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取引先が支払わないとき:売掛金回収の初動と取引継続の判断

取引先からの入金が期日を過ぎても確認できない。取引は続けたいが、このまま待っていてよいのか判断がつかない。売掛金の回収は、中小企業にとって資金繰りに直結する問題です。

支払が遅れた場合の初動としては、まず契約・納品・請求の資料をそろえて請求の根拠を確認し、支払が遅れている原因を見極めます。そのうえで、督促、支払計画の合意、裁判所の手続などの中から、金額、相手の状況、今後の取引の方針に応じて方法を選びます。請求権には時効があるため、期限の管理も必要です。

この記事では、売掛金の回収の初動と、取引を続けるかどうかの判断の考え方を説明します。

契約・請求・履行の資料

回収の前提として、次の資料をそろえ、請求の根拠を確認します。

契約書に、裁判になった場合の裁判所を定める条項があるかも確認します。相手が県外の会社であっても、自社の所在地の裁判所に訴えを起こせる場合があります。

支払遅延の状況

支払が遅れている原因は、一時的な資金繰りの悪化、商品やサービスへの不満、担当者の処理漏れ、経営の悪化などさまざまです。まずは相手に連絡して事情を確認し、支払の予定を尋ねます。

相手が商品の不具合などを理由に支払を拒んでいる場合は、その主張の内容を具体的に確認します。一方、他の取引先への支払も遅れているといった情報がある場合は、倒産の可能性も考え、早めの対応を検討します。

交渉・保全・裁判の選択

回収の方法ごとに、内容と必要な資料、費用や時間の考慮事項を整理すると次のとおりです。どの方法でも回収できるとは限らず、相手に支払能力がなければ回収は困難になります。

方法 内容 必要な資料 費用・時間の考慮
電話・書面による督促 支払を求め、事情を確認する 請求書、取引の記録 費用は小さいが、強制力はない
内容証明郵便による請求 請求の意思と金額を明確に伝える 請求の根拠となる資料 時効完成前に催告が到達すれば、その時から6か月間完成が猶予される。繰返しの催告では延長できない
支払計画の合意 分割払いなどを取り決めて書面にする 合意書(債務の承認を含む) 時効が更新される。遅れた場合の定めが必要
支払督促 書面の審査で支払を命じてもらう 請求の根拠となる資料 相手が異議を出すと訴訟に移る
訴訟(少額訴訟を含む) 裁判所の判決を求める 契約・納品・請求の資料 時間と費用がかかり、判決後も強制執行が必要なことがある
仮差押え 判決の前に相手の財産を保全する 請求の根拠と保全の必要性を示す資料 保全の必要性等を疎明し、通常は裁判所の定める担保の提供が必要

相手に対して自社も支払うべき債務がある場合は、相殺によって回収できることもあります。一方、相手の同意なく商品を引き揚げる、威圧的な態度で取り立てるといった行為は、法的な責任を問われるおそれがあるため避けてください。

今後の取引条件

取引を続けるかどうかは、相手の支払能力、これまでの取引の実績、取引の重要性を考慮して判断します。取引を続ける場合でも、前払いへの変更、取引額の上限の設定、支払期間の短縮、保証人などの担保の設定といった条件の見直しを検討します。

支払が遅れている間、商品の出荷を止めることを考える場合は、契約上の根拠を確認してください。契約に定めがないまま出荷を止めると、自社が契約違反を問われるおそれがあります。

再発を防ぐためには、取引開始時の与信の確認、請求と入金の確認の担当と手順、遅延が生じた場合の初動のルールを社内で定めておくことが有効です。

よくある質問

Q 取引を続けながら回収することはできますか?

支払計画を取り決めて書面にし、今後の取引条件を見直したうえで取引を続けることは考えられます。支払計画が守られなかった場合の扱いも定めておきます。

Q 相手が「商品に不具合がある」と言って支払いません。

不具合の内容と、その主張がいつ、どのように伝えられたかを確認します。契約の定めや、法律上の通知の期限によっては、相手の主張が認められない場合もあります。

Q 相手が倒産しそうです。

倒産の手続が始まると、個別の回収は制限されます。相殺や担保の実行、仮差押えなど、とり得る手段を早めに検討してください。


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