保証人とは

債権回収の手段には、強制執行など裁判所の判決を得て行う手段のほかに、予め担保を設定しておき債務が弁済されない場合に実行するという手段があります。

担保には、抵当権や質権など物に対して設定する物的担保と、債務者に保証人をたててもらうという人的担保があります。人的担保は、債務者に資産がなく物的担保が設定できないような場合に使用されることが多いです。

人的担保の種類には、債務の弁済がなされない場合に、債務者に代わって保証人が債務を弁済する義務を負う「保証」や、保証人が債務者に連帯して同等の義務を負う「連帯保証」があります。

人的担保のメリットとは

物的担保の場合は契約だけでなく、資産について担保権設定の登記が必要なこともありますが、人的担保の場合は契約のみで成立するため、比較的取得が簡単です。また、登記手続きも不要なことから、余分な費用がかかりません。

人的担保のデメリットとは

人的担保のデメリットは、担保の価値が不安定なことです。人的担保は、人に対する信用という変動しやすいものに頼ることになりますので、担保としては不確実です。担保してくれる人に資力がなければ結局のところ債権は回収できないことになります。

保証人と連帯保証人

人的担保の中には、通常の「保証人」と「連帯保証人」があります。どちらも万が一債務者に代わって弁済の義務を負う可能性があるという点は同じなのですが、通常の「保証人」は、どうしても債務者が債務を弁済できないときにだけ弁済しなければならないのに対し、「連帯保証人」は債務者と同様の義務を負うという違いがあります。

具体的に言うと、通常の「保証人」は債権者に対して、まずは債務者の方に十分な請求をしてほしいと求めることができます(催告の抗弁権)。また、債務者に財産がある場合は、債権者に対して債務者の財産から回収してほしいと求めることもできます(検索の抗弁権)。ところが、「連帯保証人」はいずれの抗弁権も有しないため、債務者に十分な資力があったとしても債務者よりも先に債権者から請求されることもあります。

まとめ

以上より、人的担保は、債務者のみならず保証人の財産からも回収できるという点で、債権回収の方法としては有効です。債権者にとっては、通常の「保証人」よりも「連帯保証人」をたててもらった方が、債権回収のためには有利になります。従って、保証契約を締結する際には、連帯保証にしてもらえるよう提案をしていくことが重要です。また、確実な債権回収のためには、保証人の財産状況の調査や確認も十分に行う必要があります。

人的担保を検討している場合は、顧問弁護士のアドバイスのもと、より良い契約交渉をして債権回収に向けて準備を進めましょう。

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