解説動画
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- この動画の視聴にかかる時間:約8分
- 00:00:はじめに
- 00:24:相談事例
- 00:56:ポイント
- 01:38:「濃厚接触者の」該当性
- 01:55:「濃厚接触者」の定義
- 03:36:社員が「濃厚接触者」に該当する場合の対応
- 04:34:「濃厚接触者」である社員に対する出勤停止後の対応
- 06:37:まとめ
- 07:20:リーガルメディアのご案内
- 07:52:弁護士法人長瀬総合法律事務所のサポート内容
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ポイント
- 社員の家族が感染した場合、社員自身は「濃厚接触者」に該当する
- 「濃厚接触者」であっても健康状態に問題がない場合には在宅勤務をさせることが可能だが、賃金は100%支払う必要がある
- 在宅勤務ができずに自宅待機命令をする場合には、休業手当(60%以上)を支払う必要がある
相談事例
当社の社員から、「家族が新型コロナウイルスに感染しました。」という申告がありました。社員自身の健康状態に問題はないようですが、家族が感染している場合、会社としてはどのように対応すべきでしょうか。
また、社員に自宅待機命令や帰宅命令を出した場合、休業補償はしなければならないでしょうか。
回答
社員の家族が発症した場合、社員は「濃厚接触者」に該当することになります。「濃厚接触者」である場合、感染拡大防止のために、社内その他の人と接触する職場での勤務は避ける必要があります。
ただし、社員自身は具体的な症状がないのであれば、在宅勤務が可能な場合であれば在宅勤務を命じ、在宅勤務ができない場合には自宅待機命令をすることになります。
社員の賃金については、在宅勤務を命じている場合には通常どおり支払い、自宅待機命令の場合には休業手当を支払うことになります。
解説
「濃厚接触者」の該当性
社員自身ではなくその家族が新型コロナウイルスに感染した場合、日常生活をともにしている社員は、「濃厚接触者」に該当することが考えられます。
なお、「国立感染症研究所 感染症疫学センター作成の令和2年4月20日付け「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」[1]において、「濃厚接触者」は以下のように定義されています。
「患者(確定例)」の感染可能期間に接触した者のうち、次の範囲に該当する者である。
- 患者(確定例)と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった者
- 適切な感染防護無しに患者(確定例)を診察、看護若しくは介護していた者
- 患者(確定例)の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者
- その他:手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と15分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的 に判断する)。
社員の家族が新型コロナウイルスに感染した場合、社員は上記範囲に該当する者に該当すると考えられます。
社員が「濃厚接触者」に該当する場合の対応
社員が「濃厚接触者」に該当すると考えられる場合、保健所の調査(感染症法第15条の規定に基づき実施)に協力し、感染者の行動について確認を行い、濃厚接触者をリストアップすることが求められます。
このとき、感染拡大防止のため、速やかに濃厚接触者と見込まれる者を自宅待機させることが求められます。
保健所が濃厚接触者と確定した従業員に対しては、感染者と最後に接触のあった日を0日とし、そこから14日間出勤停止とし、健康観察を実施します。濃厚接触者と確定された従業員は、発熱又は呼吸器症状(軽症の場合を含む)を呈した場合には、保健所に連絡し、その指示に従うことが求められます。
「濃厚接触者」である社員に対する出勤停止後の対応
「濃厚接触者」である社員に対して出勤停止とした後の対応は、以下の3つの場合が考えられます。
社員が自主的に休んだ場合
(発熱などの症状があるため)社員が自主的に休んだ場合、通常の病欠と同様に取り扱っていただき、病気休暇制度を活用することになります。
したがって、貴社の就業規則等において、通常の病欠の場合には休業手当の支払義務はない(無給)という扱いにしているのであれば、休業手当の支払は不要となります。
社員が自主的に休まず、在宅勤務が可能な場合
社員が自主的に休まず、また健康状態にも問題がない場合には、労務を提供することが可能といえます。
そして、この場合に会社が在宅勤務を行わせることができるのであれば、在宅勤務に従事させる方法が考えられます。
なお、会社が社員に在宅勤務を命じる場合には、賃金は通常通り100%支払う必要があります。
社員が自主的に休まないが、在宅勤務ができずに自宅待機を命令する場合
一方、会社が社員に対して在宅勤務を行わせることができず(業務の性質や人員配置等の問題)、自宅待機命令を出す場合、感染拡大防止の観点から、自宅待機命令を出すこと自体は認められると考えられます。
もっとも、この場合には会社都合で自宅待機を命令することになるため、社員に対する休業手当を支払う必要があります。
この場合は会社都合による自宅待機命令となるため、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当し、休業手当の金額は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)とされています(労基法26条)。
出典・引用
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