相談事例

新型コロナウイルス感染症の拡大が続いていますが、当社の従業員がコロナウイルスに感染した場合にはどのように対応すればよいでしょうか。

解説

感染した従業員への対応

従業員が新型コロナウイルスに感染した場合には、医師等の指示に従い、休業してもらうことになります。

従業員が都道府県知事の行う就業制限により休業する場合、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、会社は休業手当を支払う必要はありません(厚生労働省令和2年4月24日時点「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」4 – 問2)。

なお、被用者保険に加入されている方であれば、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。具体的には、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償されます。

労働災害

また、従業員が業務又は通勤に起因して発症したものであると認められる場合には、労災保険給付の対象となります(厚生労働省令和2年4月24日時点「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」7)。

会社の法的責任

なお、従業員が業務又は通勤に起因して発症したものであると認められる場合、会社は従業員に対する安全配慮義務違反を問われる可能性があります。

労働契約法上、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」(労働契約法5条)とされていることから、会社は従業員に対する安全配慮義務を負っています。

会社は、新型コロナウイルス感染症に関し、従業員に対する感染防止策を講じる必要があります。

会社の対応に不備があった場合には、従業員に対する安全配慮義務を懈怠したものとして、損害賠償責任を負う可能性があります。

したがって、会社は、従業員がコロナウイルス感染症に罹患するリスクを軽減するような措置を講じることが求められます。

ご相談のケースについて

ご相談のケースでは、従業員が感染した場合には、医師等の指示に従い必要な期間は休業させることになります。従業員が都道府県知事の行う就業制限により休業する場合、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、会社は休業手当を支払う必要はありません。

従業員が感染した原因が業務または通勤による場合、労災補償を受けることができます。

なお、会社の従業員に対するコロナウイルス感染症対策に不備があった場合には、安全配慮義務違反を問われる可能性があります。

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