はじめに

ネット上での口コミは、企業や店舗にとって強力な宣伝ツールでありながら、同時に大きなリスクを伴う存在でもあります。特に、事実無根の悪質な口コミや誹謗中傷的な投稿が放置されている場合、ブランドイメージの毀損顧客離れといった深刻なダメージに発展する可能性が高いです。

本稿では、悪質な口コミを放置することによって生じる具体的なリスクや、それがどのようなメカニズムで売上・評価を下げていくのかを解説します。また、放置することがいかに危険かを理解したうえで、早期対応の重要性や具体的な対策方法についてもご紹介します。ネット社会の特性を把握し、効果的なリスクマネジメントを行うための一助となれば幸いです。

Q&A

Q1:悪質な口コミとは具体的にどのようなものですか?

事実無根の誹謗中傷や、侮辱的な表現を用いて企業や店舗を攻撃する内容、営業妨害を意図した根拠のない低評価などが代表例です。名誉毀損に該当する可能性もあります。

Q2:なぜ悪質な口コミを放置するとリスクが高いのですか?

ネット上は拡散力が高く、一度流布された情報が長期間残る傾向があります。放置すると検索エンジンにも反映され、被害が拡大・長期化する可能性があるためです。

Q3:本当に悪質な口コミが売上に直結する影響を与えますか?

はい。飲食店やサービス業、ECサイトなどは特に顕著で、数件の悪評が一気に拡散されると新規客の足が遠のき、売上減少が起こることがあり得ます。

Q4:削除依頼をしても対応されなかった場合、もうどうしようもないのでしょうか?

削除依頼が拒否されても、次の手段として仮処分や発信者情報開示請求などの法的手続きを検討できます。専門家である弁護士に相談することで、解決策が見つかる可能性があります。

Q5:悪質な口コミを逆手にとって、企業が自らイメージアップにつなげる方法はありますか?

場合によっては、誠実な謝罪や事実誤認の冷静な訂正を行うことで、「きちんと対応できる企業」として評価が高まる例もあります。ただし、根拠のない誹謗中傷は削除を検討すべきで、完全に逆手に取れるケースは限られています。

解説

悪質な口コミが放置される背景

  1. 匿名性ゆえの投稿者不明
    • 誰が書いたかわからないため、被害企業・店舗が対処をためらう
    • 投稿者との直接交渉が難しく、放置してしまうケースが多い
  2. 削除依頼に対する運営会社の消極対応
    • ガイドラインに明らかな違反がないと判断されれば、運営会社は投稿を削除しないことがある
    • 具体的な違法性を証明するのは被害企業側に大きな負担がかかる
  3. 法的手続きの複雑さとコスト
    • 発信者情報開示請求や仮処分に踏み切るには専門的知識と費用が必要
    • 企業や店舗が「そこまでやるほどでもない」と考えて放置する場合がある

放置によって引き起こされるリスク

  1. 売上減少と顧客離れ
    • 検索エンジンや口コミサイトで悪評が目立つと、新規顧客の利用意欲が大きく下がる
    • 既存顧客も「何か問題があるかもしれない」と感じて離れる可能性
  2. ブランドイメージの毀損
    • 長期的にネガティブな情報が残り続けると、「あの企業は評判が悪い」というイメージが定着
    • 取引先やパートナー企業からの信頼も損なわれ、提携が途切れる事例も少なくない
  3. 新たな誹謗中傷の誘発
    • 悪質な口コミを放置しておくと、他の利用者が便乗して書き込みをエスカレートさせるケースがある
    • いわゆる「炎上状態」が続き、被害が加速する恐れ
  4. 従業員のモチベーション低下
    • 自社の評判が下がると、従業員は仕事への誇りややる気を失いやすい
    • 結果的にサービスの質まで低下し、悪循環に陥る可能性
  5. 法的リスクへの拡大
    • 悪評に対し感情的な反応を見せたり、不適切な方法で対抗しようとすると、逆に企業側が訴訟を起こされるリスクもある

早期対応・リスクマネジメントの重要性

  1. モニタリング体制の整備
    • 自社の店名、商品名などを定期的にネット検索し、問題のある書き込みを早期に発見する
    • SNSや口コミサイトを定期巡回する仕組みづくり
  2. 誠実な対応と迅速な行動
    • 投稿内容が事実で改善点がある場合には、素直に認めて早急に対処
    • 事実無根や誹謗中傷の場合は、削除依頼や法的手段を検討し、放置しない
  3. 社内マニュアルの作成・従業員教育
    • 万が一の口コミ炎上に備え、初動対応を誰がどのように行うかを明文化
    • 従業員がSNSで不用意な発言をしないよう、SNSポリシーを浸透させる

