はじめに

薬機法(旧薬事法)の改正は、医薬品・医療機器業界において重大な影響を与えるため、適切な理解と対応が求められます。特に、2021年8月から施行された改正では、医薬品や医療機器の製造・流通・販売に関わる企業にとって多くの法的義務が新たに課せられ、コンプライアンス体制の強化が求められています。

本記事では、2021年8月施行の薬機法改正のポイントについて解説します。

Q&A

Q: 2021年8月からの薬機法改正では、企業としてどのような対応が必要ですか?

A:2021年8月から施行された薬機法改正では、以下の3つの主要ポイントに着目し、企業が適切な対応を行うことが求められています。

  1. 医薬品・医療機器等の品質向上と安全性確保のための制度改善
    承認申請の迅速化を図るため、従来の承認制から届出制への変更が一部導入されました(薬機法第14条等)。
    製造方法等の変更に関して、計画的な届出を行うことで、よりスムーズに変更が可能になっています。
  2. 薬剤師および薬局に関する規制の見直し
    薬局機能の明確化により、消費者が適切な薬局を選択できるよう、都道府県知事の認定を受けた機能別表示が導入されました。
  3. 信頼確保のための制度強化(課徴金制度の創設等)
    誤った情報や虚偽の広告による販売行為に対し、課徴金制度が導入され、違反者には売上高の一定割合(4.5%)を課徴金として納付することが義務付けられました(法第9条の2、第68条の2等)。

薬機法とは?

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、医薬品、医療機器、化粧品及び再生医療等製品に関する品質や安全性を確保し、消費者保護を目的とした法律です。人の健康に直接的な影響を与える製品を対象とするため、その取り扱いには特に厳格な規制が設けられています。

2021年8月施行の薬機法改正のポイント

1. 医薬品、医療機器等を安全かつ効率的に提供するための制度改善

改正前は、医薬品や医療機器の製造方法を変更する際には、厚生労働大臣の承認が必要でした。しかし、2021年8月からは、一部変更内容に関しては届出制を導入し、承認の手続を簡略化しました。これにより、製造プロセスの柔軟性が向上し、消費者に製品をより迅速に提供できるようになっています。

2. 薬剤師と薬局の機能見直し

改正により、薬局の機能を明確にするための認定制度が導入され、消費者が自らのニーズに合った薬局を選びやすくなりました。機能別に名称を掲げることが可能になり、消費者にとっての利便性が向上しました。

3. 課徴金制度の創設

薬機法改正では、虚偽広告や誇大広告による医薬品等の販売に対する罰則として課徴金制度が導入されました。課徴金の額は、違反行為を行った期間中に得られた売上高の4.5%とされています。この規定は、企業が誤解を招く表現を避け、消費者に正しい情報を提供するよう促すことを目的としています。

薬機法改正に伴う企業の対応

1. コンプライアンス体制の整備

薬機法に基づく改正に対応するためには、企業は自社のコンプライアンス体制を見直す必要があります。具体的には、法令遵守を確保するための組織体制を整え、経営陣と現場の責任範囲を明確にすることが重要です。また、医薬品や医療機器の製造販売において、適切な広告表示や製造手続の管理を行い、法令違反の防止に努めることが求められます。

2. デジタル情報提供体制の構築

デジタル化が進む中で、企業は医薬品等の情報をデータ形式で提供するためのシステム構築が必要です。例えば、PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)のウェブサイトで製品情報を掲載するための準備や、製品の容器にQRコードを印刷して消費者が簡単に情報にアクセスできるようにすることが求められています。

弁護士に相談するメリット

薬機法は改正が頻繁に行われるため、その内容を正確に理解し、企業活動に反映させることは容易ではありません。弁護士に相談することで、以下のメリットがあります。

  • 最新の法改正情報の提供: 弁護士は、法改正の詳細や施行スケジュールについて精通しており、企業にとって最適な対応策を提示できます。
  • コンプライアンス体制の構築支援: 法令遵守体制の整備や、内部監査のサポートを通じて、違反リスクの低減を図れます。
  • トラブル発生時の迅速な対応: 薬機法違反が疑われる場合、弁護士の助言を受けながら適切な対応を取ることで、被害やペナルティを最小限に抑えることが可能です。

まとめ

2021年8月から施行された薬機法改正は、医薬品や医療機器を扱う企業にとって大きな影響を及ぼすものです。本記事では、その主要な改正内容について解説しましたが、詳細な規定や例外も多く存在するため、法務担当者や経営者は、改正内容を理解した上で、適切な対応を行うことが求められます。

薬機法改正について不明点や対応に困った際は、弁護士法人長瀬総合法律事務所までぜひご相談ください。

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