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破産しても再挑戦はできる!新規起業とセカンドチャンスの現実を徹底解説

はじめに

会社が破産に至った場合、「もう二度と起業なんてできないのではないか」という不安を抱える経営者は多いでしょう。特に中小企業では、代表者が銀行融資に対して個人保証をしているケースが大半であり、会社破産後に代表者個人も多額の債務を背負い、個人破産を検討する場面が少なくありません。もっとも、破産を経たからといって、必ずしも人生を諦める必要はありません。

実際には、破産手続が完了した後、再チャレンジとして新規起業に乗り出し、成功をつかむ事例も存在します。もちろん、信用情報への影響や資金調達の難しさなどのハードルはありますが、適切な支援や戦略をもってすれば、セカンドチャンスを得ることは可能です。本稿では、破産後に起業を考える経営者向けに、法的な視点や実務的な注意点を踏まえながら解説を行います。

Q&A

Q1. 破産したら一切起業できないのではありませんか?

法律上、破産者が復権(免責確定など)を得れば、新たに会社を設立したり代表取締役に就任することは問題ありません。会社法では復権後の就任に制限がなく、起業も可能となっています。ただし、金融機関融資などでは信用面のハードルが高くなるのは事実です。

Q2. 破産後すぐに起業できるのでしょうか?

法的には可能ですが、破産手続中(免責前)であれば、取締役や監査役等に就任できない場合や、士業資格の制限があるケースがあります。免責確定後であれば、多くの職業制限は解除されるため、起業自体に法的障害はほぼありません。ただし、資金調達や信用の問題が大きなネックになることが一般的です。

Q3. 信用情報に破産歴が残ると、融資は受けられなくなりますか?

一般に、信用情報機関には数年程度破産歴が登録されるとされます。その間、銀行や消費者金融からのローンやクレジットカードの新規発行は厳しいのが実情です。ただし、出資者を募るエクイティファイナンスや、クラウドファンディングなど別の資金調達手段を活用することも考えられます。

Q4. 破産後の事業アイデアがある場合、最初に何をすればいいでしょうか?

まずはビジネスプランをしっかり固め、資金調達の方法(自己資金、出資、融資以外の手段など)を検討しましょう。公式の補助金制度や助成金を活用できる場合もあるため、情報収集が重要です。

解説

破産者が新規起業する際の法的ポイント

  1. 復権と職業制限
    破産者は、免責確定後に復権を得れば、資格制限が解除されて多くの職業に就けるようになります。また、取締役や監査役への就任制限がなくなるため、新しく法人を設立して自ら代表を務めることが可能となります。
  2. 設立時の印鑑証明・本人確認
    新規法人を登記する際には、印鑑証明書や本人確認が必要です。破産によって印鑑証明が取得できないわけではありません。
  3. 旧債権者との関係
    倒産前の取引先が、新規事業に対して不信感を抱く場合があります。過去の破産手続において不正やトラブルがなければ、大きな問題はないケースもありますが、契約書の条項や保証の扱いなどは慎重にチェックし、トラブル再燃を防ぎましょう。

資金調達と信用回復

  1. 銀行融資の難しさ
    信用情報に破産歴が残っている間は、金融機関からの融資を受けるハードルが高いのが実情です。自己資金を用意できない場合は、エンジェル投資家ベンチャーキャピタル、クラウドファンディングなど、別のルートで資金調達を図る必要があります。
  2. 出資や連携
    代表者が破産歴を有していても、事業アイデア技術が魅力的であれば出資者が現れることは十分あり得ます。過去の倒産経験を開示しつつ、リスク管理や再発防止策を明示できれば、投資家の理解を得られる可能性が高まります。
  3. 社会的信用の再構築
    新規起業後、実績を積み重ねることで徐々に信用が回復し、数年後には金融機関の取引も緩和されるケースがあります。特に、黒字経営や堅実な事業運営を続ければ、破産歴があっても融資や取引拡大が見込める可能性が高まります。

倒産を糧とする実務ポイント

  1. 破産原因の分析と改善策
    過去の倒産原因(資金繰りの甘さ、過剰投資、不正行為等)を冷静に分析し、同じミスを繰り返さない経営方針を立てることが不可欠です。破産体験を活かし、リスク管理を徹底する姿勢が再起の要となります。
  2. 専門家やメンターの活用
    倒産を機に、弁護士や税理士、会計士、コンサルタントなど多方面の専門家との繋がりができた場合は、そのネットワークを活用するのも一案です。ビジネスプランの検証や資金調達のアドバイスを得ることで、次の事業を成功へ導く確率が高まります。
  3. 取引先との誠実なコミュニケーション
    破産歴を理由に取引を断られることもありますが、それを受けて説明責任を果たし、過去の失敗をどう克服しようとしているか誠実に語ることで、理解を得られる場合もあります。ビジネスは最終的に人間関係で成り立つ側面が強いため、誠実な姿勢は大切です。

弁護士に相談するメリット

  1. 起業手続き・契約書の作成サポート
    破産後、改めて会社を設立する際、定款作成登記手続、各種契約書のチェックを弁護士が一括で行い、リスクを最小化できます。
  2. 資金調達や出資契約
    エクイティファイナンスや投資家との交渉で、出資契約書の条項をどう設定するかは将来の利益配分や経営権に直結します。弁護士のアドバイスを受けることで、不利な条件を回避できます。
  3. 旧債権者とのトラブル対応
    過去の倒産と絡み、旧債権者が新事業に対して差押えを図ろうとするケースや、新会社に旧負債を引き継がせる圧力をかけるケースもあるかもしれません。弁護士が介入し、合法的に防御できる可能性があります。
  4. 事業再生コンサルとの連携
    弁護士が経営コンサルタントや税理士と連携している事務所も多く、資金繰り計画経営計画を一貫してサポートしてもらえます。倒産後に強みを活かしたビジネスモデルを再構築する際に心強いパートナーとなるでしょう。

まとめ

破産しても新規起業や再チャレンジは十分可能です。倒産を経験したからこそ得られる経験値を活かし、以下のポイントを押さえながら再出発を目指しましょう。

  1. 法律上の制限は“免責・復権”後は大幅に解除され、取締役就任や起業は理論的にOK
  2. 信用情報への登録などにより、銀行融資は厳しくなるが、他の資金調達手段を活用できる
  3. 再起業の際は過去の失敗原因を徹底分析し、リスク管理と誠実な対外コミュニケーションを行う
  4. 弁護士や専門家のネットワークを活かして書類作成や出資交渉、旧債権者対応を手厚くサポートしてもらう
  5. 倒産はあくまで人生の一局面であり、正しい知識と行動でセカンドチャンスをつかめる可能性はある

「破産すると全てが終わり」と悲観するのではなく、専門家のアドバイスを受けながら、法的に適切な倒産手続を進め、破産後に再起計画を立てることが、セカンドチャンスを成功に導くカギとなります。


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