ポイント
- SNSによる情報漏洩も、コンプライアンスリスクに直面することになる
- SNSリスクにおける従業員個人の責任は、民事責任、労務責任、刑事責任、社会的責任の4つがある
- SNSリスクにおける企業の責任は、民事責任、行政責任、刑事責任、社会的責任の4つがある
SNSによる情報漏洩に起因するコンプライアンスリスク
SNSによって、企業が管理する個人情報が漏洩したり、企業の信用を毀損するような動画が流出したりすれば、当該SNSの投稿をした従業員だけでなく、企業もコンプライアンスリスクに直面することになります。
コンプライアンスリスクには、法規範違反、社内規範違反、倫理規範違反の3つがありますが、SNSによる情報漏洩でも、この3つの視点から整理することになります。
SNSリスクにおける従業員個人の責任
SNSによる情報漏洩が発生した場合、SNSを発信した従業員自身の法的責任は、以下の図のとおりです。
(図表 SNSリスクにおける従業員個人の責任)
(1)民事責任
SNSを発信した従業員は、投稿内容によってプライバシーや名誉を毀損された被害者に対する損害賠償責任を負うことになります(民法709条)。また、SNSの投稿によって勤務先企業の社会的信用を毀損した場合には、勤務先企業に対する職務上の注意義務違反として損害賠償責任を負うことになります。
(2)労務責任
各企業の職務規程などでは、通常、従業員が業務中に知りえた事項を漏洩したり、企業の社会的信用を失墜するような言動をしたりした場合には懲戒事由に該当すると定められています。このような場合には、当該従業員は懲戒処分の対象になります。
(3)刑事責任
従業員の投稿内容が悪質なプライバシー侵害や名誉毀損行為に該当する場合のほか、勤務先の営業妨害行為に該当する場合には、刑事責任を追及されることも考えられます。
(4)社会的責任
SNSに投稿した従業員の個人情報がインターネット上で特定されてしまった場合、当該従業員の社会的信用も失墜することになります。
SNSリスクにおける企業の責任
SNSによる情報漏洩が発生した場合、SNSを発信した従業員を雇用する企業の法的責任は、以下の図のとおりです。
(図表 SNSリスクにおける企業の責任)
(1)民事責任
企業は、従業員の使用者としての管理責任を負っています。このため、従業員の投稿により被害者のプライバシーや名誉を毀損した場合には、使用者責任に基づく損害賠償責任を負うことがあります(民法715条)。
(2)行政責任
従業員の投稿により深刻な個人情報漏洩事件が発生してしまった場合には、個人情報保護法違反として、個人情報保護委員会による行政処分を受けるおそれがあります。
(3)刑事責任
個人情報保護法違反などには、両罰規定が設定されており、企業も罰金刑などを受ける場合があります。
(4)社会的責任
従業員の投稿による情報漏洩が起きた場合には、企業の従業員に対する教育や研修体制、企業の見識が疑われることになる上、こうした批判がSNS等を通じてインターネット上にも拡散し、企業の社会的信用が毀損されるというレピュテーションリスクを負うことになります。
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