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テレワークの災害時・緊急時の運用

はじめに

自然災害や感染症の蔓延、社会的混乱が発生した場合、企業が業務継続を確保できるかどうかは、従業員の安全と企業存続に大きく関わります。緊急時における出社義務の有無や在宅勤務への切り替え指示、ネットワーク障害への対応などを明確にしておかないと、従業員の混乱や業務停止、さらには安全配慮義務を果たせないリスクが高まります。

本記事では、テレワーク(在宅勤務)とBCP(事業継続計画)を絡めた災害時・緊急時の運用方法について、弁護士法人長瀬総合法律事務所が解説します。企業が従業員の安全を守りつつ、社会的責任を果たすために整備すべき就業規則や実務ポイントを確認していきましょう。

Q&A

Q1. 災害時や緊急時にテレワークへ切り替えるルールは、どのように定めればいいでしょうか?

就業規則やテレワーク規程などで、「震度○以上の地震時」「台風・大雪等により出社が危険な場合」「政府・自治体から外出自粛や避難に関する要請・指示が出た場合」などの具体的条件下で、会社指示により在宅勤務へ切り替えることを定めるのが一般的です。BCP(事業継続計画)にも連動させて、緊急連絡体制や指示手順を明確化すると良いでしょう。

Q2. テレワーク中にネットワーク障害や停電が起きたら、従業員はどう対処すればいいのですか?

規程やマニュアルで、社内連絡方法や業務の代替手段を定めておきましょう。例えば、ネット回線が使えなくなった場合に「モバイルルーターを利用」「直近のサテライトオフィスへ移動」「緊急時連絡ツール(チャット/電話)の活用」など具体的オプションを示す必要があります。

Q3. 大規模災害が起きた時、従業員を出社させるべきか、在宅勤務にさせるべきか企業の判断基準は何でしょう?

従業員の安全を最優先に考え、交通機関の状況や社屋の安全性、被災地域のインフラ状態などを踏まえつつ、企業が業務継続できる範囲で判断します。BCPで決めた段階的対応(一部在宅勤務、全社員在宅勤務など)を整備し、緊急連絡網で周知する仕組みが必要です。

Q4. 災害時に従業員が出社できなかった場合、給与はどうなりますか?

不可抗力で従業員が出社不能となった場合は、企業に賃金支払義務がない(ノーワーク・ノーペイの原則)ことが原則ですが、実務では特別休暇を設ける企業もあります。一方、企業側の判断で休業を命じ、その休業が使用者の責に帰すべき事由によると評価される場合は、休業手当(平均賃金の60%以上)の支払い義務が発生するため注意が必要です。

Q5. 緊急時・災害時でのテレワーク運用を怠り、従業員に被害が出た場合の企業リスクは?

企業が安全配慮義務を果たさず、危険な状況で無理に出社を命じた結果、従業員が被害に遭った場合、損害賠償や社会的非難を受ける可能性があります。また、在宅勤務への切り替えを適切に行わず、業務が停止して取引先に損害が出ると取引先からの賠償請求や信頼失墜に繋がる恐れがあります。

解説

BCP(事業継続計画)とテレワーク

  1. BCP策定の意義
    大地震や台風、感染症拡大などでオフィス使用不可となっても、企業が迅速に事業を継続・復旧するための計画。
  2. テレワーク活用
    オフィスが使えない状況であっても在宅勤務やサテライトオフィス勤務を即座に指示できる体制がBCPには不可欠。
  3. 通信インフラの確保
    VPNやクラウドシステムなどを整備し、自宅や各地から安全に社内データへアクセスできる仕組みを構築。

緊急時運用ルールの整備

  1. 就業規則・テレワーク規程への記載
    「災害、感染症拡大、自治体の避難情報・外出自粛要請等がある場合に、会社指示で在宅勤務に切り替える」などの規定を明示し、全従業員に周知。
  2. 連絡体制
    従業員の安否確認を行う緊急連絡網(メール、チャット、電話)を整備し、定期的に訓練。
  3. 災害時出社の可否基準
    台風や大雪などの場合、公共交通機関の運行状況や自治体の避難指示を加味し、出社義務を免除するか検討。
  4. 出社命令と安全配慮
    企業が出社を命じる場合でも、安全に到達できるかを確認し、危険が大きい場合は業務命令を強制しない配慮が必要。

ネットワーク障害・停電時の対応

  1. 回線障害の際
    モバイルルーターやサテライトオフィス利用など代替手段を案内し、業務中断が生じた場合の連絡フローを確立。
  2. 停電・機器故障
    自宅PCやネット環境が故障したら、直近のオフィスやサテライトオフィスへ移動する指針を用意し、移動困難な場合は特別休暇、自宅待機、業務免除等の取扱いを社内規程に沿って調整。
  3. コミュニケーション手段
    主要チャットやメールが使えない場合の緊急電話連絡先(代表番号、上司携帯など)を周知。

従業員保護と賃金

  1. 不可抗力による欠勤
    災害や交通途絶により就労できず、会社側にも帰責性がない場合は、ノーワーク・ノーペイが原則となり得るが、企業が特別有給休暇を認めることもある。
  2. 企業都合の休業命令
    企業がオフィスを閉鎖し自宅待機を命じた場合でも、休業手当(平均賃金の60%以上)の要否は、使用者の責に帰すべき事由による休業か、不可抗力かにより個別に判断される(労基法26条)。
  3. 在宅勤務手当
    緊急時だけ在宅勤務を行う場合、一時的な在宅勤務手当や光熱費補助を導入する企業もある。
  4. 安全配慮義務との関係
    企業が従業員を危険な場所に出社させたり、在宅勤務が可能なのに認めないなどの対応を行えば、安全配慮義務違反として賠償リスクに発展する恐れがある。

弁護士に相談するメリット

災害時・緊急時の運用に関しては、就業規則やテレワーク規程を含めて、労働基準法や安全配慮義務との整合性を慎重に検討する必要があります。弁護士に相談すれば、以下のサポートが期待できます。

  1. 規程整備と法的リスク対応
    緊急時在宅勤務への切り替え、休業命令時の賃金扱いなどを就業規則やBCPに落とし込むアドバイス。
  2. 出社義務と安全配慮のバランス
    企業が出社を命じる際の法的正当性や、従業員の安全確保に必要な措置を検討。
  3. 公平性・不利益取扱い防止
    災害時対応で一部従業員だけ合理的理由なく優遇・冷遇されると紛争が起きやすい。公平性を確保する規程作成。
  4. 事故発生時の損害賠償対応
    台風などで危険が高い中で出社を命じた結果事故が起きた場合、企業側が損害賠償請求を受けた際の示談・裁判対応。

弁護士法人長瀬総合法律事務所は、企業のBCP策定や緊急時運用ルール整備に関する法的助言や労務トラブル対応で多数の実績があり、安心して災害対策を講じられるようサポートいたします。

まとめ

従業員の安全確保と業務継続を両立するために、災害時・緊急時のテレワーク運用を普段からシミュレーションし、迅速に切り替えできる体制を整えましょう。


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