はじめに

ネット上の悪質な誹謗中傷に対して、投稿の削除や投稿者の特定、損害賠償請求といった法的な手段で立ち向かうことを決意したとき、その成否を大きく左右するのが「どの弁護士に依頼するか」というパートナー選びです。

「弁護士なら誰でも同じじゃないの?」と思われるかもしれませんが、それは大きな誤解です。医師に外科や内科といった専門分野があるように、弁護士にもそれぞれ得意な分野があります。離婚問題に強い弁護士、交通事故に強い弁護士がいるように、ネット上の誹謗中傷問題にも、特有の知識や経験が求められる高度な専門性があるのです。

せっかく勇気を出して弁護士に依頼したのに、「話が噛み合わない」「対応が遅い」「期待した結果が得られなかった」といったミスマッチが起きてしまっては元も子もありません。

この記事では、あなたがネット誹謗中傷という困難に立ち向かう上で、本当に頼りになる弁護士を見つけるための「5つのチェックポイント」を具体的に解説します。

Q&A

Q1. とにかく費用が安い弁護士事務所を選んでも大丈夫でしょうか?

弁護士費用は重要な選択基準の一つですが、「安さ」だけで選ぶのは危険です。ネット誹謗中傷の対応には専門性とスピードが求められ、経験の浅い弁護士が格安で請け負っているケースもあります。その結果、手続きに時間がかかりすぎてログが消えてしまったり、適切な主張ができずに請求が認められなかったりするリスクも考えられます。重要なのは、料金の安さよりも「料金体系が明確で、サービス内容に見合っているか」です。安さの理由をきちんと説明できない事務所は避けた方が賢明でしょう。

Q2. 自宅から一番近い法律事務所に相談に行くのが便利で良いでしょうか?

もちろん、対面での相談のしやすさも大切ですが、ネットトラブルの解決においては、物理的な距離よりも「専門性」を優先するべきです。ネット誹謗中傷に関する手続きは、電話やメール、オンライン会議などを活用して、遠方の弁護士とも問題なく進めることができます。お住まいの地域にこの分野に精通した弁護士がいない場合は、エリアを広げて、実績豊富な弁護士を探すことを強くお勧めします。

Q3. 法律事務所に相談に行くと、契約するまで帰してもらえないような、しつこい勧誘をされないか心配です。

ご安心ください。相談者の意思に反して契約を強要することはありません。弁護士には品位を保つ義務(弁護士職務基本規程)があり、強引な勧誘はそれに反する行為です。法律相談は、あくまで弁護士との相性や方針を確認する場であり、「相談=契約」ではありません。相談した上で、「この人には任せられない」と感じたら、ご遠慮なく依頼しないという決断をして大丈夫です。

解説

なぜ「ネットトラブルに強い弁護士」を選ぶ必要があるのか?

まず、なぜこの分野で専門性が重要なのかを理解しておくことが、適切な弁護士選びの第一歩です。

  • 高度な専門知識が必要
    プロバイダ責任制限法をはじめとする関連法規は専門的で、IT技術に関する一定の理解も不可欠です。法改正のスピードも速く、常に最新の知識をアップデートしている必要があります。
  • スピードが重要
    投稿者を特定するためのログの保存期間は、一般的に3ヶ月~6ヶ月と非常に短く、時間との闘いになります。手続きの流れや各プロバイダの特性を熟知し、迅速に動ける経験値が求められます。
  • 実務経験がものを言う
    裁判例の積み重ねはもちろん、どのプロバイダがどのような対応をするか、どのような主張が通りやすいかといった、教科書には載っていない「実務上のノウハウ」が結果を左右します。

