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経営権獲得戦としての株式取得対策の留意点

経営権獲得戦としての株式取得対策の留意点

Q&A

Q: 後継者がいない場合の事業承継にはどのような手段がありますか?

A: 事業承継の際に重要なポイントの一つは、経営権を誰がどのように引き継ぐかです。特に、株式の承継は経営権の安定を図るために重要な手段の一つです。本記事では、中小企業の事業承継における株式取得策について、具体的な方法を解説します。併せて、株式取得に関する法律的な手続きや注意点についても触れていきます。

株式取得を通じた経営権の確保

事業承継における株式取得策は、中小企業における経営権の安定に重要な役割を果たします。後継者がいない場合や、複数の株主が存在するケースでは、株式の分散によって経営の意思決定が困難になることもあります。ここでは、株式取得によって経営権を確保し、事業をスムーズに引き継ぐための具体的な方法について解説します。

株式会社における経営権の重要性

日本にはおよそ数百万社以上の企業が存在しており、その中でも株式会社の形態をとる企業は約半数にのぼります。株式会社の経営権は「株式」の保有割合によって左右されるため、株式の承継は経営権の確保に直結します。特に、株主総会での議決権をどの程度保有しているかが、経営権を確実にするための鍵となります。

株主総会の決議には、普通決議、特別決議、および特殊決議の3つがあり、それぞれの決議に必要な要件が異なります。

経営権の安定を図るためには、最低限特別決議が可能な状態、すなわち議決権の3分の2以上を保有することが望ましいです。

経営権の安定を図る株式取得方法

経営権を安定させるためには、以下の株式取得方法があります。

合意による株式取得

会社による相続時の売渡請求権の行使

議決権制限株式の発行

特別支配株主の株式等売渡請求権の行使

全部取得条項付種類株式の発行

株式取得における税務面の注意点

株式を取得する際には、適正な株式評価を行うことが重要です。適正な評価を行わない場合、税務面で不測の課税を受けることがあります。

特例制度として、非上場株式の相続税や贈与税の納税猶予・免除の特例、相続時精算課税制度の利用を検討することも重要です。

弁護士に相談するメリット

株式取得に伴う経営権確保には、法律・税務・財務の観点からの総合的な判断が求められます。弁護士に相談することで、以下のメリットを得られます。

まとめ

株式取得を通じた経営権の確保は、中小企業の事業承継において最も重要なポイントの一つです。株式の保有割合や株主総会での議決権を考慮し、適切な株式取得方法を選定することで、後継者への円滑な事業承継を実現しましょう。


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