はじめに

サロンを開業した後は、美容所開設証消防法関連の掲示物など、法律で掲示が義務付けられている書類・許可証があります。違反すると、保健所や消防署から是正指導や罰則を受けるリスクもあるため、しっかりと把握しておくことが必要です。

本記事では、サロン開業後に掲示義務のある主な法定書類や注意点を紹介します。店舗の運営において見落としがちな点をチェックし、トラブルを回避しましょう。

Q&A

Q1. 美容所開設証はどこに掲示すればよいのでしょうか?

美容師法では、美容所開設届を提出し、保健所の検査を受けて認可を得た後に交付される「美容所開設証」を、わかりやすい場所に掲示するよう定められています。具体的には、店舗の入口や受付付近など、お客様が見やすい場所に掲示するとよいでしょう。

Q2. 消防法に関する掲示物ってどんなものがありますか?

防火管理者の資格者証、避難経路図、消火器の設置表示などが挙げられます。店舗の規模や構造によっては、防火管理者の選任が必要となり、防火管理者資格の届出責任者の氏名掲示が求められるケースもあります。

Q3. 労働基準法で掲示が必要なものはありますか?

従業員を雇用している場合、就業規則の周知労働条件通知書の交付義務があります。また、労働基準法や最低賃金法などの要旨を見やすい場所に掲示するように定められているケースもあります。スタッフルームや休憩室などに掲示するのが一般的です。

Q4. 営業許可証と美容所開設証は同じですか?

厳密には異なります。美容室の場合、「美容所開設届」を出して保健所の検査を受け、「美容所開設証」が交付されます。一方、飲食を併設するなど別の業態を行う場合は、保健所から「飲食店営業許可証」を得ることも必要となります。

Q5. 掲示物の有効期限や更新手続きはありますか?

書類によって異なります。防火管理者資格の更新は不要ですが、防火管理者が変わったときは改めて届出が必要です。美容所開設証自体に有効期限はありませんが、住所変更やサロン名変更があった場合は手続きが必要なこともあります。

解説

主な掲示義務のある書類一覧

  1. 美容所開設証(美容師法)
    開設届け出を経て交付される書面。店内の見やすい場所に掲示。
  2. 防火管理者選任届の写し(消防法)
    店舗の規模により必要。防火管理者の氏名や責任範囲を明らかにする。
  3. 避難経路図(消防法)
    非常口や消火器の位置などを示し、万が一の火災時に迅速に避難できるよう掲示。
  4. 労基法・最低賃金法などの要旨(労働基準法)
    従業員が労働条件を理解できるよう、要旨を掲示するか、就業規則等で周知する。
  5. 就業規則の周知(労基法)
    常時10人以上の従業員を雇用する事業場では、就業規則を作成し、従業員に周知する義務がある。

掲示義務違反のリスク

  • 保健所や消防署による指導・処分:必要な書類を掲示していないと、是正勧告や営業停止などの行政処分が下る可能性も。
  • 従業員トラブル:労働条件や就業規則が周知されていないことを理由に、従業員が不満を抱えたり、労働基準監督署へ通報されるケースがある。
  • 信頼性の低下:お客様から見ても、必要な許可証が掲示されていないサロンは信用を得にくい。

実務上の注意点

  1. 掲示場所
    美容所開設証などは、お客様から見やすい場所に。労働条件に関するものは、スタッフルームや従業員の目に触れる場所に。
  2. 最新状態の維持
    店舗の増改築や人員変更、名称変更があった場合は、速やかに届出や書類の差替えを行う。
  3. 定期的な点検
    防火設備や避難経路図などは、店舗レイアウトが変わった際などに更新し、最新の状態を保つ。

弁護士に相談するメリット

  1. 法定書類のチェックリスト整備
    どの書類が必要かを弁護士と確認し、漏れがないようにチェックリストを作成できる。
  2. 行政手続きのサポート
    許認可申請や届け出の書類作成など、手続き方法が分からない場合にもアドバイスを受けられる。
  3. 労務管理のトラブル予防
    従業員が増えると就業規則の整備やハラスメント対策などが求められる。労働法や社会保険の専門家とも連携してサポートが可能。
  4. 万が一の処分時の対応
    行政からの指導や営業停止処分を受けた場合、法的な見地から適切に対応し、トラブルを最小限に抑えられる。

まとめ

サロンを開業すると、さまざまな法定書類や許可証を取得し、店舗内に掲示する義務が生じます。これらの手続きを怠ると、行政からの指導や処分、従業員トラブルなど大きなリスクを招きかねません。

「どの書類が必要なのかわからない」「更新のタイミングが不明」という場合は、保健所や消防署、労働基準監督署などの窓口に確認し、漏れのないよう対応しましょう。弁護士などの専門家に相談すれば、必要書類の整理や行政手続きのサポートも受けられるため、安心してサロン経営に専念できることが期待できます。


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