相談事例
当社は建設業を営んでいますが、コンプライアンスが重要だと聞いています。具体的に建設業としてどのような法律を意識しておけば良いのでしょうか。
解説
建設業におけるコンプライアンス経営の重要性
コンプライアンスとは
コンプライアンスとは、法令を遵守し、企業倫理や社会貢献等に配慮した行動をすることを指します。建設業に限らず、企業はコンプライアンスを意識することが求められます。
なお、コンプライアンスに関する詳しい解説は、以下を御覧ください。
コンプライアンス経営が求められる背景
建設業においては、入札談合や、耐震偽装、不正リフォームや粉飾決算等、企業倫理や社会的責任の欠如した行動を行った結果、建設業法や独占禁止法等の規制法に違反し、厳しい行政処分を受けたり、社会的信用を失ったりすることで、事業活動の継続が困難となるような事態がみられます。
企業の社会的責任を問われる声や、SDGsの重要性が指摘される昨今において、建設業においても、企業には、法令を遵守するとともに企業倫理や社会的責任などを重視した、コンプライアンスに則った事業活動を行うことが一層求められています。
建設業がコンプライアンスを確立するために必要なこととは
コンプライアンスを確立するためには、経営者こそが企業倫理や社会的責任に則した企業理念を掲げ、それに基づいた行動規準を定める必要があります。
そして、企業理念やコンプライアンス規程等の社内規程を整備するだけでなく、社内外への浸透を図るために、継続的な周知を行うほか、定期的な社内研修の実施等への取り組みを進めていくことが求められます。
建設業とは
建設業とは、建設工事の完成に対して対価が支払われる請負業のことをいいます。
建設業では、「元請」・「下請」といった言葉が使われるように、一つの建設工事に関し、多数の事業者が関わる契約形態が少なくありません。
そして、「元請」・「下請」であるかにかかわらず、建設工事に関わるこれらのすべてが「建設業」に該当します。
現在、建設業は29種類に分類されています。
建設業の許可が必要な種類
29種類の建設工事のうち、いずれかの建設業を営む建設業者で、一定の場合は、国土交通大臣や都道府県知事に対し申請を行い、建設業の許可を受けなければなりません。
建設業の許可は都道府県知事または国土交通大臣が行います。知事と大臣のどちらに申請するかは営業所の所在区域によって変わります。
建設業の営業所が1つの都道府県のみに存在する場合は都道府県知事の許可が必要です。一方、建設業の営業所 が複数の都道府県に存在する場合は国土交通大臣の許可が必要です。
なお、「営業所」とは、建設工事に関して、請負契約の見積・入札・締結を行う常設の事務所等を指します。
「営業所」に該当するかどうかの判断は、本店・支店などの名称や登記上の表示にとらわれることなく、実質的に建設業に関する営業に関与する場かどうかで決まります。
建設業に関する規制法
建設業に関する規制法は、建設関係の法律に限らず、労務・労働関係の法律、産業廃棄物の処理を規律する法律等、多岐にわたります。
もっとも、建設業に関する規制法の中心は、「建設業法」になります。「建設業法」の概要は、別稿で解説します。
(以下は、順次公開予定です)
建設関係
- 建設業法
- 建築基準法
- 独占禁止法
- 建築士法
- 住宅品質確保法
- 住宅暇疵担保履行法
- 廃棄物処理法
- 建設リサイクル法
- 建設機械抵当法
- 都市計画法
- 宅地造成等規制法
- 騒音規制法
- 振動規制法
- 入札契約適正化
労務・労働関係
- 労働基準法
- 労働安全衛生法
- 建設雇用改善法
- 職業安定法
- 最低賃金法
- 労働者派遣法
- 入管法
ご相談のケースについて
企業の社会的責任やSDGsの重要性が叫ばれる昨今において、建設業でもコンプライアンスを意識することは一層求められることになります。
建設業では様々な経営課題がありますが、コンプライアンスを意識した経営を実践することは、企業の社会的価値を増大させ、信用性を向上し、売上の改善や人手不足の改善等、建設業の経営課題の解決にもつながります。
わたしたちは、多数の建設事業者をサポートしてきた実績があります。コンプライアンス経営の実現を目指す建設事業者は、是非一度ご相談をご検討ください。
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