司法取引のリスクと対策に関するQ&A
Q1: 司法取引制度とは何ですか?また、企業にどのような影響がありますか?
A: 司法取引制度とは、被疑者や被告人が他人の犯罪について捜査協力を行うことで、自らの処分(不起訴や執行猶予など)に有利な取り扱いを受けることを目的とした制度です。日本では2018年6月に導入されました。この制度は、特に企業犯罪の捜査で効果を発揮するため、企業にとってもリスクとなり得ます。例えば、従業員が会社の法令違反を捜査機関に協力することで、会社や経営者が起訴されるリスクがあるため、企業はコンプライアンス体制をより強固にする必要があります。
Q2: 司法取引にはどのような問題点があるのでしょうか?
A: 司法取引の主な問題点は以下の通りです。
- 違法性の判断が難しいケースが多いこと
租税法や独占禁止法、その他の経済法違反では、適法か違法かの判断が難しい「グレーゾーン」が多く、経営陣が違法性を認識していない状況でも、司法取引の対象とされる可能性があります。 - 防止策が打ち出しにくいこと
刑法や経済法など多岐にわたる法令に対して、全ての防止策を網羅することは困難です。 - 引き込みのリスク
司法取引に応じた従業員が虚偽の供述を行うことで、企業や経営陣が捜査機関に引き込まれ、無実であっても不利益を被るリスクがあります。
Q3: 弁護士に相談することでどのようなメリットがありますか?
A: 弁護士に相談することの主なメリットは以下の通りです。
- 専門知識に基づく適切な助言:刑事事件に精通した弁護士が、企業や経営者が直面するリスクを分析し、迅速かつ適切な対応を行います。
- 企業のコンプライアンス体制の強化:弁護士の視点からコンプライアンス体制の整備をサポートし、リスク防止に向けた規程の策定やチェックを行います。
- 初期対応の迅速化:経営陣が突然捜査対象となった場合でも、弁護士が迅速に対応し、初期段階からの適切な防御戦略を立案することが可能です。
司法取引制度の概要
1. 司法取引制度とは
司法取引制度は、被疑者や被告人が捜査機関に対して他人の犯罪について供述や証拠提出などの協力を行うことで、処分の軽減や不起訴などの有利な取り扱いを受けることを目的とした制度です。この制度は、企業の組織犯罪の解明に役立つことから、日本でも刑事訴訟法が改正され、2018年6月にスタートしました。
企業における犯罪は、関係者が多く、証拠収集が困難なケースも多いため、従業員や関係者が捜査協力することで組織的な犯罪を解明しやすくする狙いがあります。
2. 司法取引の内容
司法取引において、被疑者や被告人が捜査機関に提供する協力内容は、以下の通りです(刑事訴訟法350条の2第1項1号)。
- 他人の犯罪事実を明らかにする真実の供述を行うこと
- 証拠物を提出すること
- 他人の刑事事件の証人尋問で真実の供述を行うこと
3. 司法取引の対象となる犯罪
司法取引の対象となる犯罪は、法律に定められた「特定犯罪」に限定されています(刑事訴訟法350条の2)。企業犯罪としてよく対象となる犯罪には以下のものがあります。
- 租税法違反の罪
- カルテルや談合等の独占禁止法違反の罪
- 金融商品取引法違反の罪
- 犯人蔵匿や証拠隠滅等に関する罪
- 外国公務員贈賄罪を含む汚職の罪
- マネーロンダリングに関する罪
- 詐欺、恐喝、横領等の財産に関する罪
4. 司法取引の問題点とリスク
違法性の判断が難しいケース
租税法や独占禁止法、その他の経済法違反は、適法か違法かの判断が難しいケースが多くあります。経営陣が違法性を認識していなくても、従業員の供述によって企業が起訴されるリスクが生じる可能性があります。
引き込みのリスク
司法取引に応じた従業員が虚偽の供述を行い、経営陣や企業に対する不当な引き込みを行うことが懸念されます。その結果、無実である経営者や企業が捜査対象となり、刑事裁判で不利な扱いを受ける可能性があります。
弁護士法人長瀬総合法律事務所のサポートのメリット
企業のリスク対策サポート
企業が置かれた状況をヒアリングし、刑事事件やコンプライアンスに関するリスクを分析したうえで、企業ごとに適した防止策を提案します。司法取引や刑事訴訟に関する法的アドバイスを提供し、リスク管理の体制整備をサポートします。
顧問契約の提供
刑事事件に限らず、労働問題、取引先とのトラブル、クレーム対応、税務調査や行政指導など幅広い法務問題に対応できる顧問弁護士サービスを提供しています。また、コンプライアンス体制のチェックや規定の策定など、日常的なサポートも行っています。
従業員教育・研修
企業のビジネス特性に合わせて、従業員向けのコンプライアンス教育や研修を実施し、リスク意識を高めるサポートを行います。
まとめ
司法取引制度は、企業の法務リスクとして非常に重要な課題です。制度を正しく理解し、適切な対応策を講じることが、企業の健全な経営を維持するうえで欠かせません。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、企業のリスク対策やコンプライアンス体制の構築を全面的にサポートしています。
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