これらの理由から、弁護士なら誰でも良いのではなく、この分野に特化した「専門家」を選ぶことが極めて重要なのです。

ネットトラブルに強い弁護士を選ぶための5つのポイント

では、具体的にどこを見て判断すればよいのでしょうか。以下の5つのポイントを確認してください。

【Point 1】取扱分野として「IT・ネット問題」を明確に掲げているか

まず、法律事務所の公式ウェブサイトを確認しましょう。トップページや「取扱業務」のページに、「インターネット誹謗中傷対策」「発信者情報開示請求」「IT法務」といったキーワードが、主要な業務として明確に記載されているかどうかが最初のチェックポイントです。多くの業務を羅列している中で、片隅に書かれているだけ、という事務所は専門性が低い可能性があります。

【Point 2】この分野での解決実績や相談実績濃霧

専門性を裏付ける最も分かりやすい指標が「実績」です。ウェブサイトに、解決事例(プライバシーに配慮し匿名化されたもの)などが掲載されているかを確認しましょう。実績があるほど、様々なケースに対応してきたノウハウが蓄積されている証拠です。

【Point 3】料金体系が明確で、事前に説明してくれるか

弁護士費用は、相談料、着手金、報酬金、日当、実費などで構成されます。これらの料金について、ウェブサイトに分かりやすい料金表が掲載されているか、また、相談時に具体的な事案に応じた費用の見積もりを提示してくれるかを確認しましょう。

「やってみないと分かりません」と曖昧な説明に終始したり、費用倒れ(加害者から回収できる金額より弁護士費用の方が高くなる)のリスクについて説明してくれなかったりする弁護士は、依頼者の視点に立っているとは言えず、注意が必要です。

【Point 4】初回の法律相談での対応が丁寧で、分かりやすいか

事務所では、初回無料または比較的安価な法律相談を実施していることも少なくありません。この機会を最大限に活用し、弁護士の人柄や能力を見極めましょう。

  • 専門用語を避け、平易な言葉で説明してくれるか?
  • あなたの話を親身になって、じっくりと聞いてくれるか?
  • 見通しについて、メリットだけでなくリスクやデメリットも正直に話してくれるか?
  • 質問に対して、的確に、そして誠実に答えてくれるか? 最終的に手続きを任せるのは「人」です。あなたが「この先生なら信頼できる」と心から思えるか、その相性も非常に重要な判断基準です。

【Point 5】対応のスピード感とコミュニケーションは円滑か

ネットトラブルは時間との勝負です。問い合わせのメールや電話への返信は迅速か、相談の予約はスムーズに取れるか、といった最初の対応速度も確認しましょう。また、依頼した後、事件の進捗状況をこまめに報告してくれるか、連絡手段(電話、メール、チャットツールなど)はあなたの希望に合っているかも、ストレスなく付き合っていく上で大切なポイントです。

相談をより有意義にするための事前準備

弁護士に相談する際は、以下のものを準備しておくと、話がスムーズに進み、より的確なアドバイスを受けられます。

  • 誹謗中傷の証拠
    URLが分かるように撮影したスクリーンショットや印刷物
  • 事実関係をまとめたメモ
    いつ、どのサイトで、どのような内容が書かれたか、などを時系列で整理したもの
  • 質問リスト:聞いておきたいことを事前にメモしておく
  • どう解決したいかの希望
    削除だけで良いのか、損害賠償まで求めたいのか、など

まとめ

ネット誹謗中傷問題の解決を任せる弁護士選びは、あなたの今後の人生を左右しかねない重要な決断です。ウェブサイトの情報や料金だけで安易に決めず、必ず複数の事務所を比較検討し、実際に相談して、ご自身が「この人になら任せられる」と納得できる弁護士を見つけることが成功への一番の近道です。

弁護士選びの5つのポイント

  1. 「IT・ネット問題」を主要な取扱分野としているか
  2. 解決実績・相談実績があるか
  3. 料金体系が明確で、誠実な説明があるか
  4. 相談時の対応が丁寧で、信頼できる人柄か
  5. 対応がスピーディーで、コミュニケーションが円滑か

弁護士法人長瀬総合法律事務所は、茨城県を中心に、インターネットの誹謗中傷問題に特化したチームを擁し、解決実績を積み重ねています。ネットトラブルでお悩みの際は、ぜひ一度、当事務所の初回無料相談をご利用ください。


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