はじめに
企業経営を続けていく中で、資金繰りが悪化し、最終的に法人破産を選択せざるを得ない状況に陥ることがあります。このような場合、金融機関は迅速かつ厳格に対応を進める傾向があります。本稿では、法人破産を察知した金融機関がどのような行動を取るか、またその際に注意すべきポイントについて解説します。また、弁護士に相談することで得られる具体的なメリットについても触れていきます。
法人破産を察知した場合に想定される金融機関の対応
金融機関は、融資を通じて企業との深い関わりを持っています。そのため、企業の倒産リスクを察知すると、早急に融資回収やリスクの軽減を図る行動に移ります。以下は、法人破産を察知した場合に金融機関が取る典型的な対応例です。
主な金融機関の対応
- 新規融資の停止
倒産の兆候が見られる企業に対し、金融機関は新規融資を控えます。これにより、事業の立て直しに必要な資金調達が難しくなります。 - 融資の一括返済要求
融資契約の早期終了を行い、未払いの融資を一括返済するよう求められることがあります。 - 預金の差押えや相殺
借入金と預金を相殺することで、金融機関が未回収の融資を回収する行為です。 - 担保不動産の競売申立
担保として提供されている不動産の競売を申し立てることで、融資回収を試みます。 - 連帯保証人への請求
連帯保証人がいる場合、直接請求が行われることがあります。 - 財産の仮差押や民事裁判
借入金の返済を求める訴訟や、財産の仮差押えが行われる場合があります。 - 頻繁な電話や訪問
銀行職員が企業や経営者に頻繁に接触し、返済を求めることも一般的です。
金融機関への対応上の留意点
金融機関からの対応が厳しくなると、経営者や企業は迅速かつ適切な対応を取る必要があります。その際に注意すべきポイントを以下に挙げます。
1. 破産を検討していることを金融機関に伝えない
「破産を考えている」という情報が金融機関に伝わると、融資回収のスピードが加速します。返済条件の変更(リスケジュール)や追加資金調達が困難になるため、対応には慎重さが求められます。
2. 違法・問題行為を避ける
財産隠匿や偏頗弁済(特定の債権者への優先的返済)などは法律で禁止されており、発覚した場合には厳しい追及を受けます。
3. 弁護士への早期相談
金融機関の対応に迅速かつ適切に対応するには、弁護士のサポートが不可欠です。弁護士が対応窓口となることで、金融機関との直接的なトラブルを回避し、スムーズな破産手続が進められます。
弁護士に相談するメリット
法人破産を検討する段階では、弁護士に相談することでさまざまなメリットが得られます。
1. 金融機関との交渉代行
弁護士が金融機関とのやり取りを代行することで、経営者が直接プレッシャーを受けることを防ぎます。これにより、冷静に破産手続を進めることが可能です。
2. 財産保護の支援
弁護士は法律の範囲内で、会社や経営者の財産を守るための適切な対策を講じます。
3. 最適な手続きの選択
破産手続だけでなく、他の債務整理方法(任意整理や民事再生)についても検討し、経営者に最適な選択肢を提案します。
4. 手続の迅速化
破産手続に精通した弁護士がサポートすることで、必要書類の準備や申請がスムーズに進みます。
5. 精神的負担の軽減
金融機関や債権者との交渉を弁護士に任せることで、経営者の精神的負担を軽減することができます。
まとめ
法人破産が避けられない状況に陥った場合、金融機関は融資回収を最優先に動きます。そのため、金融機関への対応を間違えると、事業活動や個人資産に大きな影響を及ぼす可能性があります。弁護士に相談することで、金融機関とのトラブルを最小限に抑え、法的に適切な手続を進めることが可能です。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、法人破産に関する豊富な経験を基に、経営者の皆さまの立場に寄り添ったサポートを提供しています。ぜひお気軽にご相談ください。
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