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長瀬総合法律事務所 ホーム 顧問弁護士の活用事例 従業員の不当解雇の主張に対し、合意退職が成立した事例
当社は、従業員10名前後の運送事業者です。
数年前に雇用したトラック運転手Bは、問題行動ばかりを繰り返して対応に困っていました。
今回、Bが怪我をしたことを理由に長期間出勤を拒否し、これからどうするつもりか何度聞いてもまともに出社もしなければ回答もしないため、Bに対して会社を辞めてもらう旨を通知しました。
当社がBに対して会社を辞めてもらうよう通知したところ、Bから「不当解雇だ」「労働基準監督署にも相談する」というLINEが送られてきました。
当社としては、どのように対応すればよいのか分からず、相談しました。
労働契約は、社員が会社のために労働し、会社がこれに対して賃金を支払う契約をいう(労働契約法6条)ところ、普通解雇とは、労務の提供という債務の不履行状態にある社員に対して、会社が一方的に労働契約を終了させることをいいます。
相談事例のように、会社がBに対して会社を辞めてもらう旨を通知することは、一方的に労働契約を終了させることであり、解雇に該当すると解されます。
なお、解雇の留意点の詳細は、こちらのサイトをご覧ください。
人事労務・労務管理
解雇に関する留意点について、解説しております。
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ご相談のケースでは、会社の対応が解雇に該当すると解される可能性があるところ、解雇が有効と認められるためには「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」であるといえる必要があります(労働契約法16条)。
もっとも、解雇が有効と認められる要件は厳格に解される傾向にあるため、ご相談のケースでも慎重に検討する必要があります。
そこで、会社としてBとの雇用契約を終了させることを優先するのであれば、解雇ではなく合意退職を選択することを提案しました。
当事務所が会社の代理人としてBと交渉し、B自身も会社に復職する希望があるかどうかを確認したところ、Bとしても会社とトラブルになってしまった以上、復職する意向は乏しい様子だったことがうかがわれました。
そこで、会社とBとの間で、雇用契約を終了させる条件について協議し、一定の解決金を支払うことで、合意退職に応じてもらうことになりました。
労務紛争の中でも、雇用契約の終了の場面は、特に深刻なトラブルに発展することが少なくありません。
雇用契約の終了方法は、今回ご紹介した解雇、合意退職のほかにも、雇止めや退職勧奨等、様々なものがあります。事案に応じ、労働者の真意がどこにあるのかを見極めた上で、会社として適切な対応を講じる必要があります。
ご相談のケースでも、労働トラブルが発生した初期段階でBの意向を確認し、会社に復職する真意はないことがわかったことから、スムーズに合意退職に向けて話し合いを進めることができましたが、初動対応を見誤った場合には、解雇の有効性を巡って裁判にまで発生する可能性も否定できませんでした。
労務紛争は、初動対応の適否によってその後の問題解決が大きく異なる可能性がありますので、ご留意ください。
なお、合意退職にあたっては、こちらの書式をご参照ください。
書式
会社と従業員との間で退職に合意する場合の書式です。解雇処分は会社の一方的な意思表示であり、解雇無効を争われるリスクがありますが、合意退職であれば労働契約の終了の有効性を争われるリスクは回避しやすいといえます。
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