はじめに

不動産の管理・仲介・開発などを手掛ける不動産会社様や、複数の賃貸物件を所有する不動産オーナー様にとって、日々の業務と法務トラブルは切っても切れない関係にあります。家賃滞納、入居者とのトラブル、契約書のリーガルチェック、近隣からのクレーム対応など、法的な判断が求められる場面は後を絶ちません。

こうした問題が発生するたびに、その都度弁護士を探して相談する「スポット依頼」も一つの方法です。しかし、日常的に発生する法務課題に迅速かつ的確に対応し、紛争を未然に防ぐ「予防法務」の観点からは、いつでも気軽に相談できる顧問弁護士の存在が力となります。

この記事では、不動産業に携わる皆様に向けて、顧問弁護士と契約するメリット、具体的なサービス内容、そして費用の相場について解説します。

Q&A

Q1. 顧問弁護士とは、具体的に何をしてくれるのですか?

顧問弁護士は、月々の顧問料の範囲内で、日常的に発生する法律問題に関する相談や、契約書のチェック、簡単な文書の作成・監修などを継続的に行います。会社の事業内容や内情を深く理解した「かかりつけ医」のような存在として、トラブルの初期対応から紛争予防まで、法務面で事業を幅広くサポートします。

Q2. 顧問弁護士の費用は、月々いくらくらいかかりますか?

顧問料は、企業の規模や、想定される相談頻度・業務量によって異なりますが、一般的には月額3万円~10万円程度が相場です。当事務所でも、お客様のニーズに合わせて複数のプランをご用意しておりますので、事業規模に合ったプランをお選びいただけます。

Q3. 顧問契約の費用対効果(ROI)はどのように考えればよいですか?

顧問契約の価値は、単に弁護士費用を比較するだけでは測れません。「総リスクコスト」という観点から考える必要があります。総リスクコストとは、弁護士費用だけでなく、トラブル対応に費やす経営者や従業員の時間、対応の遅れによる機会損失、企業の評判低下による損害などを全て含めたものです。顧問契約は、この目に見えないコストを削減することで、スポット依頼を上回る費用対効果を生み出すことがあります。

1.不動産ビジネスのためのサービス

顧問弁護士が提供するサービスは多岐にわたりますが、不動産会社様・オーナー様向けには、以下の3つの戦略的カテゴリーに分類できます。

予防法務

これが顧問契約の大きな価値の一つです。問題が起きてから対処するのではなく、問題が起きない体制を構築します。

  • 契約書の作成・レビュー:賃貸借契約書、売買契約書、管理委託契約書などを、宅地建物取引業法やマンション管理適正化法などの最新法令に準拠させ、貴社に有利かつリスクの少ない内容に最適化します。
  • コンプライアンス体制の構築支援:個人情報保護規程や就業規則など、法令遵守のために必要な社内規程の整備をサポートします。

迅速な紛争対応

日常業務で発生するトラブルに、即座に対応します。

  • 法律相談:電話、メール、Web会議などで、回数や時間を気にせず気軽に相談できます。「この入居者への対応は法的に問題ないか?」といった些細な疑問に即座に回答を得ることで、迅速な意思決定が可能になります。
  • 初期対応:家賃滞納者への督促、クレーマーへの初期対応など、問題が大きくなる前に法的観点から適切な初動を取ります。
  • 文書作成・監修:顧客への通知書、督促状、クレームへの回答書など、法的な正確性が求められる文書を迅速に作成・チェックします。

企業法務

事業運営の基盤を法的に支えます。

  • 交渉・訴訟代理:実際に紛争が発生した場合、通常の弁護士費用から10%~30%程度の割引料金で対応します。日頃から事業内容を把握しているため、ゼロから説明する必要がなく、スムーズに事件対応に着手できます。
  • 債権回収:弁護士名での内容証明郵便の送付により、滞納家賃などの支払いを促します。

2.財務的分析:顧問契約 vs スポット依頼モデル

顧問契約とスポット依頼のどちらが経済的に有利か、年間の法務コストをシミュレーションしてみましょう。

法務イベント スポット依頼のコスト(概算) 顧問契約プラン(例:月額5.5万円)
契約書レビュー(4件/年) 10万円 × 4 = 40万円 顧問料に含む
内容証明郵便(2通/年) 5万円 × 2 = 10万円 顧問料に含む
緊急法律相談(6時間/年) 3万円/時 × 6 = 18万円 顧問料に含む
小規模な紛争交渉(1件) 着手金:30万円 顧問割引(10%)適用:27万円
隠れたコスト(経営者の時間、対応の遅れ) (弁護士探し、事業説明に時間を浪費) (既知の弁護士に即アクセス可能)
予防効果(回避できた紛争の価値) ゼロ (問題が深刻化する前に解決)

この表では、直接コストだけ見ると顧問契約の方が高く見えるかもしれません。しかし、経営者や従業員が費やす「時間」というコストと、紛争を未然に防ぐ「予防効果」を考慮すれば、顧問契約の価値は計り知れないことがわかります。

3.コストを超えた戦略的価値

顧問弁護士は、コスト削減だけでなく、事業成長に貢献する戦略的パートナーです。

  • 企業信用の向上:ウェブサイトや会社案内に「顧問弁護士 〇〇法律事務所」と表示することは、取引先や金融機関に対し、コンプライアンス意識の高い、信頼できる企業であるというメッセージとなります。
  • 意思決定の迅速化:不動産市場のスピード感の中で、「この取引、法的に問題ないか?」を即座に確認できることは、競争優位性につながります。
  • 経営者の相談相手:弁護士は守秘義務を負った立場で、法律問題だけでなく、経営上の様々な悩みについて客観的なアドバイスを提供できる、良き相談相手にもなり得ます。

まとめ

顧問弁護士は、トラブルが起きてから対処する「消防士」ではなく、火事が起きないように日頃から備える「防火管理者」のような存在です。特に法的リスクと隣り合わせの不動産業においては、経営の安定化と成長のために有用なビジネスパートナーと言えるでしょう。

「弁護士に相談するほどの問題は、そうそう起きない」とお考えかもしれませんが、実際には、その「問題の種」は日々の業務の中に潜んでいます。顧問弁護士は、貴社の法務部として機能し、その種が小さいうちに摘み取ることで、健全な企業経営をサポートします。

弁護士法人長瀬総合法律事務所は、不動産会社様・オーナー様の法務課題解決に豊富な実績がございます。顧問契約に関するご相談も随時受け付けておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。


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