【事業再生とは】

経営環境が悪化し、資金調整が困難となった場合には、経営再建の方法を模索する必要があります。金融機関との任意交渉による私的整理のほか、破産や民事再生等、法的整理も検討できるようにしておく必要があります。

事業の継続が困難となった場合、企業の経営状況やご意向、債権者の意向等をヒアリングしながら、どのような再生手続を選択することがよいのかを検討・アドバイスいたします。

【法人破産とは】

自己破産とは、支払不能に陥った債務者の申立てにより、最終的には特定の非免責債権を除いて支払を免れるための裁判上の手続をいいます。破産手続によって、破産者である法人は消滅することになります。

【破産手続】

破産手続は、財産の換価・配当を行う手続です。破産手続は、管財手続と同時廃止手続に分かれます。

管財手続となった場合、裁判所が選任する破産管財人の調査・換価業務に協力しなければなりませんが、自己破産申立人である企業にとって何よりも大きい影響は、破産管財人の費用を予納しなければならないということにあります。裁判所によっても運用は異なりますが、数十万円〜数百万円の予納を求められることがあります。負債総額が大きかったり、財産関係が複雑であったりする場合には、さらに高額の予納金を求められることもあります。

管財事件となった場合、申立代理人となる弁護士の費用だけではなく、管財人の費用も予納しなければならないため、それだけの費用を用意できる目処が立つかどうかも考えなければなりません。破産申立にあたっては、管財事件とならずに同時廃止で解決する目処があるかどうかも考える必要があります。

なお、法人・会社の破産手続の場合には、大半のケースで管財事件として扱われ、同時廃止事件となることはほとんどありません。

【免責手続】

自己破産を選択する最大の理由は、免責許可決定を受けることにあります。

免責許可決定が確定すると、特定の非免責債権を除いて、破産者は、破産手続開始決定時の債権(「破産債権」といいます。)について支払いをしなくてよいことになります。

裁判所は、免責不許可事由がない場合には、免責許可決定をしなければなりません。また、免責不許可事由がある場合でも、裁判所が諸事情を考慮して免責許可をすることが相当であると判断する場合にも、免責許可決定を得ることができます。

自己破産を選択する場合には、免責許可決定を得ることができるかどうかを見極める必要があります。

法人破産の場合、通常は法人の破産手続のみならず、代表者個人の破産も並行して進めることになります。

代表者個人の破産手続にあたっては、この免責を得る見込があるかどうか、ヒアリングを重ねながら検討することになります。

【破産のデメリット】

1 財産の処分

自己破産を選択する場合、自由財産として認められない財産は手放さなければなりません。

但し、資産価値がないような物品は、処分の対象とはなりません。例えば、日用品などは資産価値がないものが大半ですので、身近な日用品などを手放す必要はありません。ご相談者のなかには、「自己破産を選択したら、バッグやテレビ、タンスなど日用品すべてを失ってしまうのではないか。」と思っている方もいますが、よほど高価な物品でない限りはそのような心配はないと説明することも必要です。

多くのケースでは、負債が資産を大幅に超過しており、破産を選択することによる経済的メリットの方が大きいといえます。財産の処分がありうるとしても、そのデメリットはそれほど大きくはないといえます。

2 資格の制限

破産手続開始決定が出ると、免責許可決定が確定するまでの間、一定の資格が制限を受けます。制限を受ける資格は法定されており、弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士等の士業のほか、警備業者、警備員などが挙げられます。

もっとも、免責許可決定が確定すると、復権によって資格の制限はなくなります。

3 再度の免責許可申立

免責許可決定が確定した後、7年以内に行われた免責許可申立ては、 過去の免責許可決定の確定が免責不許可事由になります。したがって、短期間で何度も破産申立をしても免責を受けられないことになり、破産申立をする意義がなくなることになります。

 

(注)本記事の内容は、記事掲載日時点の情報に基づき作成しておりますが、最新の法例、判例等との一致を保証するものではございません。また、個別の案件につきましては専門家にご相談ください。