【ポイント】
- 株主が新型コロナウイルスに罹患している場合、株主総会の運営の確保という観点から、退席してもらうことについてはやむを得ないものといえる。
- 株主の議決権を確保する観点から、委任状を取り付けて議決権を行使してもらう必要がある。
【相談例】
発熱及び咳の症状により、途中退席することとなった株主から、議決権は行使させてくれないかとの申し出がありました。この場合、どのように対応すべきでしょうか。
【回答】
株主が新型コロナウイルスに罹患している場合、株主総会の運営の確保という観点から、退席してもらうことについてはやむを得ません。
もっとも、議決権は株主の権利であることから、議決権の行使を認めないという措置をとるべきではなく、委任状を用いることにより、代理による議決権の行使を認めるべきです。
【解説】
1 問題点
株主総会に参加した株主が発熱や咳等の症状を訴えた場合、退席を促すことになるものといえますが、当該株主が議決権の行使を希望した場合にどのような扱いをすべきかが問題となります。
2 会社法の規定について
事前に株主が株主総会を欠席する場合には、議決権行使書面や電磁的方法により議決権を行使することができます(会社法第311条1項、同312条1項、会社法規則第69条、同70条)。
もっとも、当日に株主が発熱等の症状を訴えて退席する場合には、上記方法は取ることができません。そこで、代理人による議決権を行使する方法が考えられます(会社法第310条)。