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長瀬総合法律事務所 ホーム 顧問弁護士の活用事例 約640万円の残業代請求を約4分の1に減額することができた事例
運送会社の甲社は、従業員乙から、未払い残業代及び遅延損害金として合計約640万円を請求されました。 甲社は、高額な残業代等の請求を受け、どのように対応すればよいかわからずにご相談されました。
本件では、乙が主張する残業代算定に関し、①基礎賃金の単価、②固定残業代の扱い、③実労働時間の算定、の3点について争いがありました。
甲から乙社に対する請求内容を精査したところ、①基礎賃金の単価には「臨時に支払われた賃金」(労働基準法施行規則21条4号)に該当するものも含まれていること、また賃金の一部は固定給ではなく歩合給として支給されていることからそもそも残業代の計算方法が異なるものもあると考えられました。
②固定残業代については、みなし労働時間が長く設定されている旨の指摘がありましたが、裁判例に基づき、必ずしもみなし労働時間が45時間を超えて設定されているだけでは無効になるとは限られない旨を反論しました。
③実労働時間については、休憩時間等も含まれて主張していると思われることから、1日毎の労働実態を精査して反論を行いました。
最終的に、約640万円の残業代等の請求に対し、約160万円まで減額して合意することができました。
労働紛争は、労働諸法が労働者保護の趣旨を有していることから、一般的に使用者側にとって不利に判断される傾向にあります。
残業代請求の事案においても、一般的には使用者側は反論できる余地が少ないと考えられるかもしれません。
もっとも、労働者側が主張する残業代請求が常に妥当するとは限りません。残業代の基礎賃金の単価や実労働時間の算定に関しては、争うことができるケースも少なくありません。
また、固定残業代(みなし残業代)は、実務でもその有効性をめぐってよく争点となります。固定残業代は一見すると残業代を抑制する有効な手段と思われますが、実際にはその有効性を巡って争いになることも少なくない上、有効性が否定された場合には大きなリスクになる可能性もありますので、導入する際には慎重に検討する必要があります。
残業代請求は、紛争を適切に解決するだけでなく、労使双方が納得できる賃金体系を設定し、未然に防止することも労務管理上重要な課題です。
残業代請求にお悩みの運送会社の方は、お気軽にご相談ください。
※ 守秘義務の観点から、事例の一部を修正しています。
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