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長瀬総合法律事務所 ホーム 顧問弁護士の活用事例 【解決事例】事業再編に伴う従業員との雇用契約終了に関する紛争を円満解決した事例
ご相談いただいたのは、経営環境の大きな変化に直面し、事業の再編を余儀なくされた企業様でした。
企業様は、将来的な事業継続の困難性から、やむなく会社を整理する方針を固め、それに伴い、複数の従業員の方々との雇用契約を終了せざるを得ない状況となりました。
会社としては、従業員の方々に対し、事前に会社の方針と解雇の見込みについて説明を試みましたが、その伝え方やタイミング、解雇条件などについて、一部の従業員からは十分な理解が得られませんでした。特に、ある従業員からは「解雇自体はやむを得ないかもしれないが、手続きは適切に行ってほしい」との声が寄せられるなど、解雇手続きの進め方に対する不安や不信感が少なからず生じている状況でした。
また、別の従業員については、ご家庭の事情や再就職への懸念などから、解雇条件に関する交渉が難航することも予想されました。
会社側は、法的に適切な手続きを踏むことはもちろん、従業員との間で無用な紛争を生じさせることなく、できる限り円満に雇用関係を終了させたいと強く望んでおられました。しかし、従業員との直接のやり取りでは感情的な側面も絡み、話し合いが平行線をたどる可能性も懸念されていました。
さらに、社会保険の手続きなどを円滑に進めるためにも、早期に各従業員と雇用契約の終了に関する正式な合意書を取り交わす必要性も感じておられました。このような状況の中、今後の対応について専門家のアドバイスを求め、当事務所にご相談に来られました。
当事務所にご相談いただいた後、担当弁護士はまず、企業様からこれまでの経緯、従業員とのやり取りの内容、企業が置かれている具体的な状況について詳細なヒアリングを行いました。その上で、解雇に至る経営上の判断の合理性、解雇手続きの進め方、提示する解雇条件の妥当性などについて法的な観点から慎重に検討いたしました。
次に、従業員の方々それぞれの状況や意向を考慮し、個別の対応方針を策定しました。会社都合による整理解雇であることの法的根拠や、会社として最大限配慮できる条件などを整理し、従業員にご理解いただくための説明資料の準備もサポートいたしました。
具体的な交渉段階では、当事務所の弁護士が企業の代理人として、従業員の方々との間で交渉を開始しました。交渉においては、まず従業員側の主張や要望を真摯に受け止め、丁寧に聴取することを心がけました。その上で、企業の置かれた厳しい状況や、解雇がやむを得ない経営判断であったこと、提示している条件が法的に見て、また社会通念に照らして妥当な範囲であることを、粘り強く説明いたしました。
特に、解雇手続きの適正性を重視されていた従業員に対しては、解雇理由や手続きの正当性について、誤解や疑念を解くように具体的な説明を尽くしました。また、再就職への不安を抱える従業員に対しては、企業として可能な範囲での配慮を示しつつ、解決金の額について双方にとって受諾可能な着地点を模索しました。
交渉の結果、当初会社側が想定していた条件を基本としつつも、個別の事情や交渉経緯を総合的に勘案し、それぞれの従業員と個別に、双方にとって受諾可能な条件で合意に至りました。これにより、企業側としては、従業員の方々への一定の経済的補償を行いつつ、紛争を長期化させることなく解決を図ることができました。
最終的に、対象となった全ての従業員の方々と、雇用契約の終了日、解決金の支払条件、守秘義務、その他一切の債権債務がないことを確認する清算条項などを盛り込んだ雇用契約終了合意書を締結することができました。これにより、将来的な紛争の再燃を防ぎ、企業様は安心して事業整理の手続きを進めることができるようになりました。
企業経営において、事業再編や経営不振などを理由に従業員の解雇(整理解雇)を検討せざるを得ない場面は、残念ながら起こり得ます。整理解雇は、法律上、厳格な要件(人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性、手続きの相当性など)を満たす必要があり、その判断や進め方を誤ると、不当解雇として従業員から法的な紛争を提起されるリスクがあります。
本件では、企業様が比較的早い段階で当事務所にご相談くださったことが、円満な解決への重要なポイントとなりました。弁護士が介入することで、まず法的な論点を整理し、企業として取るべき手続きや従業員への説明内容について、的確なアドバイスを行うことが可能になります。
従業員の方々にとって、解雇は生活に直結する重大な問題であり、不安や不満を抱かれるのは当然のことです。企業側が誠意をもって対応することは大前提ですが、法的な知識や交渉の経験が不足していると、意図せずとも紛争を深刻化させてしまうことがあります。弁護士が代理人として交渉の矢面に立つことで、経営者の方の精神的なご負担を軽減するとともに、感情的な対立を避け、冷静かつ建設的な話し合いを進めることが期待できます。
今回の事例では、従業員の方々それぞれの立場や懸念事項に配慮しつつ、企業側の事情も丁寧に説明することで、相互理解を深めるよう努めました。結果として、裁判などの長期的な紛争に発展することなく、比較的短期間で、かつ、双方にとって納得のいく形で合意に至ることができました。これは、企業様のご協力と、従業員の方々のご理解があってこそ成し得たものです。
雇用契約を終了する際の合意書には、解決金の支払い条件を明確にするだけでなく、口外禁止条項、誹謗中傷禁止条項、そして将来の紛争蒸し返しを防ぐための清算条項を適切に盛り込むことが極めて重要です。これらの条項を整備することで、企業は安心して次のステップに進むことができます。
労務問題は、一度こじれてしまうと解決までに多大な時間とコストを要することが少なくありません。問題が顕在化する前、あるいは初期の段階で、ぜひ一度、労働問題に詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。当事務所では、企業様の実情に即した最適な解決策をご提案できるよう、親身に対応させていただきます。
私たち「弁護士法人 長瀬総合事務所」は、企業法務や人事労務・労務管理等でお悩みの企業様を多数サポートしてきた実績とノウハウがあります。
私たちは、ただ紛争を解決するだけではなく、紛争を予防するとともに、より企業が発展するための制度設計を構築するサポートをすることこそが弁護士と法律事務所の役割であると自負しています。
より多くの企業のお役に立つことができるよう、複数の費用体系にわけた顧問契約サービスを提供しています。
当事務所では、一定の顧問契約をご締結いただいている企業には、「EAPサービス」(従業員向けリーガルサービス)を提供しています。「EAPサービス」は、相談企業の福利厚生の一環として、従業員に対し法的サービスを提供することが可能です。
顧問契約を締結することで、自社のコンプライアンス体制を構築するとともに、従業員への福利厚生を充実させることも期待できますので、顧問契約とともにEAPサービスのご利用をご検討いただけますと幸いです。
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