相談事例

当社では全社員に対して朝礼を義務づけており、社歌の唱和とともに当月の目標や週の業務内容等の共有を行っています。若手社員の中にはこうしたやり方を前時代的と思っている者もいるようで、営業部の新入社員は度々朝礼に無断欠席を繰り返しており、何度注意しても改善されません。

当社にとって、朝礼は単なる儀礼的なものではなく、業務連絡等も行うため、無断欠席が原因で他の社員との連携が上手く行かず業務に支障が出たこともあります。今後は出席を強制しようと思いますが、問題ないでしょうか。

回答

ご相談のケースにおいて、就業規則等に朝礼について業務連絡等が行われる朝礼について規定があり、かかる就業規則に基づく朝礼であれば、就業規則の合理的な規定に基づく相当な命令として、朝礼への出席を強制することは会社の業務命令権の範囲内といえます。

したがって、会社は社員に対して朝礼への出席を強制することができ、それでも無断欠席が続くようであれば、業務命令違背として懲戒処分の対象となり得ます。懲戒処分を検討する際には、当該社員の欠席にやむを得ない事由がなかったか、事前に確認しておきましょう。

解説

会社の業務命令権

会社は社員に対して、社員の労働義務の遂行について指揮命令権を有しています(労務指揮権)が、かかる労務指揮権に加えて、会社は業務の遂行全般について労働者に対し必要な指示・命令を発する業務命令権を有しています。

かかる業務命令が、就業規則の合理的な規定に基づく相当な命令である限り、就業規則の労働契約規律効(労働契約法7条)によって、社員は、当該命令に従う義務があります(電電公社帯広局事件(最高裁昭和61年3月13日労判470号、JR東日本(本荘保線区)事件(最高裁平成8年2月23日労判690号))。

なお、業務命令が及ぶ場合、当該業務命令に服している時間は労働時間となるため、会社には社員に対する賃金支払義務が生じることにご注意ください(東京急行電鉄事件(東京地裁平成14年2月28日労判824号))。

業務命令違背と懲戒処分

業務命令権に基づき、会社が社員に対して朝礼への出席を促したにもかかわらず無断欠席を繰り返す場合、業務命令違背として懲戒処分の対象になり得ます。

ただし、たとえ当該業務命令が有効なものであったとしても、当該社員にその命令に福祉ないことにやむを得ない事由が存在したのであれば、懲戒処分が認められない場合がありますので、かかる事由の有無を確認する必要があります。

ご相談のケースについて

ご相談のケースにおいて、就業規則等に朝礼について業務連絡等が行われる朝礼について規定があり、かかる就業規則に基づく朝礼であれば、就業規則の合理的な規定に基づく相当な命令として、朝礼への出席を強制することは会社の業務命令権の範囲内といえます。

したがって、会社は社員に対して朝礼への出席を強制することができ、それでも無断欠席が続くようであれば、業務命令違背として懲戒処分の対象となり得ます。懲戒処分を検討する際には、当該社員の欠席にやむを得ない事由がなかったか、事前に確認しておきましょう。

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