Case Study

顧問弁護士の活用事例

【建設業】従業員同士で不倫をしていた社員に対する処分
業種 建設業
お困りの問題 人事労務、労働紛争

相談概要

相談企業A社宛に、匿名で「B支店の甲と乙が不倫関係にある」旨の手紙が投函されました。

従業員のプライベートまで踏み込むべきではないとも思いましたが、一方で甲と乙は上司と部下の関係にもあり、B支店の職場の雰囲気にも影響を及ぼしかねないと危惧しました。

A社では、甲に対して乙との関係を確認したところ、甲自身が乙と不倫関係にあることを認めました。

A社としては、甲に対し、何らかの懲戒処分を付すことも考えていますが、どのような処分が妥当でしょうか。

相談事例のポイント

  1. 社内不倫が事実ということであれば、社内秩序を維持するために、懲戒処分や配転命令を検討することになります。
  2. 不倫は私生活上の行為であるため、懲戒処分は慎重に検討する必要があります。

回答概要

従業員は、会社の服務規律には従わなければならないとされています。もっとも、かかる服務規律は社員が職場で服するルールであり、職場外における社員の行為には及ばないのが原則です。

ただし、例外的に、職場外の行為が職場における職務に重大な悪影響を及ぼす場合には、服務規律の効力が及び、会社は当該社員に対して懲戒その他の処分を行うことが可能となります。

本件では、甲(上司)が乙(部下)と不倫関係にあったことを認めたということを踏まえ、甲と乙の不倫関係が職務に影響を及ぼすかどうかを検討することになります。

当事務所では、A社の就業規則や、過去の処分事例に照らして、妥当な懲戒処分を検討するようアドバイスしました。

担当弁護士からのコメント

労務紛争は、日々の業務活動と連続した中で発生するという特徴があります。

相談事例のように、従業員の男女関係も、一面では私生活に関するトラブルといえますが、職場内で行われた場合には、職場秩序への影響も考慮せざるを得ません。

企業としては、職場秩序を維持するために毅然とした対応を取る必要がある一方、どこまでの処分が許されるかは慎重に検討しなければなりません。

企業がどこまで介入することができるかは、過去の裁判例に照らしながら、具体的な事実関係を確認して見極める必要があります。

労務紛争は、対応を誤るとかえって企業秩序に深刻な影響を及ぼすおそれもありますので、法的リスクの判断をよく検討して対応しましょう。

WRITER

弁護士 長瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約160社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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