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債権回収の各方法5 仮差押

仮差押とは

なかなか支払いをしてくれない債務者から強制的に債権を回収するには、訴訟を提起し、勝訴判決を得て強制執行をするのが通常の流れですが、その場合、訴訟提起から実際に回収するまでには数か月かかります。その間に債務者が財産を隠匿したり破産したりしてしまうと、せっかく勝訴しても結局債権を回収できない、ということになります。

仮差押は、こういった事態を防ぐために、裁判所が暫定処分として債務者が財産を動かさないよう命じるという制度です。

仮差押のメリット

仮差押には、以下のメリットがあります。

迅速に行うことができます

仮差押は、債務者の財産の散逸を防ぐための制度になりますので、早急に行う必要があり、申立てから1週間程度で裁判所の決定が出ます。

債務者には秘密にして行うことができます

債権者が自分の財産を差押えようとしていると債務者に知れると、財産の隠匿を行う可能性があります。そのため、仮差押は債務者に秘密裡に行うことができ、債務者が仮差押の決定を知ったときには、財産を動かすことができない状態になっています。

債務者へのプレッシャーになります

仮差押によって財産を凍結されることは、もともと資金繰りがうまくいっていない債務者にとっては致命的な打撃になりかねず、急いで債務を解消しようと一括で支払ってくることもあります。

仮差押のデメリット

仮差押には以下のようなデメリットもあります。

手続きが容易ではありません

仮差押は、口頭での説明や証人尋問もなく、書類審査のみで行われます。一口に書類と言っても申立書、証拠書類、陳述書等があり、これらを迅速に正確に行うには、経験と知識が必要であり、債権者本人のみで行うことは難しいと思われます。

担保金(保証金)を用意する必要があります

仮差押を申立てるには、法務局に保証金を供託する必要があります。保証金の額は、概ね請求額の2~3割くらいの金額で、現金で用意しなければなりません。この保証金は、債権回収に対する手続きが終わるなど、保証金を預けておく理由がなくなるまで預けておかなければなりません。そのため、保証金の用意ができなければ、申立てができないことも考えられます。

訴訟で敗訴した場合、債務者から損害賠償請求をされることもあります

仮差押をして、後々翻案訴訟を提起したものの、敗訴することもあります。その場合は、債務者に対して損害賠償責任を負うことになります。そのために(2)の保証金を供託しているのですが、債務者の損害が供託額を上回った場合は、追加で賠償しなくてはならないことになります。

まとめ

仮差押は、メリットも大きい反面、デメリットも大きい制度です。どの財産をどの段階で差押えるのか、そもそも仮差押をした方が良い事案かどうかの見極めが大変重要になります。

回収しやすそうだからと言って安易に仮差押の手続きを始めると、後々困ることもありますので、早めに顧問弁護士に相談することをおすすめします。債権回収でお困りの方は、ぜひ一度長瀬総合法律事務所へご相談ください。

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