建設業の倒産に関するQ&A
Q. 最近、建設業の倒産が増えているようですが、その原因は何ですか?
近時、建設業では倒産が急増しています。木材や鉄骨などの建築資材の価格が高騰し、さらに人材不足も重なり、建築工事の受注や施工が難しくなっています。コロナ初期には、ゼロゼロ融資(利子・保証料がゼロの融資)が活用できましたが、現在は元本返済が始まり、新たな融資も厳しい状況です。そのため、資金繰りに苦しむ企業が増えているのです。
加えて、2024年問題と言われるように、建設業における残業時間の上限規制が開始されたために、長時間労働が困難となり、人手不足が加速している点も挙げられます。
建設業の倒産について
建設業の倒産が増加している背景
近年、建設業の倒産件数が増加しています。その主な要因は、以下の通りです。
- 資材の高騰:木材や鉄骨などの建築資材の価格が大幅に上昇し、工事の採算が取りづらくなっています。
- 人材不足:建築士や施工管理者などの専門職が不足し、工事の受注や施工が滞っています。
- 資金繰りの悪化:新型コロナウイルス感染症の流行初期に多くの企業が受けた「ゼロゼロ融資」の返済が始まり、同時に新規融資を受けることも難しくなっています。
これらの要因が重なり、多くの建設業者が倒産の危機に直面しているのが現状です。
倒産の種類とその対応策
建設業の倒産にはいくつかの形態があります。代表的なものとしては以下の通りです。
- 法的整理:破産や民事再生といった法的手続きを通じた整理。
- 事実上の倒産:手形の不渡りや夜逃げなど、実質的に事業が終了している場合。
法的整理を検討する際には、次のような選択肢があります。
- 自己破産:借金が払いきれない場合に、事業を停止し、債務の整理を行います。
- 民事再生:借金を大幅に減額し、事業を継続するための手続き。利益を確保できる見込みがあれば、この方法を選択することがあります。
建設業特有の問題:仕掛工事
建設業の倒産の大きな特徴は、仕掛工事が多く残っている点です。倒産する場合、未完成の工事が複数あることが一般的です。以下のような対策が考えられます。
- 工事の引き継ぎ:同業他社に工事を引き継ぐ、または元請業者に引き受け先を見つけてもらう。
- 工事の完了:倒産前に、可能であれば工事を完了させ、関係者に迷惑をかけないようにスケジュールや資金繰りを調整することが重要です。
資材の処分方法の検討
建設業者が倒産する際には、使用されなかった資材の処分も大きな課題です。倒産後に賃借している倉庫や土場を明け渡す際、次のような選択肢があります。
- 同業者に販売:未使用の資材を他の建設業者に販売できるかを検討する。
- 産業廃棄物として処分:売却できない場合、産業廃棄物として処分する際の費用と手続きについても考える必要があります。
早期相談の重要性
建設業の倒産を回避するためには、早めの弁護士への相談が鍵となります。資金繰りが厳しいと感じた段階で弁護士に相談することで、事業を継続できる可能性が高まります。また、倒産を決断したとしても、事前に対策を立てることで、仕掛工事や関係者への影響を最小限に抑えることができます。遅れてしまうと、選択肢が限られ、多くの取引先や従業員に迷惑をかける結果となってしまうこともあります。
さらに、倒産後でも外注を受けずに一人親方として建設業に携わることが可能な場合もあります。将来的な選択肢を広げるためにも、早めの相談が推奨されます。
弁護士に相談するメリット
倒産に関する問題を弁護士に相談することには、多くのメリットがあります。
- 法的手続きの専門知識:弁護士は破産や民事再生といった法的手続きを熟知しており、最適な解決策を提案してくれます。
- 適切な資産管理:倒産時に必要となる資材の処分や工事の引き継ぎなど、複雑な問題も専門家のアドバイスにより円滑に進めることができます。
- 倒産回避の支援:早めに相談することで、倒産を回避するための資金繰りや経営改善策のアドバイスも得られます。
まとめ
建設業における倒産は、資材の高騰や人材不足、資金繰りの悪化といった複数の要因が重なり、増加の一途をたどっています。仕掛工事や資材の処分など、建設業特有の問題も多く、早期に対策を講じることが重要です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、倒産に関するご相談をお受けしており、事業継続や倒産手続きの円滑な進行をサポートいたします。お困りの際は、お早めにご相談ください。
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