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企業犯罪の典型例と法的対処法

企業犯罪の典型例と法的対処法

はじめに

企業が直面する法的リスクの中でも「企業犯罪」は、その影響が甚大で、企業の信用や経営基盤に深刻な打撃を与えることがあります。特に、従業員の不正行為や役員の法令違反は、組織全体のコンプライアンス体制や内部統制の弱点を露呈することとなり、再発防止策を講じる必要があります。本稿では、企業犯罪の典型例とその法的対処法について、弁護士法人長瀬総合法律事務所が詳しく解説いたします。

Q&A形式で学ぶ企業犯罪

Q: 従業員や役員が会社の資金を横領した場合、企業としてどのように対応すべきでしょうか?

A: 業務上横領は、従業員や役員が業務の一環として管理・保管している会社の資金や財産を不正に持ち出す行為です。企業としては、まず不正行為の事実確認を行い、必要に応じて警察への通報や法的手続きを行います。また、内部統制の強化や再発防止策の検討が重要です。なお、刑法第253条により、業務上横領は重罪に当たり、法定刑は10年以下の懲役となるため、被害回復も含めた慎重な対応が求められます。

Q: 会社内で暴行や喧嘩が発生した場合、企業としての法的責任はどのようになるのでしょうか?

A: 会社内での暴行や喧嘩は、労働環境の不備やハラスメント防止体制の欠如を疑われる原因となり、企業の管理責任が問われることがあります。労働契約法第5条では、使用者の安全配慮義務が定められており、従業員同士のトラブルを未然に防ぐ体制の整備が求められます。また、刑事事件としての処理が必要な場合は、企業としても積極的な協力が求められます。

企業犯罪の代表的なケース

1. 業務上横領

業務上横領は、従業員が会社の資産を管理・保管している立場を悪用し、不正に持ち出す行為を指します。具体例としては、会計担当者が経費を水増しして私的に流用したり、営業担当者が売上金を着服するなどが挙げられます。業務上横領は刑法第253条に定められており、その罰則は10年以下の懲役とされています。

2. 傷害・暴行事件

会社内で発生する傷害・暴行事件は、従業員間のトラブルや職場環境の問題が原因で起こることがあります。これらの事件は刑法第204条(傷害罪)および第208条(暴行罪)に該当し、傷害罪は15年以下の懲役または50万円以下の罰金、暴行罪は2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

3. 司法取引のリスク

司法取引は、企業犯罪の解決手段として用いられることがありますが、そのリスクも認識しておく必要があります。司法取引を行うことで、企業は自社の責任を軽減できる場合がありますが、一方で取引内容が外部に漏れることで企業の信用を失う恐れもあります。また、司法取引の結果、取引相手の不正行為を証明する証拠が不足する場合もあり、慎重な判断が求められます。

企業犯罪に対する法的対策

内部統制の強化

内部統制の整備は、企業犯罪の予防および早期発見に大きく貢献します。具体的には、資金管理の厳格化や定期的な内部監査、職務分掌の見直しなどが挙げられます。また、従業員教育を通じて、法令遵守意識を高めることも重要です。

ホットラインの設置

不正行為を早期に発見するためには、内部通報制度の整備が効果的です。ホットラインを設置することで、従業員が不正行為を匿名で報告できる体制を整えましょう。これにより、従業員が不正を訴えやすくなり、事前にリスクを軽減できます。

再発防止策の実施

企業犯罪が発生した場合には、原因究明と再発防止策の実施が求められます。具体的には、関係者の処分、業務プロセスの見直し、内部統制の再構築などを行い、同様の事案が発生しないようにすることが重要です。

弁護士に相談するメリット

企業犯罪に関して、弁護士に相談することで以下のメリットがあります。

まとめ

企業犯罪は、企業の信用や経営基盤に大きなダメージを与える可能性があるため、予防と早期対応が非常に重要です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、企業犯罪に関する法的アドバイスや内部統制の見直しなど、企業のコンプライアンス体制強化をサポートしております。

企業犯罪でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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