取引先との契約書を作る際に、インターネットで入手したひな形や、自動で作成した文案をそのまま使ってよいのか迷う経営者の方は多いと思います。

ひな形は契約書を作る出発点としては役に立ちますが、そのまま使うと、実際の取引の内容と合っていなかったり、自社に不利な条項が含まれていたり、法改正が反映されていなかったりすることがあります。使う前に、取引の目的と実態に合っているか、代金、期間、解約、責任の条項が自社の想定どおりかを確認することが必要です。弁護士に確認を依頼する場合は、取引の背景を伝えることで、より実態に即した確認ができます。

この記事では、ひな形を使う前の確認点と、契約書のレビューを依頼する際の準備を説明します。

取引目的と実態

契約書の確認は、条項を読む前に、取引の内容を整理することから始めます。何を、誰から誰に、いつまで、いくらで提供するのか、取引の中でどのような問題が起こりうるのかを書き出してみると、ひな形との違いが見えてきます。

たとえば、売買のひな形を業務の委託に使っている、成果物の権利の帰属が定められていない、継続的な取引なのに一回限りの取引を前提とした内容になっている、といった不一致がよく見られます。自動で作成した文案も同様で、作成の方法によって有効か無効かが決まるわけではなく、内容が取引に合っているかが問題になります。

金額・期間・解約・責任

ひな形を使う際に特に確認したい観点と条項は次のとおりです。

確認の観点 主な条項 確認のポイント
取引の目的と内容 目的、業務・商品の内容、仕様 実際の取引と一致しているか
お金 代金、支払期日、遅延損害金 自社の資金繰りと整合しているか
期間と終了 契約期間、自動更新、解約、解除 取引をやめたいときに終了できるか
責任 契約不適合責任、損害賠償、責任の上限 自社が負う責任の範囲が過大でないか
権利と情報 知的財産、秘密保持 成果物や情報の扱いが想定どおりか
紛争 管轄裁判所 遠方の裁判所が指定されていないか
社内運用 報告、検査、通知の手続 契約どおりに運用できるか

特に、裁判所を定める条項で相手の所在地の裁判所が指定されていると、紛争になった際に遠方で裁判を行うことになる場合があります。

交渉で優先する事項

相手が作成した契約書の場合、すべての条項の修正を求めることは現実的でないこともあります。問題が起きた場合の影響が大きい条項、たとえば損害賠償や責任の範囲、支払の条件、解約の条件、裁判所の定めなどから優先順位を付けて交渉します。

また、取引の内容によっては、取適法や、消費者との取引に適用される法律など、契約の内容を制限する法律が適用されることがあります。当事者が合意していても、法律に反する条項は効力が否定される場合があります。

依頼資料とレビューの流れ

弁護士に契約書の確認を依頼する際は、次の事項を伝えていただくと、実態に即した確認がしやすくなります。

  • 契約の相手方と、取引の概要
  • 自社の立場(売る側か買う側か、委託する側か受ける側か)
  • 契約を結ぶ予定日
  • 特に気になっている条項や懸念
  • 相手の書式か自社の書式か、交渉の余地があるか
  • 過去に同種の取引で生じたトラブル

レビューは、一般に、資料の送付、弁護士による確認、修正案とコメントの提示、打合せ、相手方との交渉、締結という流れで進みます。修正案は、変更箇所が分かる形式で提示すると、社内での検討や相手方との交渉に使いやすくなります。これらのやり取りは、データの送付とオンラインの打合せで進めることができます。

よくある質問

Q インターネットのひな形を使ってもよいですか?

出発点として使うことはできますが、取引の実態と合っているか、自社に不利な条項がないかを確認したうえで、必要な修正を加えてください。

Q 自動で作成した契約書は有効ですか?

作成の方法によって有効か無効かが決まるわけではありません。内容が取引に合っているか、法律に反していないかに加え、当事者の合意や、保証契約などで必要となる法定の方式を満たしているかを確認します。

Q 契約書の確認にはどのくらい時間がかかりますか?

契約書の分量と内容、修正の必要性によって異なります。締結の予定日が決まっている場合は、早めに伝えてください。


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