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アルバイト募集と年少者(未成年)雇用の法的ポイント|労働時間・深夜業・危険業務の制限を解説

はじめに

人手不足が深刻化する中、多くの企業において、学生アルバイトなどの若年層労働力への期待が高まっています。特に繁忙期や土日のシフトを埋めるために、高校生を含む未成年者の採用を検討される経営者様や人事担当者様も多いのではないでしょうか。

しかし、未成年者(特に満18歳未満の「年少者」)の雇用に関しては、労働基準法において成人とは異なる厳格な保護規定が設けられています。これらの規制は、未成熟な若年者の健康と福祉を守るためのものであり、違反した場合には刑事罰を含む厳しい処分が科される可能性があります。また、建設業や製造業においては、危険有害業務への就業制限も厳しく定められており、知らずに業務に従事させた場合、重大な労働災害やコンプライアンス違反につながるリスクがあります。

本稿では、企業がアルバイトとして年少者(未成年)を採用・雇用する際に押さえておくべき法的留意点、特に労働時間の制限、深夜業の禁止、そして契約時の注意点について、実務的な観点から解説します。

Q&A

Q1. 高校生をアルバイトとして採用したいのですが、本人の同意があれば親の同意は不要ですか?

労働契約自体は本人が締結する必要がありますが、未成年者との契約においては、親権者(親など)の同意を得ておくことが重要です。法的には、親権者が未成年者に代わって労働契約を結ぶことは禁止されています(労働基準法第58条1項)。しかし、親権者は未成年者に不利な労働契約を解除する権利を持っています(同条2項)。後のトラブルを防ぐためにも、「親権者同意書」の提出を求めることが実務上の通例となっています。

Q2. 放課後の時間帯にアルバイトをしてもらいたいのですが、残業や深夜の勤務は可能ですか?

原則として、満18歳未満の年少者には、時間外労働(残業)や休日労働をさせることはできません。また、午後10時から午前5時までの深夜時間帯に労働させることも原則として禁止されています(労働基準法第60条、61条)。本人が希望したとしても、これらの規定は強行法規ですので、企業側が遵守しなければなりません。

Q3. 建設現場や工場での補助作業を任せたいのですが、業務内容に制限はありますか?

はい、厳格な制限があります。満18歳未満の年少者を、ボイラー取扱、クレーンの運転、高さ5メートル以上の場所での作業、その他「危険有害業務」に就かせることは労働基準法第62条および年少則で禁止されています。建設業などにおいては、たとえ補助的な業務であっても、危険が及ぶ可能性のある作業には従事させないよう細心の注意が必要です。

解説

1. 年少者(未成年者)雇用の基本原則

労働基準法では、年齢によって保護の内容が異なります。まず、雇用可能な最低年齢についての理解が必要です。

(1)使用できる最低年齢(労働基準法第56条)

原則として、児童(満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの者)を労働者として使用することはできません。つまり、基本的には「中学校を卒業した後の4月1日以降」であれば雇用が可能となります。

※例外として、非工業的業種(販売店や飲食店など)で、かつ軽易な業務については、所轄労働基準監督署長の許可を受けることで、満13歳以上の児童を修学時間外に使用することが可能です(新聞配達や子役などが該当します)。

(2)年齢確認の義務(労働基準法第57条)

満18歳未満の年少者を使用する場合、事業場には「年齢を証明する公的な書面(住民票記載事項証明書など)」を備え付ける義務があります。面接時や採用時には必ず年齢確認を行い、証明書を提出させて保管する必要があります。学生証だけでは公的な証明とならない場合があるため、注意が必要です。

2. 労働契約締結時の注意点

未成年者との契約において、最も注意すべきは「誰と契約するか」という点と「労働条件の明示」です。

(1)労働契約は本人が締結する

前述の通り、親権者や後見人が未成年者に代わって労働契約を締結することは禁止されています(労働基準法第58条1項)。「親が代わりにサインする」ことはできません。必ず本人に署名・押印させる必要があります。

一方で、未成年者が締結した契約が本人にとって不利であると認められる場合、親権者や行政官庁はその契約を将来に向かって解除することができます(同条2項)。このリスクを管理するため、採用時には「親権者同意書」を取得し、親が就労を認めていることを確認する運用が一般的かつ推奨されます。

(2)労働条件通知書の交付

パートタイム・有期雇用労働法および労働基準法により、雇入れの際には「労働条件通知書(または雇用契約書)」の交付が義務付けられています。特に以下の事項は書面での明示が必須です。

アルバイトの場合、「シフト制」や「更新の有無」について曖昧になりがちですが、トラブル防止のため、これらの条件を明確に記載し、本人(および必要に応じて保護者)に説明することが重要です。

