はじめに

新型コロナウイルス感染症は私たちの生活様式を一変させました。昨今の新型コロナウイルス感染症は日本社会に対して否が応にもwithコロナの新しい生活様式への変革を迫っています。

新型コロナウイルス感染症による変革は、我々弁護士に対しても同様ですが、今回ご紹介するユニオン(合同労組)による団体交渉も例外ではないでしょう。

本稿では、新型コロナウイルス感染症により生じた新たな問題である、ユニオン(合同労組)による団体交渉の申し入れに対して、新型コロナウイルス感染症による感染拡大防止のため拒否できるかを解説いたします。

感染の危険がある団体交渉の場

団体交渉とは

まず、団体交渉及びユニオン(合同労組)は、昨年NS News Letter vol.33及び34で解説されています(「団体交渉について1」「団体交渉について2」)。

当該解説を引用するに、「ユニオンとは、合同労組(合同労働組合)と呼ばれる会社の外部の組織です。どこの会社に勤めているかということとは無関係に、労働者であれば誰でも加入することのできる労働組合」(NS News Letter vol.33「団体交渉について1」弁護士・大久保潤 執筆稿)であり、「団体交渉とは、労働者が労働組合を結成して、会社(経営者)と労働問題について交渉を行うこと」(NS News Letter vol.33「団体交渉について1」弁護士・大久保潤 執筆稿)とされます。

密室・複数名・長時間の会話

この団体交渉は、基本的に密室で、会社側及びユニオン(合同労組)の担当者複数名が長時間にわたり会話しますので、新型コロナウイルス感染拡大を防止するという観点では、会社側として拒否したいと考えるのも無理からぬことです。

感染拡大防止を理由に交渉拒否はできない

しかし、新型コロナウイルス感染症感染拡大のため団体交渉を拒否することはできないと考えるべきです。

労働組合法7条2項は「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと」を不当労働行為にあたると規定しています。

団体交渉は労働組合の憲法上の権利行使であり、昨今の雇用環境からすれば団体交渉の必要性も高く、「感染拡大防止のため」という理由は正当とはいえない可能性が高いため、拒否は避けるべきでしょう。

団体交渉は弁護士にお任せください

このように新型コロナウイルス感染症により様々な問題がユニオン(合同労組)との団体交渉において発生しています。

ユニオン(合同労組)から団体交渉の申し入れがあった場合には、ユニオン(合同労組)との交渉の経験の豊富な弁護士にご相談することをおすすめいたします。当事務所は多数回ユニオン(合同労組)との交渉経験がありますので、ぜひご相談ください。