する可能性があります。

本稿では、サブリース契約と一棟物件投資の特有のリスクや注意点、さらに安全に運用するためのポイントを解説します。

Q&A

Q1.サブリース契約とは、具体的にどういう仕組みですか?

サブリース契約は、不動産会社(サブリース業者)が物件を一括借上げして、実際の入居者に転貸する方式です。オーナーは業者から固定の家賃保証を受け取れるため、空室が出ても安定収入が期待できるという宣伝がされますが、契約期間中に賃料減額を求められるリスクなどが問題化しています。

Q2.一棟マンション投資のメリットとデメリットは何でしょうか?

メリット

  • 複数戸からの家賃収入で空室リスクが分散され、安定したキャッシュフローを得られる可能性。
  • 規模が大きい分、レバレッジ効果(融資活用)で高い利回りを実現しやすい。
  • 物件をまとめて管理でき、建物全体の修繕方針をオーナー主導で決定できる。

デメリット

  • 投資額が高額で融資リスクが大きい。空室率が一定以上になるとキャッシュフローが悪化。
  • 大規模修繕費用が一度にかかりやすく、メンテナンスコストが高い。
  • エリア選定や運営ノウハウが不十分だと破綻リスクもある。
Q3.サブリース契約でよく起きるトラブルは何ですか?

代表的には以下のトラブルがあります。

  1. 家賃保証の減額
    当初「賃料の90%保証」を謳っていたが、数年後に「周辺相場が下がった」という理由で一方的に減額を通知される。拒否すると契約解除をちらつかされる。
  2. 契約解除リスク
    業者が経営方針を変え、採算合わない物件をまとめて契約解除するケースも。オーナーは突然自主管理を余儀なくされる。
  3. 修繕費負担の不明確さ
    屋根や外壁などの大規模修繕費をサブリース会社が負担すると言っていたが、契約書上はあいまいで、いざ修繕が必要になるとオーナー負担とされるなど。
Q4.一棟マンション投資で、空室リスクを軽減するにはどうしたらいいのでしょうか?

例えば、下記のような手段が考えられます。

  1. 立地選定
    駅近、需要が高いエリアで、間取りや築年数も需要に合致しているかを調査。
  2. リノベーションや設備投資
    古い物件を魅力的にアップデートすることで、家賃維持と入居率向上を狙う。
  3. 運営ノウハウ
    信頼できる管理会社を選び、入居募集や退去対応を迅速に行う。
  4. 家賃設定を適正化
    相場より高すぎる賃料だと空室が長引く。競合物件を分析して適正価格を定める。
Q5.弁護士に相談すると、どのようなメリットがありますか?

サブリース契約や一棟物件投資では、契約書の条項や業者との交渉、修繕費負担、賃貸借契約トラブルなど法的問題が発生するおそれもあります。弁護士に相談することで、

  1. 契約書のリーガルチェック
    不利な条項や減額リスクを事前に把握・修正交渉。
  2. 紛争対応・交渉代理
    サブリース業者との減額交渉や契約解除問題で弁護士がスムーズに対処。
  3. 相続や共有問題への対応
    一棟物件を家族や共同投資家と所有する際のルール作りや、将来の相続対策もサポート。
  4. 弁護士法人長瀬総合法律事務所の経験
    不動産トラブル事例を解決し、契約段階から安全策を提案可能。

解説

サブリースの仕組みと注意点

  1. サブリース契約の流れ
    • オーナーが物件をサブリース会社に一括賃貸。
    • サブリース会社が入居者に転貸し、家賃保証を行う。
    • オーナーは空室があっても一定の保証賃料を受け取れるという安心感がメリット。
  2. 家賃保証の減額条項
    • サブリース契約では「賃料を相場に合わせ見直す」といった条項があり、減額交渉される可能性がある。
    • 拒否すると契約解除をほのめかされるなど、実質的に受け入れざるを得ないリスクもある。
  3. 修繕負担の曖昧さ
    • 「軽微な修繕は会社負担」「設備交換や内装リフォームはオーナー負担」など、詳細を契約書で明確化しておかないと、後に全額オーナー負担と言われてトラブル化するおそれがある。

一棟マンション投資の留意点

  1. 大規模修繕費
    • RC造のマンションなら外壁・屋上防水、配管交換など、数百万円~数千万円規模の修繕が必要になることがある。
    • 修繕積立を計画的に行っていないと、資金不足で修繕延期→物件劣化→賃料下落という負の連鎖に。
  2. 運営管理の複雑さ
    • 数十戸以上の入居者がいる場合、クレーム対応、家賃管理、リフォーム手配などがオーナーまたは管理会社に求められる。
    • 管理会社選びを誤ると、入居率や入居者満足度が下がり、収益悪化の原因となる。
  3. 法人化の検討
    • 規模が大きい場合、個人名義よりも法人を設立して所有する方が税務上のメリットを得られるケースがある。しかし法人維持コストや事務負担にも注意が必要。

トラブル回避のポイント

  1. 契約前の入念チェック
    サブリース契約なら減額条項修繕負担を明確化。一棟物件購入時はレントロール(賃貸名簿)や修繕履歴を必ず確認。
  2. ローン審査と金利変動リスク
    大きな借入金で投資する場合、変動金利の上昇や空室増で収支が悪化しやすい。十分な自己資金と、金利上昇を織り込んだCFシミュレーションが重要。
  3. 地域需要の調査
    サブリース会社が「家賃保証」を約束しても、物件の地域需要がなければ後々減額リスクが高まる。自分で市場を確認しておくことが重要。

弁護士に相談するメリット

  1. 契約リスクの洗い出し
    サブリース・管理委託などの契約で、減額条項や解除条項、修繕費負担などの法的リスクを事前に指摘し、契約交渉を有利に進められる。
  2. トラブル・紛争時の代理人対応
    家賃減額交渉や修繕費負担でもめた際、弁護士が代理で業者と交渉し、法的根拠を主張。必要に応じて訴訟対応もスムーズに行える。
  3. サブリース会社の倒産・解約リスク
    もしサブリース会社が経営不振で倒産した場合、契約解除を迫られたり、家賃の未払いが生じることがある。弁護士が法的手続きを駆使し、オーナーの利益を守る。
  4. 弁護士法人長瀬総合法律事務所のノウハウ
    当事務所(弁護士法人長瀬総合法律事務所)は、サブリース紛争や管理会社とのトラブルなどの事例を解決。法律と不動産実務を掛け合わせたアドバイスが可能です。

まとめ

サブリース投資のポイント

  • 家賃保証をうたうが、契約条項で減額や解約ができる場合が多い
  • 修繕負担や更新時の賃料見直しを契約書で確認
  • サブリース業者の経営リスクに注意

一棟マンション投資のポイント

  • 投資額が大きく、空室率・修繕費などリスクも高いが、複数戸からの家賃収入で安定収益を狙える
  • 大規模修繕費の積立と管理ノウハウが鍵
  • 地域需要と賃貸市況を調査し、金利変動もシミュレーション

成功へのカギ

  • 契約書の徹底チェック(サブリース減額条項など)
  • 収支シミュレーションに経費や空室率を織り込み
  • 信頼できる管理会社の選定と物件の継続的メンテナンス

弁護士活用

契約段階からトラブル発生時までサポートを受けられ、安全かつ合理的な投資運営が可能

サブリースも一棟物件も、運営手法やリスクをよく理解して取り組まなければ、思わぬ損失を被る可能性があります。投資前の徹底調査と契約リスクの分析を行い、専門家のアドバイスを取り入れながら慎重に判断することが成功への近道といえます。


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