はじめに

インターネットを通じて、企業や店舗への評価が一瞬にして広がる時代となりました。口コミサイトやレビューサイトには、利用者が書き込んだ「良い口コミ」と「悪い口コミ」が混在し、それらが新たな顧客の行動を大きく左右しています。たとえば「接客が素晴らしかった」「料理が絶品だった」という好意的なレビューは、多くの新規客を惹きつける原動力になります。一方、「対応がひどかった」「味が最悪」「騙された」といった悪い口コミは、企業や店舗にとって致命的なダメージをもたらす可能性があるのです。

本稿では、良い口コミと悪い口コミが具体的にどのような影響をもたらすのかを中心に考察します。口コミが企業や店舗に与えるメリットとデメリットを整理しながら、ネガティブな口コミへの対処法や、ポジティブな口コミを活かすためのポイントなどもあわせて解説いたします。

Q&A

Q1:良い口コミがあると、実際にどれくらい売上に影響するのでしょうか?

業種や規模によって差はありますが、飲食店やホテル、ECサイトの商品レビューなどは特に数%~数十%の売上アップに寄与するとの調査もあります。ポジティブな口コミは「友人や知人からの紹介」のような信頼感を生み出すため、集客に直結しやすいのです。

Q2:悪い口コミがあると、本当に客足が減るのでしょうか?

はい、減る可能性が高いです。特に、SNSや掲示板などで拡散されると、瞬く間に多くのユーザーに届き、イメージダウンにつながります。飲食店やサービス業では、ひとつの悪い口コミが大きく売上を落とすきっかけになることも珍しくありません。

Q3:悪い口コミを見たとき、店舗側はすぐに削除依頼をすべきですか?

内容によります。単なる「個人的な感想や不満」であれば、削除要件を満たさない場合が多いです。逆に事実無根の誹謗中傷や名誉毀損レベルであれば、削除依頼や法的対応を検討すべきでしょう。

Q4:良い口コミだけを意図的に増やしたり、自作自演で投稿したりするのは問題でしょうか?

「やらせレビュー」やステルスマーケティングとして、社会的・倫理的にも問題があります。発覚した場合、企業や店舗の信用を失墜させ、場合によっては景品表示法違反などの法的リスクを負うこともあります。

Q5:悪い口コミでも、店舗側の真摯な対応でイメージアップにつなげる方法はありますか?

あります。丁寧な謝罪や適切な改善策の提示など、誠実な対応をコメント返しとして行えば、他のユーザーから「この店舗は誠実そうだ」と評価されることがあります。むしろ、悪い口コミをきっかけに企業の姿勢が好印象に変わるケースも少なくありません。

解説

良い口コミがもたらすプラス効果

  1. 売上増加・集客力アップ
    • 「評判の良い店」「満足度の高い商品」といった口コミは、新規顧客に大きな安心感を与える
    • 店舗やECサイトの商品ページで高評価が多いと、利用者が購入意欲を高める
  2. ブランディングと信頼度向上
    • ブランドイメージが向上し、長期的なファンが育ちやすい
    • ポジティブな体験談の蓄積が、企業の信頼性を補強する
  3. 口コミマーケティングへの活用
    • 口コミをSNSや公式サイト上で紹介し、さらに拡散させることで認知度を拡大
    • ユーザー-generated content(UGC)として、広告宣伝費を抑えつつ効果的なプロモーションを実施

悪い口コミがもたらすマイナス効果

  1. 売上や集客の減少
    • 特に飲食業や宿泊業、ECサイトの商品などは、悪評が即座に利用者離れを誘発する
    • SNSで「炎上」状態になると、信用回復に多大な時間とコストがかかる
  2. ブランドイメージの毀損
    • 長期的に検索結果や口コミサイトでネガティブ情報が残り続けると、潜在顧客が不安を感じる
    • 株価に悪影響を与えたり、取引先からの信用が低下したりすることもある(企業の場合)
  3. 従業員のモチベーション低下
    • 企業や店舗に対する批判が続くと、従業員が自社のサービスや働く意義に疑問を持ち、離職率が高まる恐れもある

