ポイント

  1. 情報漏洩原因は、①過失型、②不正型、③被害型に大別できる
  2. 情報漏洩時には、講じるべき手順を意識する
  3. 情報漏洩時の各手段について、何をすべきかを理解する

情報漏洩が発生した場合、企業に甚大な影響を及ぼすおそれがあることは、これまでにも述べてきたとおりです。

ここでは、情報漏洩原因を踏まえ、情報漏洩リスクが発生した場合の初動対応と、情報漏洩リスクを未然に防ぐための管理体制の構築方針について説明します。

情報漏洩原因の分類

冒頭でも述べたとおり、情報漏洩事件はいつ、どのような企業であっても起こりうる類型の事件であり、企業側の故意ではなく、過失や不正アクセスの被害によるものであっても、情報管理責任を問われるおそれがあります。

情報漏洩原因を分類すれば、図表のように①過失型、②不正型、③被害型、に整理することができます。

情報管理体制の構築・見直しにあたっては、自社においてどの類型による情報漏洩のリスクが高いのかを見極め、優先順位をつけて着手することが望ましいといえます。

類型 漏えい原因分類 具体例
過失型 設定ミス WEB等の設定ミスにより外部から閲覧できる状態
誤操作 メール・FAX 等の送信・送付ミス
紛失・書き忘れ 外部にPC等の端末の置き忘れ
管理ミス 引継ぎ時の受渡し漏れ等
バグ・セキュリティホール OS等のバグ・セキュリティホールによる外部から閲覧できる状態、漏えい
目的外使用 関係会社など、開示範囲外の組織への公開
不正型 内部犯罪・内部不正行為 社員が機密情報を不正に持ち出し、売却した
不正な情報持ち出し 社員や外部事業者等が機密情報を持ち出して漏えいした
被害型 不正アクセス ハッカー等に外部から不正アクセスされて漏えいした
ワーム・ウィルス ワームの感染による意図しないメール送信
盗難 車上荒らし等

情報漏洩時の対応

仮に情報漏洩が発生してしまった場合、企業は、迅速に事後的被害拡大防止のための措置を講じる必要があります。

もっとも、情報漏洩が発生したことで動転し、誤った事実認識に基づいて情報を公開すれば、企業のレピュテーションリスクをかえって拡大することになるだけでなく、被害拡大の防止も遅れてしまうおそれもあります。

情報漏洩が発生した場合、企業として講じるべき措置については、図表の手順に沿って進めることが考えられます。

(1)事業者内部における報告及び被害の拡大防止(図表①②)

情報漏洩発生時には、まず責任ある立場の者に直ちに報告するとともに、漏えい等事案による被害が発覚時よりも拡大しないよう必要な措置を講じます。

(2)事実関係の調査及び原因の究明(図表③④)

漏えい等事案の事実関係の調査及び原因の究明に必要な措置を講じます。

(3)影響範囲の特定(図表⑤)

上記(2)で把握した事実関係による影響の範囲を特定します。

(4)再発防止策の検討及び実施(図表⑥)

上記(2)の結果を踏まえ、速やかに漏えい等事案の再発防止策の検討及び実施に必要な措置を講じます。

(5)影響を受ける可能性のある本人への連絡等(図表⑦)

漏えい等事案の内容等に応じて、二次被害の防止、類似事案の発生防止等の観点から、事実関係等について速やかに本人へ連絡し、又は本人が容易に知りうる状態に置きます。

(6)事実関係及び再発防止策等の公表(図表⑧)

漏えい等事案の内容等に応じて、二次被害の防止、類似事案の発生防止等の観点から、事実関係及び再発防止策等について、速やかに公表します。

(7)捜査機関への対応(図表⑨)

情報漏洩の原因が不正アクセスや不正持出しによる場合には、加害者に対する刑事責任の追及もありうることになりますので、捜査機関への被害届や告訴手続を検討します。

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