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法人破産における申立費用・弁護士費用を用意するポイント

はじめに

法人の経営が困難な状況に陥り、破産を検討する段階では、多くの場合、資金が枯渇していることが一般的です。破産の申立にかかる費用や、弁護士への依頼費用を確保することが必要になりますが、この時点で資金が不足しているケースも多く見られます。本稿では、法人破産における申立費用や弁護士費用の概要、さらにこれらの費用をどうやって工面するか、その具体的な方法についてご紹介します。

法人破産における申立費用とは

法人が破産手続を進める際には、まず裁判所に申立費用を支払う必要があります。申立費用には、主に以下の費用が含まれます。

このような申立費用は、破産手続の初期段階で必要となるため、準備不足のまま破産申立に臨むと、手続の遅延や予期しない問題を引き起こす可能性があります。そのため、早い段階での費用確保が求められます。

法人破産における弁護士費用とは

法人破産の申立を弁護士に依頼する場合、弁護士費用が必要となります。弁護士費用の内容には、一般的に以下の項目が含まれます。

破産申立においては、費用の金額だけでなく、弁護士の専門性や手続における経験が重要です。適切な対応を行う弁護士を選ぶことで、迅速かつ効率的な破産手続を進めることが可能となります。

申立費用・弁護士費用を用意するポイント

経営が悪化し、破産申立を検討する段階では、資金が逼迫していることが多いため、申立費用や弁護士費用の確保は難題となります。ここでは、限られた資金を確保するための具体的な方法を解説します。

1.キャッシュフローの調整

営業の継続を予定しない場合には、支払期限が迫っている借入金や買掛金、税金、社会保険料の支払いを一時的に停止し、手元に残る現金を増やすことができます。また、顧客や取引先からの売掛金など、未収の債権を回収することで、さらに資金を確保することが可能です。

注意点:偏頗弁済を避ける

一部の債権者に対してのみ支払いを行うことは、破産手続上「偏頗弁済」とみなされ、不公平な支払いと見なされます。特に、親族や取引先の特定の業者にだけ支払う行為は慎まなければなりません。ただし、従業員への給与や解雇予告手当については優先して支払うことが認められる場合もあります。

注意点:債権者からの対抗措置に備える

支払いを停止すると、税金の滞納による差し押さえや、銀行口座の相殺といった債権者からの対抗措置を受ける可能性があります。このため、対抗措置への対応策を事前に検討し、必要な場合には弁護士の助言を得ることが重要です。

2.資産の現金化

会社が保有する資産(在庫商品や設備、車両など)を現金化して申立費用に充てる方法です。ただし、資産を処分する際には、以下の点に十分に注意が必要です。

注意点:不当に安価で売却しない

市場相場を無視して安価に売却すると、破産手続において会社の資産流出と判断され、問題が生じることがあります。売却に際しては相場を確認し、適正価格で取引を行うよう心がけましょう。

注意点:現金化までの期間を考慮する

保険の解約など、一部の資産を現金化するには一定の期間が必要です。破産申立に間に合うよう、時間的余裕を持って準備することが大切です。

弁護士に相談するメリット

破産申立に際し、申立費用や弁護士費用を確保するには専門的な知識が求められます。以下に、弁護士に相談する主なメリットをご紹介します。

まとめ

法人破産における申立費用・弁護士費用の確保は、資金不足が予想される状況では大きな課題です。費用を工面するための手段として、キャッシュフローの調整や資産の現金化は有効ですが、偏頗弁済を避けることや債権者からの対抗措置に対する準備が不可欠です。また、手続きが適正に進行するためにも、弁護士の支援を受けることは重要なポイントです。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、企業の経営状況や具体的なニーズに応じた適切なアドバイスを提供し、円滑な破産手続をサポートいたします。

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