Case Study

顧問弁護士の活用事例

未払い入学金・授業料を分割合意により回収した事例|学校法人の安定経営を守った示談交渉のポイント

業種

学校法人

お困りの問題

相談前の状況

ご相談者は学校法人でした。

ある学生の保護者から入学金および前期授業料が支払われず、重ねて督促しても「近く支払う」の一点張りで実際の送金はありませんでした。

未納額は数十万円規模とはいえ、同様の小口未払いが累積すると経営や教育環境の維持に影響する恐れがあります。さらに、他の在学生に対して公平性を保つ観点からも、早期かつ適正な対応が必要でした。

しかし、学生本人が学業を継続している事情もあり、強硬な手段は避けつつ確実に債権を回収したいというのが学校側のご要望でした。

相談後の対応

(1)事実関係と契約内容の確認

まず在籍契約書・学則・学費納入規程を精査し、支払期限および延滞時の措置(催告・除籍・遅延損害金等)の条項を整理しました。これにより「納付請求の法的根拠」を明確化し、交渉の土台を固めました。

(2)内容証明郵便による正式催告

当事務所名義で内容証明郵便を発送し、①未納額の総計、②支払期限の再設定、③期限までに履行がない場合に法的措置(訴訟・強制執行)も検討する旨を記載。感情的対立を避けるため、文面は冷静かつ端的に事実を述べ、支払いの意思がある場合の相談窓口を提示しました。

(3)分割払いを含む柔軟な解決スキーム

発送後まもなく保護者から連絡が入り、経済的事情で一括は困難だが学業継続を望むとの意向が示されました。訴訟になれば時間とコストの負担が双方に増すため、学校側と協議のうえ分割での支払計画を提案。これに応じる形で任意の和解契約を締結し、支払期ごとに振込証明を提出する義務を課しました。

(4)履行管理と再発防止策

結果として全額が入金されました。併せて、学校法人内での学費管理フローを見直すことをご提案しました。

担当弁護士からのコメント

教育機関における学費未払いは「学生の学習権」と「法人の経営安定」が常に対立する難しい問題です。早期に専門家が関与し、①契約・規程を基礎にした法的根拠の提示、②訴訟リスクを背景とした交渉、③相手方の支払能力に応じた現実的なプランの提案、という三段構えを採ることで、対立を深刻化させず円滑な回収が可能になります。

本件では、内容証明郵便の送付によって「支払わなければ次のステップに進む」という明確なメッセージを発しつつ、分割払いという救済策を同時に示したことが奏功しました。

債権管理は金額の大小にかかわらずスピードが命です。小口の未収が累積すれば教育サービスの質や他の学生との公平性に影響します。未払いが生じた際は、早期にご相談いただくことで、法的手続きに至る前に円満解決する可能性が大きく広がります。

当事務所は、学校法人の使命である「教育の継続」と「経営の健全化」の両立を目指し、実効性と柔軟性を兼ね備えた債権回収スキームをご提案いたします。

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