はじめに

企業活動を行う上で、従業員との間で発生する争議行為は避けられないリスクの一つです。しかし、その影響が取引先にまで波及した場合、企業の信用問題や経済的損失を伴うトラブルに発展することがあります。こうしたリスクを軽減し、適切に対応するためには、争議行為の特性や予防策を理解しておくことが重要です。本稿では、争議行為を理由とする取引先とのトラブルについて、よくあるケースや防止策、弁護士への相談がもたらすメリットをご紹介します。

Q&A

Q: 従業員の争議行為が取引先に影響を与えるような状況に遭遇しました。企業はどのように対応すれば良いでしょうか?

A: 取引先とのトラブルを回避し、適切に対応するためには、争議行為に関する法的な理解を深めることが重要です。また、契約書に不可抗力条項を設けるなど、予防策を講じることでリスクを軽減できます。専門家である弁護士への相談も、紛争解決やリスク管理の大きな助けとなります。

争議行為とは

争議行為とは、労働組合法や憲法28条で認められた労働者の権利の一つであり、労働者が団体交渉や労働条件の改善を目的として行う行為を指します。具体的には、以下のような行為が含まれます。

  • ストライキ: 労働者が一斉に業務を停止する行為
  • サボタージュ: 意図的に作業効率を低下させる行為
  • ピケッティング: 職場への出入りを制限する行為

これらの行為は、正当な目的に基づく限り法的に保護されていますが、企業の事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。

争議行為が取引先にも影響を与える場面

争議行為は、企業内部の問題だけにとどまらず、取引先にも大きな影響を及ぼすことがあります。以下は代表的なケースです。

  1. 納期遅延による影響
    ストライキなどで製品やサービスの納品が遅れ、取引先の事業活動に支障をきたす場合があります。この結果、取引先から損害賠償請求を受けるリスクがあります。
  2. 契約不履行の問題
    争議行為が原因で契約条件を満たせなくなる場合、取引先との間で契約不履行に関するトラブルが発生することがあります。
  3. 取引先の信用失墜
    争議行為が報道されるなどして取引先の信用が低下する場合があります。これにより、顧客離れや業績悪化が連鎖的に発生する可能性があります。

取引先とのトラブルを防止する方法

  1. 不可抗力条項の導入
    取引先との契約書に不可抗力条項を設けることで、争議行為が不可抗力に該当する場合には責任を免れることができます。例えば、「ストライキやその他の争議行為が発生した場合には債務不履行責任を負わない」と明記する方法が有効です。
  2. 事前のコミュニケーション
    争議行為の発生が予想される場合は、速やかに取引先に状況を説明し、影響を最小限に抑えるための対策を協議することが重要です。
  3. 代替手段の確保
    争議行為による業務の停止が予想される場合、代替手段として外部委託や応援要員の手配を検討します。これにより、納期遅延などの影響を軽減できます。
  4. 社内の労使関係の強化
    日常的に労使間のコミュニケーションを密にし、争議行為の発生を未然に防ぐ努力を行いましょう。定期的な協議や問題解決の場を設けることが有効です。

弁護士に相談するメリット

争議行為を理由とするトラブルは、法的な解釈が複雑であるため、専門家である弁護士への相談が大きな助けになります。以下は弁護士に相談するメリットです。

  1. リスク管理の強化
    弁護士は、契約書の見直しやリスク回避策の策定を支援します。これにより、争議行為による影響を最小限に抑えることができます。
  2. 迅速な問題解決
    トラブルが発生した場合、弁護士は交渉や訴訟手続きにおいて適切な助言とサポートを提供します。これにより、迅速かつ効果的な解決が期待できます。
  3. 取引先との信頼関係の維持
    弁護士を通じて円滑なコミュニケーションを図ることで、取引先との信頼関係を維持しながらトラブルを解決することが可能です。
  4. 長期的な視点での対応
    弁護士は、単発の問題解決だけでなく、今後のトラブルを予防するための助言を提供します。これにより、企業の健全な成長をサポートします。

まとめ

争議行為が取引先に与える影響は、企業の経営や信用に直結する重大なリスクとなり得ます。しかし、法的な理解を深め、予防策を講じることで、こうしたリスクを大幅に軽減することが可能です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、企業が安心して事業活動を継続できるよう、争議行為に関する問題解決やリスク管理を包括的にサポートしております。お困りの際は、ぜひご相談ください。

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