ポイント
- 情報管理措置体制を構築する上では、情報管理の安全性と実現可能性のバランスを考慮する
- 情報の重要度に応じて、管理方法を検討する
- 情報管理措置体制は、PDCAサイクルを意識して継続的に構築する
情報管理措置体制の構築手順
ここまで、個人情報保護、マイナンバー保護、企業情報保護における情報管理措置体制の考え方を説明しました。
これらの情報管理措置体制を整理すると、企業が情報管理措置体制を構築する際に検討すべき事項は、以下のようになります。
保護の対象とすべき情報の整理
企業内の情報の整理・特定
企業が情報管理を厳密に行うのであれば、企業が接触・管理するあらゆる情報を厳重に管理することが理想といえますが、企業の業種や企業規模、取扱情報量等によっては、すべての情報を厳重に管理することが現実的ではないこともありえます。企業が情報管理体制を構築する上では、情報管理の安全性と実現可能性のバランスを考慮する必要があります。
企業が情報管理体制の構築に着手する際には、まずは企業内の情報が物理的にどの場所にあるのか、またどの部署が、どのような種類の情報を管理しているのか等の情報の内容・種類を整理すること、管理すべき情報の優先順位をつけることから始めるべきでしょう。
情報の内容・種類に応じたランク分け
企業が管理している情報の内容・種類を整理した後に、情報の内容・種類に応じたランク付けを行い、ランクに応じた管理方法を検討すべきといえます。
情報のランク付けの一例としては、以下のような方法が考えられます(名称等は、各企業が任意に設定することになります)。
管理方法の区別
次に、情報の具体的な管理方法としては、前出の個人情報保護委員会の各ガイドラインや、経済産業省の営業秘密管理指針等が参考となりますが、情報の重要度に応じて、以下のような管理方法を検討することになります。
社内規程の整備
また、情報のランク付けや管理方法を整理するとともに、組織的な情報管理体制の構築のためには社内規程の整備が必要です。企業によっては、情報管理に関する規則を就業規則に盛り込んでいる場合もありますが、情報管理のルールを詳細に設定する必要がある場合には、就業規則とは別に情報管理規程を別途設けることも考えられます。
また、就業規則や情報管理規程とは別に、従業員の入退社時や、重要なプロジェクト参加時に、情報を外部に漏らすことがない旨を約する誓約書や秘密保持契約書を締結することも検討の余地があるでしょう。
従業員の教育・研修
社内規程を整備したとしても、企業の情報に接触する従業員の情報の取扱いに対する認識に不足があれば、情報管理体制としては十分とはいえません。
そこで、従業員に対し、情報管理に関する社内規程の周知徹底を図るための研修の実施や、社内掲示板等に活用による啓蒙を行う必要があります。
定期的なモニタリング
以上の情報管理体制を構築・改善を図ったとしても、即座に効果が発揮できるとは限りません。新たに作成・修正した社内規程に不備があったり、うまく活用できない事態が生じたりすることもあるでしょう。
そこで、企業としては、情報管理体制を一度構築(Plan)しただけで取組みを終えるのではなく、実際に運用(Do)した後に、情報管理状況がどのようになっているのかを監査(Check)し、監査結果を踏まえて既存の情報管理体制の不備を修正していく(Act)、というPDCAサイクルを回し続けることが求められます。
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