法人破産の際に避けるべき3つのポイント
Q&A
Q: 会社が破産しそうな時に、経営者として絶対にしてはいけないことは何ですか?
A: 会社が破産に直面する際、経営者が絶対に避けるべき行為がいくつかあります。これらは法律違反に繋がるだけでなく、会社の再建や個人的なリスクを高めることになります。具体的には、以下の3つの行為が絶対にしてはいけないことです。
- 特定の債権者だけに返済を行うこと
- 資産を隠したり、虚偽の申告をすること
- 新たな債務を増やすこと
これらの行為はいずれも法律で厳しく規制されており、刑事罰に問われる可能性もあるため、注意が必要です。
法人破産の際に避けるべき3つのポイント
1. 特定の債権者だけに返済を行うこと
「債権者平等の原則」とは?
破産手続には「債権者平等の原則」があります。これは、すべての債権者に対して公平な取り扱いが求められるというルールです。会社が破産を申し立てると、裁判所が選任した破産管財人が会社の資産を管理し、これを換価して債権者に分配します。すべての債権者はその債権額に基づいて公平に配当を受ける権利を持っています。
このルールは、破産申立の前にも適用されます。破産を申請する前に、一部の債権者だけに返済を行うことは禁じられており、このような行為は「否認権」に基づき、破産後に返済した分を取り戻される可能性があります。
2. 資産を隠したり、虚偽の申告をすること
破産法第265条に基づき、債務者が破産手続中に資産を隠したり、資産の移動を仮装することは「詐欺破産罪」として罰せられる可能性があります。具体的には、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金という重い刑罰が科されることがあります。特に、預金通帳や郵便物から資産の隠蔽が発覚するケースが多く、経営者が資産を隠そうとする行為は厳しく追及されます。
資産隠しを行うと、結果的に刑事罰を受ける可能性があるだけでなく、個人破産の免責の可否の判断にも影響を受けることがあります。事実をありのままに伝えることが重要です。
3. 新たな債務を増やすこと
破産申立前に新たに借金をしたり、クレジットカードを利用して資金を調達する行為は、刑法の詐欺罪に該当する可能性があります。これは「どうせ返済しなくて済むから」と考えて行う行為が、意図的に債権者を欺く行為と見なされるためです。こうした行為は絶対に避けるべきです。
否認権とは何か?
否認権とは、破産申立前に債権者に対して有利な取り扱いをした場合、破産管財人がその取引を無効化し、財産の取り戻しを図る権利です。例えば、破産前に特定の債権者にだけ返済を行った場合、破産管財人はその返済を取り戻すために訴訟を提起することもあります。
会社の資産を処分する場合の注意点
破産申立前に会社の資産を売却することは可能ですが、これはあくまで適正価格で行われなければなりません。不当に安く売却した場合、その差額を破産管財人が取り戻すことができるため、家族や友人に資産を安く譲ることは絶対に避けてください。
弁護士に相談するメリット
- 法的リスクの回避
弁護士に相談することで、破産手続における法的リスクを最小限に抑えることができます。特に、債権者との交渉や資産処分に関して、弁護士が適切なアドバイスを提供します。 - 精神的な負担の軽減
破産手続は非常にストレスの多いプロセスです。弁護士が手続きを代理することで、経営者は精神的な負担を軽減し、今後の生活再建に集中することができます。 - 適切な資産管理と処分
破産管財人との協力が必要な場面でも、弁護士が適切な資産管理や処分方法を指導し、違法な行為を防ぐことができます。
まとめ
法人破産の際には、特定の債権者への返済や資産隠し、新たな借金を行うことは絶対に避けるべき行為です。こうした行為は、刑事罰に繋がる可能性があり、結果的に経営者や周囲に迷惑をかけることになります。弁護士に早めに相談し、法的に適切な対応を取ることが最善策です。破産に関する悩みがある方は、弁護士法人長瀬総合法律事務所の無料相談をご利用ください。
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