取引先の倒産

取引先が倒産してしまった後、取引先から債権の全額回収をすることは極めて困難になりますので、考えられる手段を有効に実行していることが大切になります。

事前に採り得る手段

取引前も取引中も、相手の会社状況や事業環境はしっかりとチェックすることが重要です。また、取引の性質や金額の応じて取引開始時に担保権の設定をしておくことも重要です。

倒産後に採る手段

倒産情報の収集をします

取引先の倒産情報を入手したら、取引先に赴き早急に事実確認を行います。営業を継続しているかどうかと、代表者の所在を確認しておくようにしましょう。誤った情報を鵜呑みにして取引を一方的に打ち切ったりしないよう注意も必要です。

債権の確認、リストの作成をします

債権の回収に向けて、どのような債権が未回収のまま残っているのか洗い出しをします。具体的には、債権の種類、金額、契約書の確認、担保の有無を確認します。

取引先と交渉をします

未納品について

未納品がある場合は、納入をストップできないかどうか、すぐにストップするのが難しいのであれば新たな担保を付けることはできないか等を交渉します。

納入済み商品について(商品の引き上げ)

既に納入済みの商品であっても、代金を支払ってもらうまでは売主に所有権を留保する契約になっている場合は、商品を引き上げることが可能です。また、そのような契約になっていない場合でも、売買契約を解除をして、商品の返還を求めることも可能です。

債権譲渡・相殺

取引先も事業を営んでいる以上、第三者に対して売掛金等の金銭債権を持っていることも考えられます。その場合、取引先からその債権の譲渡をしてもらい、債権者が譲り受けた債権を行使することで債権を回収することができます。

また、取引先に対する債権と取引先が債権者にもっている債権とを相殺する方法での債権回収も可能です。

動産売買先取特権による回収

動産売買先取特権とは、動産を売却した者が、その動産の代金と利息について、その動産から、他の債権者に優先して弁済を受けることができる法定担保物権です。この制度を利用して債権を回収することも可能です。

強制執行による回収

取引先が未だ破産申立て等の法的手続をとっていなければ、財産に対して仮差押えをしたり、公正証書による強制執行での債権回収を検討することもできます。

注意事項

取引先が破産手続や民事再生手続を開始した場合には、債権者が個別に取立てを行うことは原則として禁止されます。また、取引先がこれらの法的手続を行う直前に債権者が行った取立てや強制執行は、法的手続の開始により取消しの対象になったり、効力を失ったりする可能性があるので注意が必要です。

まとめ

取引先が倒産してしまうと、債権の全額回収はまず困難になります。少しでも多く回収するには、状況を見極め先回りしながら先手を打って動くことが重要です。取引先の事業活動に少しでも不安を感じたら、信頼できる顧問弁護士に早急に相談しましょう。長瀬総合法律事務所では、経験豊富な弁護士がサポートいたします。ぜひご連絡ください。

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