はじめに
法人経営を取り巻く環境は、時に経営の継続を断念せざるを得ない状況を招くことがあります。債務超過や資金繰りの悪化が解消できない場合、法人破産手続を検討することが必要です。本記事では、法人破産手続の基本概要や流れ、留意点について解説します。
Q&A
Q: 法人破産を検討していますが、具体的にどのような手続きが必要ですか?
A: 法人破産手続きでは、裁判所を通じて会社の資産を清算し、債務を整理します。本記事では、法人破産の全体像や具体的な手続きの流れ、弁護士に依頼するメリットを解説しています。手続きのポイントを理解し、専門家と相談しながら進めることをお勧めします。
法人破産とは
法人破産とは、会社が債務超過に陥り、事業の継続が困難になった際に取られる法的手続きの一つです。裁判所を介して会社の資産を清算し、債権者へ公平に配当を行うことを目的としています。この手続きにより、会社は事業活動を終了し、法人格が消滅します。
法人破産の意義
- 債権者の公平性確保: 法律に基づき、債権者間の公平性を重視した清算を実施します。
- 経営者の再出発支援: 破産後に残る債務は法人に限定されるため、経営者個人の再出発が可能です(ただし保証人の債務は除きます)。
法人破産の全体像
法人破産手続きは、以下の三つのステップで構成されます。
- 資産と負債の調査
裁判所により選任された破産管財人が会社の資産・負債を調査します。 - 資産の換価
換価可能な資産を現金化し、配当原資を増加させます。 - 債権者への配当
債権者に対して、財団債権や破産債権の種類ごとに配当を行います。
これらの手続きはすべて裁判所の管理下で行われ、公正さが担保されます。
法人破産手続の流れ
法人破産手続は、以下の手順で進行します。
破産手続の申立て
会社または債権者が裁判所に対して破産手続開始の申立てを行います。申立書には、債務超過の状態や資金繰りの悪化など、破産原因が存在することを示す資料を添付します。
破産手続開始決定
裁判所が破産原因を認めると、「破産手続開始決定」を下します。この時点で、会社の財産管理処分権は破産管財人に移り、会社は財産の処分ができなくなります。
資産と負債の調査
破産管財人は、会社の資産を調査し、売掛金の回収や不動産の売却、保険の解約返戻金の取得などを通じて現金化を図ります。同時に、債権者からの債権届出を受け付け、負債内容を確認します。
資産の換価
換価可能な資産をすべて現金化します。特に、抵当権の付いた不動産などについては、担保権者との協議を経て適切な方法で処分します。
配当手続
債権者に対して配当を行います。財団債権、優先的破産債権、一般破産債権の順に支払いが進みます。
手続終了
配当が完了すると、法人格は消滅し、破産手続が終了します。
法人破産を弁護士に相談するメリット
法人破産手続きは複雑な法的要件を伴うため、専門家である弁護士に相談することが望ましいといえます。以下にその主なメリットを挙げます。
- 手続きの迅速化
弁護士は破産手続の経験を活かし、申立書類の作成や裁判所とのやり取りを効率的に進めます。 - 債権者対応の負担軽減
債権者との交渉や調整を弁護士が代行することで、経営者の精神的負担を軽減します。 - 否認権リスクへの対策
特定の債権者への偏った支払いが否認権行使の対象となるリスクを回避するための助言が受けられます。 - 保証人手続きのサポート
法人破産と同時に、代表者や役員が保証人として負う債務の整理も必要となります。弁護士は並行してサポートを提供します。
まとめ
法人破産手続は、経営破綻した企業が債務整理を適切に行い、新たなスタートを切るための重要な法的手続です。本記事で解説した流れや留意点を参考に、専門家の助言を得ながら進めることで、円滑かつ公正な手続きが実現します。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、豊富な経験に基づく適切なアドバイスを提供し、経営者の再出発をサポートいたします。
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