ポイント

  1. 情報に関する法規制は、公法と私法に大別できる
  2. 公法による規制では、国から義務付けられている内容を整理する
  3. 私法による規制では、企業同士や企業・個人間の権利関係が規律されていることを整理する

情報管理に関する法規制の分類

企業情報を規制する法律は、まず、公法(国が私人に対して義務を課す法律)と私法(私人間の権利関係を規律する法律)に大別することができます。上の概念図は情報に関する法規制を大別したものですが、掲載する各法令は公法と私法の一例といえます。

このほかにも、例えばインサイダー取引に関する情報であれば金融商品取引法の規制対象ともなります。

公法関係

個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)

個人情報保護法は、民間企業と公共事業の双方における個人情報の保護を目的とする法律です。図表の概念図は、個人情報保護に関する法律・ガイドラインの体系イメージとなります[1]

【個人情報保護に関する法律・ガイドラインの体系イメージ】

番号利用法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)

番号利用法は、行政機関、地方公共団体等が、個人番号・法人番号の対象者特定機能を活用し、効率的な情報の管理・利用・迅速な情報の授受を行うことにより、行政運営の効率化・国民の利便性の向上を図ることを目的とする法律です。

不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)

不正アクセス禁止法は、不正アクセス行為を禁止することによる犯罪の防止等を目的とする法律です。不正アクセス禁止法の概要は下図のとおりです。

不正アクセス禁止法では、以下の行為が規制対象となっています。

  • 不正ログイン(不正アクセス禁止法第2条4項1号)
  • セキュリティ・ホール攻撃(法第2条4項2号・3号)
  • フィッシング行為(法7条)
  • ID等の不正取得行為(法4条)
  • ID等の不正保管行為(法6条)
  • 正当な理由のないID等の提供行為(法5条)

私法関係

不正競争防止法

不正競争防止法は、事業者間の公正な競争を確保することや、これに関する国際約束の実施を目的とする法律であり、企業の「営業秘密」が保護の対象とされています。

不正競争防止法にいう「営業秘密」とは、企業が事業活動の中で秘密として使用している技術上または営業上の秘密情報をいいます。不正競争防止法が「営業秘密」を保護する趣旨は、営業秘密は企業の長年のノウハウと投資の集積であるとともに、企業の収益の根源となるとともに、営業秘密が漏洩した場合の回復は困難であると考えられるためです。

不正競争防止法上、営業秘密として保護されるための要件は、以下の3つです(不正競争防止法2条6項)。

  • ① 秘密として管理されていること(秘密管理性
  • ② 有用な営業上又は技術上の情報であること(有用性
  • ③ 公然と知られていない情報であること(非公知性

また、営業秘密と認められた情報例としては、以下のようなものがあります。

  • ① 顧客名簿
  • ② 派遣従業員名簿
  • ③ 仕入先情報、仕入明細
  • ④ 設計図、部品図
  • ⑤ フッ素樹脂シートの溶接技術に関するノウハウ
  • ⑥ DVDのコピーガード技術

民法

私人間(企業、個人)の責任関係を規律する法律です。情報管理との関係でいえば、民法上問題となりうる概念として、プライバシー侵害が挙げられます。

プライバシーとは「私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利」(東京地裁昭和39年9月28日判決)とされ、故意又は過失により他人のプライバシー権を侵害した場合、不法行為が成立しうることになります(民法709条)。

この点、個人情報が公開された場合、すべてがプライバシー権侵害となるか問題とされることがありますが、個人情報保護法と民法上のプライバシー権は、それぞれ保護されるべき権利が異なりますので、私事や私生活に関する個人情報が公表されたからといってただちにプライバシー権侵害が成立するわけではありません。

逆に、個人情報保護法を遵守したとしても、プライバシー侵害の問題をすべて回避できるわけではありません。公表等されない法的利益と公表等する理由とを比較衡量し、前者が後者に優越する場合に不法行為となるという判断基準が示されているように(最高裁第三小法廷平成6年2月8日判決)、プライバシー侵害の有無は、個別の事案に応じて検討する必要があります。

出典・引用

[1] 個人情報保護委員会| 個人情報保護に関する法律・ガイドライン等の体系イメージ(PDF)

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