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示談交渉を弁護士に依頼するメリットとタイミング|保険会社任せのリスクとは

はじめに:保険会社は「会社の味方」ではない

交通事故の初動対応と警察への届出が終わると、次に始まるのが、被害者との「示談交渉」です。多くの運送事業者様は、「任意保険に入っているから、後のことはすべて保険会社がやってくれる」と考えていらっしゃるのではないでしょうか。

確かに、物損事故や比較的軽微な人身事故であれば、保険会社の担当者に示談交渉を任せることで円満に解決するケースも多くあります。しかし、保険会社は、あくまで保険契約の範囲内で、自社の基準に基づいて効率的に保険金支払事務を処理する組織です。会社の評判、ドライバーの将来、荷主との関係といった、保険金支払い以外の経営上の重要課題まで配慮してくれるわけではありません。特に、死亡事故や会社の使用者責任が厳しく問われるような事案において、示談交渉を保険会社にすべてを一任することには、実は大きなリスクが潜んでいます。

本稿では、保険会社任せの示談交渉に潜む構造的なリスクと、弁護士に依頼する具体的なメリット、そしてどのタイミングで弁護士に相談すべきかについて、解説します。

保険会社による示談代行の構造的な限界

任意保険の「示談代行サービス」は非常に便利ですが、その限界を正しく理解しておく必要があります。

なぜ弁護士なのか?示談交渉における弁護士の独自の強み

弁護士は、法律と交渉の専門家として、保険会社とは異なる次元で、貴社をサポートします。

弁護士費用特約の活用

多くの運送事業者が加入している自動車保険には、「弁護士費用特約」が付帯しています。これは、コストではなく、有事に備えた戦略的な資産として捉えるべきです。

弁護士に相談・依頼する最適なタイミング

結論から言えば、「できるだけ早い段階」、理想は「事故発生直後」です。遅くとも、被害者との間で損害額や過失割合について具体的な交渉が始まる前には、一度ご相談いただくことをお勧めします。特に、以下のケースでは、直ちに弁護士に相談すべきです。

  1. 死亡・重傷事故
  2. 会社の過失が大きいと見込まれる事故
  3. 被害者が弁護士を立ててきた場合
  4. ドライバーが逮捕される可能性がある場合

交渉がこじれ、被害者感情が悪化しきってからでは、弁護士が介入しても解決が困難になる場合があります。

まとめ

任意保険は不可欠なセーフティネットですが、万能ではありません。保険会社任せの示談交渉は、時に会社の利益と相反する結果を招くリスクをはらんでいます。特に、会社の将来に大きな影響を与えかねない事案では、初期段階から「会社の代理人」である弁護士を関与させることが有益です。弁護士は、保険会社と連携しながら、法律の専門家という独自の立場で、貴社にとってのベストな解決を目指します。自社の保険に弁護士費用特約が付いているか今一度ご確認いただき、万が一の際には、「弁護士に相談する」という選択肢をご検討ください。


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