悪い口コミに対する初動対応

  1. 内容を正確に把握する
    • 事実に基づくクレームなのか、単なる悪口や誤解なのかを整理
    • 事実であれば改善を検討し、誤りやデマであれば訂正や削除依頼を視野に入れる
  2. 店舗や企業側の見解・対応を示す
    • 誠実な謝罪や原因究明の報告ができれば、他の閲覧者へ好印象を与えられる
    • 感情的な対立や過剰防衛の姿勢は逆効果になる可能性が高い
  3. 速やかに必要な手段を講じる
    • 誹謗中傷レベルならば法的手段を検討(削除依頼、発信者情報開示請求、損害賠償請求など)
    • 口コミやSNSでの炎上が拡大する前に、リスク管理体制を整える

良い口コミを活かすためのポイント

  1. SNSや公式サイトで積極的に紹介
    お客様の声としてポジティブなレビューを引用し、新規ユーザーの安心感を高める
  2. 口コミを励みにサービス向上
    「ここが良かった」と言われた点をさらに伸ばすことで、リピーターを増やす
  3. ユーザーとのコミュニケーション強化
    コメントやレビューへのお礼メッセージを送るなど、顧客との良好な関係を維持

法的視点から見る口コミ対策

  • 誹謗中傷・名誉毀損への注意
    悪質な口コミが「名誉毀損」「侮辱」「業務妨害」に該当する可能性もある。早期に専門家へ相談し、適切な対応を検討したい。
  • やらせレビューや不当表示のリスク
    景品表示法違反や不正競争防止法違反となる恐れがあり、企業が意図してやらせ投稿を行うのは危険。
  • 発信者情報開示請求の活用
    悪質な投稿者を特定し、損害賠償を請求する場合に必要となる重要な手続き。

弁護士に相談するメリット

口コミ削除や発信者情報開示のスムーズな進行

悪い口コミが明らかに名誉毀損等に該当する場合、サイト管理者やプロバイダに対して削除や情報開示を求めることができます。弁護士が代理人として書面を作成し、正式に依頼を行うことで、対応がスピーディーかつ確実になります。

自社の法的リスク防止

良い口コミを増やしたいからといって、やらせ投稿や不当表示のグレーゾーンに手を染める企業も散見されます。しかし、これは景品表示法や不正競争防止法などに抵触するリスクがあります。弁護士に相談すれば、適法かつ効果的な方法でマーケティング戦略を立案できます。

示談交渉と損害回復

悪質な口コミ投稿者が特定できた場合、示談交渉において謝罪文や損害賠償金を得ることが可能です。弁護士が間に入ることで、感情的対立を回避し、冷静な話し合いが期待できます。また、裁判手続きに進む場合でも、専門家のサポートがあれば安心です。

危機管理マニュアルの整備

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、企業・店舗向けに「口コミやSNS炎上」に対する初動対応マニュアルの策定支援なども行っています。法的視点からのリスク分析や、緊急時の対応フロー整備により、万が一のトラブルを最小限に食い止めることができます。

まとめ

  • 良い口コミのメリット
    1. 売上増加・集客力向上
    2. 信頼度・ブランドイメージの向上
    3. マーケティング戦略への活用
  • 悪い口コミのデメリット
    1. 集客減少・売上ダウン
    2. ブランドイメージの毀損
    3. 従業員のモチベーション低下
  • 重要なポイント
    1. 悪い口コミへの迅速な初動対応(事実確認、謝罪・説明、必要に応じた削除依頼や法的手段)
    2. 良い口コミを活かす工夫(SNSや公式サイトでの紹介、顧客ロイヤルティの強化)
    3. 法的リスクやステマ対策への注意

良い口コミと悪い口コミは、どちらも企業や店舗の運命を大きく左右する可能性があります。誠実かつ迅速な対応と、適正な法的対策があれば、悪い口コミによる打撃を最小限に抑え、良い口コミを最大限に活用することが可能です。「口コミで悩んでいる」「ネガティブレビューへの対処法がわからない」という方は、ぜひ早めに弁護士法人長瀬総合法律事務所へご相談ください。


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