3. 労働時間・休日の制限

満18歳未満の年少者に対する労働時間規制は、成人労働者よりもはるかに厳格です。

(1)原則的な労働時間と残業の禁止

年少者の法定労働時間は、原則として「1日8時間、週40時間」までです(労働基準法第60条)。

ここでの重要なポイントは、「36協定(時間外・休日労働に関する協定届)を締結していても、年少者には時間外労働(残業)や休日労働をさせてはならない」という点です。

成人の場合、36協定があれば法定労働時間を超えて働かせることができますが、年少者にはこの例外が適用されません。変形労働時間制についても、一部の例外を除き、原則として適用されません。

(2)複数事業所での通算

アルバイトを掛け持ちしている場合、労働時間は通算されます。自社での労働時間が短くても、他社との合計が1日8時間または週40時間を超えると法違反となるリスクがあるため、採用時に他のアルバイト状況を確認することが望ましいでしょう。

(3)深夜業の禁止

原則として、午後10時から午前5時までの間、年少者を使用することはできません(労働基準法第61条)。

これには例外があり、交替制を使用する特定の事業や、農林水産業、保健衛生業(病院など)、電話交換業務などでは認められる場合がありますが、一般的な飲食店や小売店、建設現場などのアルバイトにおいては、深夜業は禁止と考えておくべきです。

「時給が高くなるから深夜に働きたい」と本人が希望しても、認めることはできません。

4. 危険有害業務の就業制限(安全配慮義務の観点)

労働基準法第62条および年少者労働基準規則では、年少者の安全と健康を守るため、危険有害業務への就業を禁止しています。建設業や製造業の現場においては特に注意が必要です。

主な禁止業務の例

建設現場で高校生アルバイトを採用する場合、資材運びや清掃などの軽作業であっても、現場の状況によっては「危険区域」に立ち入る可能性があります。企業には安全配慮義務があり、万が一、禁止されている危険業務に従事させて事故が起きた場合、多額の損害賠償請求だけでなく、労働基準法違反としての送検や、企業名の公表などの社会的制裁を受けることになります。

5. 最低賃金と社会保険

(1)最低賃金の適用

最低賃金法は、年齢に関係なく適用されます。高校生であっても、都道府県ごとの地域別最低賃金以上の金額を支払う必要があります。「研修期間だから」「高校生だから」という理由で最低賃金を下回ることは違法です。

(2)社会保険・雇用保険の加入

要件を満たせば、未成年や学生であっても保険への加入義務が生じます。

6. 学校の許可と学業への配慮

法律上の義務ではありませんが、高校生を採用する場合、通っている学校がアルバイトを許可しているかを確認することも重要です。「学校の許可証」の提出を求める企業も多くあります。

無断アルバイトが学校に発覚して停学等の処分を受けた場合、突然退職せざるを得なくなるなど、企業側にとってもシフト管理上のリスクとなります。また、テスト期間中のシフト調整など、学業と両立できるよう配慮することは、長く働いてもらうための定着対策としても有効です。

弁護士に相談するメリット

アルバイトや未成年者の雇用は、手軽に考えられがちですが、実際には労働基準法の厳しい規制が及ぶ領域です。弁護士に相談することで、以下のようなメリットが得られます。

  1. 適切な雇用契約書・同意書の作成
    未成年者特有の法的リスク(親権者の同意、契約解除権など)をカバーした雇用契約書や、親権者同意書のひな形を作成・レビューします。これにより、採用後のトラブルを未然に防ぐことができます。
  2. 労働時間管理と業務範囲の適法性チェック
    特に建設業や製造業において、予定している業務が「年少者の危険有害業務」に該当しないか、シフト等の労働時間管理が法規制を遵守しているかについて、専門的なアドバイスを提供します。違法状態を放置することによる労働災害リスクや法的制裁リスクを回避できます。
  3. トラブル発生時の迅速な対応
    万が一、未成年者のアルバイト従業員とトラブルになった場合や、労働災害が発生した場合、保護者や学校、労働基準監督署への対応が必要となります。弁護士が代理人として介入することで、法的に適切な解決を図り、企業の社会的信用を守ることができます。

まとめ

人手不足の解消において、高校生などの年少者(未成年)の力は大きな助けとなります。しかし、彼らを雇用する企業には、成人を雇用する場合以上に重い法的責任と安全配慮義務が課されています。

「知らなかった」では済まされないのが労働法規です。特に、時間外労働の禁止、深夜業の禁止、危険有害業務の禁止は、物理的な安全性と青少年の育成に関わる重要なルールです。

これらの法的ポイントを正しく理解し、適切な労務管理体制を整えることは、単なる法令順守にとどまらず、若年労働者が安心して働ける職場環境を作り、結果として企業の採用力強化やイメージ向上につながります。

アルバイトの雇用管理や就業規則の整備に不安がある場合は、ぜひ一度、弁護士法人長瀬総合法律事務所にご相談ください。


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