放置するよりも積極的に対策をとるメリット

  1. イメージ回復につながる可能性
    • 問題が生じても早期に解決できる企業は「リスク管理がしっかりしている」と評価されやすい
    • 誠実に対応する姿勢が好意的に受け取られるケースもある
  2. 二次被害・炎上の防止
    • 悪質な書き込みを迅速に削除・訂正すれば、拡散を食い止めることが可能
    • 大きな炎上に発展せず、企業の損失を抑えられる
  3. 社員の安心感・士気の向上
    • ネガティブ情報への対応方針が明確であれば、従業員は不安を感じにくい
    • 組織全体の信頼感が高まり、モチベーションも維持しやすい

弁護士に相談するメリット

放置によるリスク評価と削除依頼のサポート

企業や店舗が問題の口コミを放置している間にも、被害が拡大するリスクがあります。弁護士はそのリスクを法的観点から整理し、削除依頼や削除請求の必要性を的確に助言してくれます。適切な手続きを踏むことで、運営会社が対応する可能性が高まります。

発信者情報開示請求・損害賠償請求の実行力

誹謗中傷が悪質な場合、投稿者を特定し、損害賠償請求を行うことを検討する企業も少なくありません。弁護士が代理人としてプロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求や、損害賠償請求訴訟を進めることで、現実的な解決策へと導きやすくなります。

炎上対応や危機管理体制の構築

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、炎上対応やネットリスクマネジメントに関するコンサルティングも提供しています。万が一のときに備えた危機管理マニュアルを作成し、社内教育を実施することで、悪質な口コミが発生しても冷静に対処できる組織を作り上げられます。

負担の軽減と時間の節約

自社で運営会社との交渉や法的対応を進めるのは大きな労力と時間がかかります。弁護士に一任することで、企業は本来の業務に集中でき、トラブル処理に伴うストレスを大幅に軽減できるというメリットがあります。

まとめ

  • 悪質な口コミの放置は危険
    1. ネット拡散力による売上・信用低下
    2. 長期間にわたるブランドイメージの損失
    3. 従業員の士気低下や社内混乱の誘発
  • 早期対応が必須
    1. 定期的なモニタリングと素早い発見
    2. 適切な削除依頼や法的措置の検討
    3. 正しい情報発信と社内マニュアルの整備
  • 弁護士への相談が有効
    1. 削除依頼・仮処分・発信者情報開示請求のサポート
    2. 炎上対応・危機管理体制構築
    3. 法的リスクの明確化とスムーズな解決

悪質な口コミを「見て見ぬふり」してしまうと、後になって大きな損失を被る可能性が高くなります。放置せず、早期に対応することでブランドを守り、健全な企業運営を続けることができます。もし心当たりがある方は、弁護士法人長瀬総合法律事務所へご相談いただくこともご検討ください。


長瀬総合の情報管理専門サイト

情報に関するトラブルは、方針決定や手続の選択に複雑かつ高度な専門性が要求されるだけでなく、迅速性が求められます。誹謗中傷対応に傾注する弁護士が、個人・事業者の皆様をサポートし、適切な問題の解決、心理的負担の軽減、事業の発展を支えます。

【詳細・お問い合わせはこちら】


リーガルメディアTV|長瀬総合YouTubeチャンネル

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、企業法務に関する様々な問題を解説したYouTubeチャンネルを公開しています。企業法務でお悩みの方は、ぜひこちらのチャンネルのご視聴・ご登録もご検討ください。 

【チャンネルの登録はこちら】


NS News Letter|長瀬総合のメールマガジン

当事務所では最新セミナーのご案内や事務所のお知らせ等を配信するメールマガジンを運営しています。ご興味がある方は、ご登録をご検討ください。

【メールマガジン登録はこちら】


トラブルを未然に防ぐ|長瀬総合の顧問サービス

当事務所は多数の誹謗中傷の案件を担当しており、 豊富なノウハウと経験をもとに、企業の皆様に対して、継続的な誹謗中傷対策を提供しており、数多くの企業の顧問をしております。
企業の実情に応じて適宜顧問プランを調整することも可能ですので、お気軽にご連絡ください。

【顧問弁護士サービスの詳細はこちら】