1.著作権とは
著作権は、知的財産権の一つであり、著作権法の中で権利の保護や利用するにあたってのルールが規定されています。著作権法で保護される「著作物」とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの(著作権法第2条第1項第1号)」をいいます。
著作物は創作と同時に保護され、著作者人格権および著作権の享受にはいかなる方式をも要しません(無方式主義)。また、実際に創作した著作者以外にも、当該作品の演奏や演技を行う実演家、レコード製作者、放送事業者など、著作物に付加価値を付けて広めた者を著作者隣接権者といい、一定の権利を保有することができます。
著作権の保護期間は、著作者の死後50年、映画の著作物は公表後70年となっています。
著作権法において保護される著作物には、具体的に、小説、写真、音楽、ソフトウェア、コンピュータプログラムなど様々なものがあり、著作権法を理解してないと知らないうちに他人の著作権を侵害してしまうリスクがあります。
著作権侵害をした場合、民事上・刑事上の責任を問われる可能性がありますので、著作権法を正しく理解し、事業活動においても適切な運用ができるよう注意をする必要があります。
2.著作権トラブルを防ぐためのポイント
(1)著作権法で保護される「著作物」を把握する。
まずは、どのようなものが「著作物」として保護されるのか把握しましょう。著作物として認められるためには以下の要件を全て満たすことが必要です。
① 思想または感情が表現されていること
人が考えたり感じたことが対象となりますので、単なる客観的事実やデータは著作物とはなりません。
② 創作的に表現されていること
一定の創作性が必要になりますので、個性のない、ありふれた表現のものは著作物とはなりません。
③「文芸、学術、美術又は音楽の範囲」に属するものであること
著作権法では、以下が著作物の例として列挙されています。
1)言語の著作物:小説、脚本、論文等の言語の著作物
2)音楽の著作物
3)舞踊又は無言劇の著作物:ダンス、ミュージカル、パントマイム等の著作物
4)美術の著作物:絵画、版画、彫刻等の著作物
5)建築の著作物:建物等
6)図形の著作物:地図又は学術的な性質を有する図面等の著作物
7)映画の著作物:(劇場、テレビ)映画、ゲームソフト等
8)写真の著作物
9)プログラムの著作物:コンピュータ・プログラム、ソフトウェア
10)編集著作物:電話帳、百科事典、新聞・雑誌、学術論文集等
11)データベースの著作物:顧客データベース等
12)二次的著作物:原作を改変して創作した著作物
13)集合著作物:文集等
14)結合著作物
④ 外部に向けて表現されたものであること
思想又は感情が外部に表現されていることが必要になります。つまり、思想や感情そのもは著作物としては保護されないことになります。
(2)著作者の権利とはどのような権利か
著作物を創作した者を、著作権法では「著作者」と定め、著作者に対してを権利の付与をしています。権利の内容は、著作者の人格的利益を保護する「著作者人格権」と、著作物の利用についての権利である「著作権」になります。
① 著作者人格権
著作者人格権は、著作者の一身専属件であり、譲渡はできず、著作者の死亡とともに消滅します。
1)公表権:著作物を公表するかどうか等を決定できる権利
2)氏名表示権:氏名(又は変名)表示、匿名にする等を決定できる権利
3)同一性保持権:著作物の内容等を勝手に変更されない権利
② 著作権
著作権は財産権になりますので、譲渡・相続することが可能です。具体的には、複製権、上演・演奏兼、上映権、公衆送信権、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権・本案権、二次的著作物の利用に関する現著作権の権利があります。
(3)著作物を無断で使用できる場合
著作物を利用するには、著作権者の許諾を受ける必要がありますが、以下のような場合は、例外として許諾を受けなくても無断で利用することができます。
① 私的利用:個人的に、家庭内等で利用する場合
② 教育の場での使用:営利を目的としない学校での使用
③ 引用:一定の条件を満たした場合は、引用することも可能
(4)著作物の利用について許諾を得る
(3)の条件を満たさないけれども、他人の著作物を利用したい場合には、著作権者から、著作物の利用についての許諾を得て利用することができます。
3.まとめ
他人の著作物を無断で使用して著作権を侵害すると、著作権者から損害賠償を請求される可能性もあります。また、著作権者から告訴されると、刑事罰に処せられる可能性もあります。知識がないまま予期せずしてこのようなトラブルに巻き込まれないためにも、顧問弁護士のアドバイスを受けながら、著作権法を遵守した企業活動を行うようにしましょう。顧問弁護士であれば、著作権の侵害にあたるかあたらないかを判断する際の相談にも乗って貰えますし、許諾を得て著作物を使用する際の契約書等も作成して貰えます。クリーンな企業経営を行うためにも、顧問弁護士をうまく活用しましょう。